あまりにも時間が経過していますので、前回のエントリーを覚えていない方!?
今回からはじめて読み始める方!?もこちらのリンクをご参照頂ければと思います。
前回までのあらすじw
【CG】 動機の変遷 前編
【CG】 動機の変遷 中編
今回はシンガポールでの海外就労、そして帰国に至る経緯など海外就労を一区切りさせた時の動機の変遷について紹介したいと思います。
人生で2度目の家族での海外移住です。正直、シンガポールという選択は僕の中では意外でした。
もちろん、もう一度オーストラリアに戻るということは考えていなかったので、そういう意味では海外就労を続けるためには、オファーのある会社がある国へ移住するしか選択肢はありませんでした。
そして、実際にシンガポールに住んで働き出して感じたことは「あ、悪くないかも!」ということでした。
就労当時はシニアアーティストも少なく、ここは日本か!?っと思うぐらい働きましたが、最初のプロジェクトであった「The Dark Knight Rises」の仕事を終えぐらいから、シニアのアーティストも増え始め、就労時間も10時出社、19時退社と平常業務に戻ることが出来ました。
その間は、家族と夕食を共にし、充実したワークライフとファミリーライフをおくれていたと思います。
そして、3ヶ月ほど遅れて、タジマッチこと田島光二氏がシンガポールで一緒に働き始めることになりました。
彼のことは学生時代から知っていましたが、一緒に仕事をするのはシンガポールが初めてです。
そして、彼とは僕がシンガポールに住んでいる3年間シェアメイトとして、家族の様にすごしていました。このあたりのエピソードは彼の執筆した「田島光二アートワークス ZBrush&Photoshopテクニック」にも掲載されているので、ご興味ある方は、ぜひ読んでみてください。
正直、シンガポールでの3年間は早かったですね。この頃は自分のため半分、家族のため半分という感じで働いていました。ただ、オーストラリアのプロダクションほど同僚アーティストのスキルレベルは高くなかったので、大きいタイトルの仕事には関われるけど、、、それとは反比例して、仕事のやりがい、自身のスキルアップという点では、業務を通じて得られる物は、それほど多く無かったです。
自身のスキルアップという点では、フリーランスとしての日本案件の方が、はるかに楽しかったですね。仕事の多くはPicaPixelsの帆足剛彦氏から頂いていた仕事がほとんどでしたが、一緒に仕事をしていたのが当時Blizzard Entertainmentの鈴木卓矢氏や日本を代表するモデラーや監督とのお仕事が多かったので、海外就労とは別の意味で充実した日々をおくれている自分がありました。
この頃からですね。海外就労自体が目的ではなく、ファミリーライフとワークライフのバランス、スキルレベルの高いアーティストと働きたいという目的を達成するための手段だということに気がついたのは。。。どこで働きたいか?じゃなくて誰と働きたいか?って言うことの方が、僕にとっては大事になってきていました。
そして、3年という期間があっという間に過ぎて、1つの転機がやってきました。子供の小学校入学です。様々な理由や思いがあり、この時に私たち家族にシンガポールに残るという選択肢は全くありませんでした。
レベルの高いアーティストと働きたい!というWeta Digitalへの特別な思い、子供の小学校入学というタイミング。ここで僕は妻と1つの約束をしました。もし、僕がWeta Digitalからオファーをもらえれば、家族でニュージーランドへ移住すること。もし、オファーがもらえなければ、帰国して日本で子育てをするということです。
結果的にはWetaからオファーもらえず、帰国する道を選びました。正直、帰国すると言う決断は、海外に初めて出るときと同じぐらい重い決断だったと思います。。。
ただ、帰国が決まった時点で、気持ちは完全に切り替わり、日本の業界発展に必ず貢献してやろう!!!っと決意していました。。。。が。。。。
っと言うことで後編の終了です。次回は最終回です。理想に近いワークライフとファミリーライフのバランスを実現させ、目標でもあった実写映画、大手海外スタジオでの就労などを経て、海外就労の大きな目的を達成した私自身が、どういった気持ちの変化で帰国を決断し、福岡オフィス立ち上げから現在にいたるまで。最終回ではその当たりの変遷について、ご紹介出来ればと思っています。
<後編の動機の変遷まとめ>
理想に近いワークライフとファミリーライフのバランスを実現させる→3年ほど充実した理想的な時間が続く→徐々に周りの環境に対して物足りなさを感じ始める→海外就労が目的ではなく、目的達成のための手段だと気付く→どこで働くのではなく、誰と働きたいか?→Wetaへの憧れ、強い思いが蘇る→結果的に帰国を決断→最終回へ続く
【前回までの動機の変遷まとめ】
<前編の動機の変遷まとめ>
単純に興味がある→ 3DCGが好きになる→自分で作ってみたいと思う→仕事にしたいと思う→安くて辛くても好きなこと出来れば満足→現状に満足できなくなる→エンターテイメントの仕事がしたい→日本で最高峰とい言われる職場で働けて満足→徐々に満足できなくなり、より自分が納得できる環境を捜し始める→中編に続く
<中編での動機の変遷まとめ>
自分が捜し求めていた環境にめぐり合う→新しい出会い、理想の環境、海外就労の継続を望む→ VISAの問題による海外就労の中断→家族との時間を犠牲にした海外就労継続の決意→WETAを筆頭にした海外大手プロダクションへの憧れ、就労を目指す→家族での国内残留か家族での海外移住かの決断を迫られる→海外就労の継続、家族でのシンガポールへの移住を決意→理想に近いワークライフとファミリーライフのバランスを実現させる→後編へ続く