2014年2月22日土曜日

【書評】 大聖堂を建てよう 制作に役立つゴシック建築の仕組み

今回は前回のモデリング講座はひとまず中断して、一冊の専門書を紹介させて頂きたいと思います。

ボーンデジタルか出版されている「大聖堂を建てよう 制作に役立つゴシック建築の仕組み」です。



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僕自身は「書評」と言うことをやったことがなかったのですが、今回はボーンデジタルからお話を頂き、ブログという形で、こちらの本をご紹介させて頂きたいと思います。

この書籍では、ゴシック建築における基礎、歴史、構造物の名称や建築様式など細かく解説されています。
フランスの十字架平面図とイギリスの十字架平面図の違い、非十字架平面図など。
横断アーチや四半円アーチ、リブヴォールト、ヴォールトの進化、 尖塔、バラ窓についてなど、ここで紹介することはごく一部ですが、事細かく説明されています。

特に僕が読んでいて参考になったのは、基礎工事や、構造上の仕組み、排水路の仕組みなどについてです。
こういう知識は、建物を壊したモデルや、実際に壊す際の内部構造に説得力を持たせるために必要な知識です。

僕の専門は背景なので、当然ですがこういった専門的な知識は作品やプロジェクトによっては必要になってきます。


また、自分でこういった中世の建築物、お城、教会などをデザインする時にも、この本で紹介されたような知識があって制作されたモデルと、なんとなく表面だけを真似て作ったモデルでは、説得力に差が出ます。

この書籍で書かれていることは非常に専門的に紹介されていますので、CGアーティストにそこまで細かい知識が必要なのか?という部分もあるとは思いますが、背景制作に役立つ書籍であることは間違いありません。

専門書ということで、お値段もそれなりにするとは思いますが、もし、ご興味があるようでしたら、
お手元にとてご購入を検討されてはいかがでしょうか?


本の中身はこんな感じで、図解と解説がセットになっていて非常にわかりやすい書籍になっています。



表紙
天使、精霊、悪魔の彫刻

排水路について

垂直性の演出と支柱の建築

尖塔の構造

今回のエントリーがご購入の際の参考になれば幸いです。
また、今後もブログを通じて、自分が気になって購入した本や制作に役立ちそうな本など、紹介できればと思っています。

2014年2月11日火曜日

【CG】モデリング 穴あけの基本 その2

さて、前回に引き続き今回も局面の穴あけについて説明させて頂きます。
今回の記事は、局面に穴を開けるといよりは、曲面にあいた穴をカッコよく見せる小技みたいな感じで紹介していければと思います。

前回はこんな感じで球に穴を開けました。



いかにも穴あけました!という形状なので、少し大きな面を作ることで立体的な形状を作り、ハイライトが入る面と影ができる部分を作ります。俗に言うベベル、面取りですね。

こんな感じで広い面、狭い面、凹凸をつけて立体的な形状にすることで、一気に見た目の印象が良くなります。



てっぺんの部分も、前回の基本を応用して、こんな感じで穴あけて、ネジ止め。一気にメカの部品ぽくなってきましたね。

こちらのてっぺんのネジ穴も同様に、少し広めの面取りを行うことで、綺麗なハイライトが入って、立体的に見せることができます。
 
※ねじ山のモデリングに関してはこちらの過去記事を参照ください。


こんな感じ。



僕は8角形の穴あけを好んで使いますが、僕の経験上、8角形がポリゴンカウント的にも、形状のたわみを抑えるにも、最良のバランスなのかな?っということで、良く8角形を使います。
たわみが気になる人は、分割を増やして穴を開ければ、さらに精度はあがります。
ただ、ポリゴンカウントも増えてしまうので、バランスが大事です。

おまけ
立体的に見せるというキーワードが今回出てきたので、少しだけ立体的に見せる小技をご紹介します。

よくありがちな鉄板に溶接された、手すりのモデリングです。
鉄板と手すりは別オブジェクトです。これだとCGっぽいので、少しだけ工夫して、溶接してつなげられたような感じにします。

こんな感じ。

鉄板と手すりの接合部分を少し立体的な形状に変えるだけで、綺麗なハイライトが入って、レンダリングした時の見栄えが良くなり、説得力を持たせることができます。

って感じで、今回はここまで。
次回は、もう少し特殊な形状の穴あけについて、紹介予定は未定です(笑

2014年2月4日火曜日

【CG】モデリング 穴あけの基本 その1

今回は以前、ツイッターで話題になった曲面への穴あけを行うための基本のおさらいをしたいと思います。

【目からウロコ】日本人トップクラスのCGモデラーによる、球体への穴あけモデリング方法について話題になっとるでぇー!


※ここでの解説はあくまでもサブディヴィジョンを前提としたモデリング方法です。
まずは局面に穴を開ける前に平面での穴あけについて、少し説明させて頂きます。
ブーリアン演算を用いて、綺麗に穴を開ける場合、下記の画像のように、穴を開けられる側と穴を開ける側の頂点数を揃えることで、ブーリアン後のトポロジーをきれいに保つことができます。

図1





左から6、8、10、12、16の頂点を持つ穴あけと四角の穴あけの基本的なワイヤーフレームになります。
図1では、平面ですが、局面でもこのワイヤーフレームの基本的な流れは変わりません。上図のワイヤーフレーム、ポリゴン分割がすべての基本になります。
曲面に穴を開ける前に、上記のワイヤーフレームの流れをキッチリと覚えておきましょう!


それでは、実際に球に円柱状の穴を開けてみましょう。

赤ラインと青ラインの頂点数が同じになるように、穴を開けるのがポイントです。(左が頂点数8、右が頂点数12です。)



また、凹形状だけでなく、凸形状でも同じことが言えます。



四角だとこういう感じになります。



円柱の凹凸も四角での凹凸でも基本的には同じです。ただ、下記の画像を見てもらえればわかると思いますが、1つの頂点に対して5本以上のエッジがつながっている頂点(赤色の頂点)は、基本的にシワやタワミの原因になります。したがって、下図で示した黄色いラインの長さが極端に長くなりすぎないように、配慮する必要があります。





本日、紹介したことは本当に基本中の基本で、何を今更!?という内容の物ですが、特殊な形状や応用を効かせるためにも、ぜひ押さえておいてください!

次回は”穴あけの基本 その2” を予定しています。
特殊な形状の穴あけや、穴あけをリアルに見せるための、ちょっとした小技を紹介できればと思います。