2014年6月18日水曜日

【CG】 SHOWREEL 2014

さて、本日は3年ぶりにデモリールを更新しました。
詳細は下記リンクのVIMEOをご覧ください。 (画像クリックしてください。)


 Eiji Kitada Show Reel 2014



不特定多数、業界に全く関係ない方が自由に閲覧できるのは好ましくないというスタジオからの要請により、デモリールにパスワードを設定させて頂きました。閲覧希望される方は、メールフォームよりご連絡ください。スタジオからの話では、基本的にデモリールの作成はリクルートのみに使用可で、WEBなどにUPする場合も原則としてリクルート活動のみ対象とするそうです。(2014/07/07 追記)

今回のリールは現スタジオとの契約の都合上、ブレイクダウンを画像で公開する事が出来ません。ここで公開されているDNEGのショットはファイナルのみとなります。しかし、それだとお前どこ担当したんだよ!!!!!ってなると思いますので、こちらのブログにて日本語のブレイクダウンを掲載させていただきます。

※制作時間は1日の労働時間を9時間と換算し、ファーストパスまでの制作期間であり、リテイクを含む完成までの制作期間ではありません。


The Hunger Game : Chatching Fire Avenue Shot (0m0s ~ 0m22s)
このショットの背景は5人のモデラーによって手分けして作られました。僕が担当したのは中央半円系の建物と中央大通りの左右にあるメインの両建物です。これらの建物はこのシーケンスにおいて、最もクローズアップになる重要な建物です。遠方の建物は他のモデラーによって作られています。

Modeling: 5 days for 1 hero modeling
UV layout: 3 days for 1 hero building

Godzilla las Vegas Destruction Shots (0m23 ~ 0m26s)
このショットのモデリングは二人のモデラーによって作られています。一人がラフモデルで建物の位置を配置しレイアウトし、僕がそれらのラフの建物をレンダリング用のハイモデルに作りかえ、壊すという作業をしています。ただ、このショットはマットペイントによってペイントオーバーしているので、プレート、3Dオブジェクト、デジマットの混成ショットになっています。とはいえ、建物の壁面以外はほぼ3Dオブジェクトです。このショットはトレーラーにも使われているキーショットです。

Modeling: 2 days for 1 destruction modeling
UV layout: 1 days for 1 building

Godzilla las Japanese City Shots (0m27s ~ 0m33s)
このショットも前のショットと同様にプレート、3Dオブジェクト、デジマットの混成ショットです。担当したモデラーは私一人だけです。
私が担当したモデルはカメラ手前の虎ノ門ヒルズの壊れモデルと画面中央のツインタワーの壊れモデルです。これら二つのビルに覆いかぶさるつたの葉などすべて3Dオブジェクトで作られています。遠方のビルはデジマットによるペイントオーバーです。

Modeling: 5 days for 1 hero destruction modeling
UV layout: 3 days for 1 hero building

Godzilla Aircraft Carrier Shots (0m34s ~ 0m41s)
このショットでは手前ヘリコプターの後ろにある空母の艦橋とF18スーパーホーネットのモデリングを一人で担当しました。

Main bridge 
Modeling: 10 days
UV layout: 5 days

F18 super hornet 
Modeling: 7 days
UV layout: 3 days 

The Dark Knight Rises Final battle shots(0m42s ~ 0m51s)
このショットは私がDNEGで行ったはじめてのプロジェクトです。ショットの建物は5人のモデラーによって作られています。僕が担当したのはリードモデラーとして、モデリングワークフローの組織化とUVレイアウトの正しいやり方をチームメンバーに伝えることでした。5つあるヒーロービルディングの4つをモデリングとUVレイアウトの担当として、最終的な仕上げを担当しています。この頃はモデラーは二人しかいなかったので、自分が作業すると言うより、チームメンバーにノウハウを教える作業の方が多かったです。

Modeling: 15 days for 1 hero modeling
UV layout: 5 days for 1 hero building 

Legend of the Guardians(0m52s ~ 1m03s)
このプロジェクトは僕が始めて関わったハリウッド映画でした。何もかもがはじめてて、非常に苦労した記憶も良い思いでです。このシーンの背景は2人のテクスチャーアーティストによって作られました。僕が担当したのは、中央の大きな木を除く、会議室すべてです。

また、ストーンパレスと呼ばれるアセットの玉座や壁面の岩などのUV、スカルプト、テクスチャー、ルックデブを担当しました。ストーンパレスは4人のテクスチャーアーティストが作業を分担して制作しました。

Parliament Room
Software: Maya, Zbrush, Photoshop and 3D paint
Texture and Sculpt : 20 days for the parliament all walls,ceiling and some props.
UV layout: 10 days for all my asets

Stone Palace
Software: Maya, Zbrush, Photoshop and 3D paint
Texture and Sculpt : 3 days for 1 assets of rocks.
UV layout: 1 days for all rocks
 
Godzilla nuclear Submarine Shots (1m04s ~ 1m20s)
このショットに使われている原子力潜水艦は2人のモデラーによって作られています。メインシェイプを一人が担当し、僕が担当したのは後尾スクリューから艦橋にかけてのディティールアップと仕上げ、UVを担当しています。

Modeling: 5 days
UV layout: 2 days

Fast and Furious 6 Crash Car Shots (1m21s ~ 1m27s)
このプロジェクトに登場する2種類の車をモデリングしました。ロードスターとシエトロンです。
このシーケンスでは、どの部分も一瞬ですが、カメラにすごく近づくので、エクステリアはもちろん、インテリアや背面のサスペンション、タイヤの溝まで細かくモデリングされています。

Hero Road Star
Modeling: 10 days
UV layout: 3 days

Citroen Xsara
Modeling: 5 days
UV layout: 2 days

Total Recall Passenger Bay Shots (1m28s ~ 1m33s)
このショットに登場するパッセンジャーベイと呼ばれる、サイボーグたちが座っている部屋、すべてのモデリングを一人で担当しています。

Modeling: 7 days
UV layout: 3 days

The Bourne Legacy Drone Landing Shots (1m34s ~ 1m43s)
このプロジェクトでは映画前半部分で非常に重要なアセットである無人戦闘機のモデリングとUVを一人で担当しました。

Modeling: 7 days
UV layout: 3 days

The Bourne Legacy Larx Crash Shots (1m44s ~ 1m46s)
ラークスと呼ばれる殺し屋のデジダブルをモデリングしましたが、担当部分は体のみで、顔は別のモデラーが担当しています。

Modeling: 7 days
UV layout: 3 days

Happy Feet Two(1m47s ~ 1m54s)
エンペラーランド中央のハブのスカルプト、テクスチャー、シェーディングを担当しました。その他にも多くの背景のスカルプトとテクスチャー、シェーディングを担当しました。また、レンダリングのためのアセットのクリーンアップやトラブルシュート的な役割も同時にこなしました。

Software: Mudbox, Mari and Photoshop
Texture and Sculpt : 10 days

Legend of the Guardians Class Room Shots1m55s ~ 1m59s)
このショットでは主に背景の教室ではなく、教室内の椅子や机、マップボードなどのプロップのスカルプト、テクスチャー、UVをすべてを担当しました。

Software: Maya, Zbrush, Photoshop and 3D paint
Texture and Sculpt : 5 days for one prop.
UV layout: 2days for one props.
  
Godzilla Vehicles (2m00s ~ 2m13s)
ゴジラでは大小含めて40以上の小物や乗り物、建物などを担当しましたが、紹介できるのは極一部です。

Japanese Fire truck 
Modeling: 7 days
UV layout: 3 days

Monorail include interior 
Modeling: 10 days
UV layout: 4 days


以上がデモリールのブレイクダウンになります。日本語のブレイクダウンを用意していなかったので、自分で書いた英文を読みながら書き起こしたので、なにやら文面が直訳っぽくて怪しいですが 。。。。(^^; 気にしないでください。

あ。。。。本当はブレイクダウンを含めたデモリールをアップしたかった。。。ま、契約なので仕方がないのですが。

2014年6月8日日曜日

【書評】 フェイスリファレンス

さて、本日はまたまたひとつの書籍を紹介したいと思います。

ボーンデジタルから先日発売されました「フェイスリファレンス」です。73種の多民族の顔のリファレンスを骨格や各民族の特徴などを顔写真のリファレンスを交えて紹介しています。

お求めはこちら

ボーンデジタル フェイスリファレンス

この書籍に関してはキャラモデラーやキャラクターリギングなど、キャラクターに関わる人限定の書籍です。
僕自身も、先日のエントリーでも述べましたが、少しモデリングと言う分野はそのままに、オーガニック系のモデリングにも手を伸ばそうかなと思っています。

そういったキャラクターやアナトミーなどの知識がない人には非常に有益な書籍だと感じました。
ただ、逆に今までキャラクターについて、人体解剖学などについて勉強した人などからすると、少々物足りない内容になってしまうかもしれません。


個人的にすごく良かったところは、やはりリファレンスや骨格を元にその民族の特徴などが解説されている点です。
ただ、残念な点としては、リファレンスと銘打たれた書籍ではありますが、1民族に対して、一人の骨格、一人のリファレンスと言うのは、少し物足りなさを感じました。1民族、男性、女性含めて3種類ぐらいはリファレンスがあれば、さらに良かったかな?っと感じました。


こういった知識はデフォルメキャラやアニメテイストのキャラクター造詣に不必要な知識と思われるかもしれませんが、けっしてそう言うわけではありません。

当然、フォトリアルにつくためには絶対に必要な知識ですが、アニメテイストなキャラを作る場合は、逆にどの情報を間引くことで、説得力を失うことなく、デフォルメされたキャラクターをつくれるか?逆に情報を間引く時に、こういったアナトミーの知識は必要になります。

こういった基礎知識は背景を作る際も同様です。何気なくデフォルメされた顔としっかりとした知識を元に情報を間引いたデフォルメとは必ず違いが出ます。

これは人によって様々な意見があると思いますが、僕個人の意見としては、やはり実写に基づく、現実に基づくことで、説得力が出せると考えていますので、僕もこの本を参考に、人物の顔のスカルプトモデルのトレーニングを開始しようかと思っています。

ご興味がある方は、こちらのサイトより、詳細、書籍内解説動画見れますので、参考にされてみてはいかがでしょうか???


フェイスリファレンス詳細動画


本来なら書籍内写真などを、本部ログでも紹介したいところですが、こちらの動画を見ていただいた方が情報量が豊富ですので、今回は写真の転載はいたしません。

2014年6月5日木曜日

【CG】ジェネラリストの潮流 後編

前回のエントリーより随分と間があいてしまいましたが、今回はジェネラリストについて少し紹介したいと思います。

ジェネラリストの採用が海外スタジオでも増える傾向にある昨今ですが、そもそもジェネラリストとは?日本のスタジオと海外スタジオのジェネラリストの違いについて紹介したいと思います。

前回のエントリー「ジェネラリストの潮流 前編」でも少し紹介しましたが、日本で求められるジェネラリストと言うのは、モデリングからコンポまで、全てとは言いませんが、多くの作業を一人でこなすのに対して、海外大手でもジェネラリストというのは、1つのメインスキルに対して、2つ3つのサブスキルを持っているアーティストという印象です。

また、日本でのジェネラリストの運用というのは、個人にショットないしシーケンスをまるまる一任するのに対して、こちらのスタジオ(あくまでも僕の経験の範囲内で)は、分業されたワークフロー、パイプラインをベースにタスクが割り当てられるという印象です。

具体的な例を出すと、今までの海外大手のスタジオというのは、やはり分業をベースに各スペシャリストが作業に当たるというのが常でした。
いわゆる分業制です。今までは分業制で働くアーティストはスペシャリストという印象だったと思いますが、昨今では分業制というシステムを採用しながらも、働くアーティストはジェネラリストという例が出てきました。

今までは一つの背景を制作するにしても、モデリングをモデラーが、テクスチャーは別のテクスチャーアーティストが作業するという感じです。
ところが最近ではENVIROMENT TDと言われる職種やENVIROMENTアーティストと言われるような新しい職種も誕生しつつあります。

要は背景に限り、モデリングやテクスチャー、ルックデブなどを一人のアーティストがこなすという日本の様なジェネラリスト制です。

ただ、日本のシステムとは少し異なるのは、あくまでもシステム的には分業制ですので、自分が担当したモデルを、そのまま自分でテクスチャー、ルックデブまで行うというわけではありません。
他人の作ったモデルにペイントすることもありますし、自分が担当したモデルをそのまま運良く、自分で最後まで仕上げることもあります。
ここは同じようなジェネラリストという扱いでも、少し日本とは異なる部分だと思います。

こちらのスタジオではあくまでもタスク管理は分業制を主体に考え、担当するアーティストがスペシャリストからジェネラリストに変わって来ているというのが正確な表現の仕方かもしれません。

これにはツールの発達により、複雑なこともツールを覚えることで容易に誰でもできたり、今までの資産(インハウスツールやアセット)を流用、再構築して使うために、すべてを1から作り直す必要がなくなってきたなどの理由が考えられます。

特に大手スタジオの場合は、過去のノウハウや資産というのは相当蓄積されていると思います。これらをうまく流用することで、スペシャリストと同等のアセットやシーン構築をジェネラリストでも行えるようになりつつあります。

その反面、スペシャリストの採用、働き方というのは徐々に制限され始め、雇用機会も減りつつありますが、基本的に海外大手スタジオの場合はシステムとして分業制を敷いていますので、職がなくなるということは今のところないと思いますし、エフェクトやリグ、アニメーションなどは、まだまだ個人スキルに依存する部分が多いセクションだと思います。

今後はさらに海外スタジオではジェネラリストの採用、雇用機会というのは増えてくると思いますが、スペシャリストの需要も決して少ないわけではありませんし、先ほども述べましたが、大手スタジオの多くが分業制というシステムでプロダクション運営されていますので、担当するアーティストがスペシャリストか?ジェネラリストか?という違い程度でしかありません。

今後もこいいった流れはしばらくは続くと思いますが、5年後、10年後は定かではありませんし、そもそも分業制やジェネラリスト制などとは全く別のシステムになっているかもしれません。

そういった時代の流れに取り残されないためにも、常にアンテナを外に向け、どういった事態、時代の流れにも対応できるように自分を磨く努力を怠らないようにしなければいけません。

ということで、僕も背景やプロップに限定するのではなく、多少なりともオーガニック系のモデリングについて知識、技術を身につけなければいけないなっという事で、次回はいくつかの書籍を紹介できればと思っています。自分の長所は更に伸ばしつつ、短所を克服する!ように今後は努めたいと思います。

それではまた次回(笑