2011年8月20日土曜日

【CG】 職種色々 その3 補足編

さて、昨日のエントリ”職種色々 その3”では色々な方から反響がありメッセージやコメント頂きました。それで、昨日のエントリについて、少し補足したいと思い、本日は補足編という事で、もう少しLayout/PrevisとAnimationについて、掘り下げて紹介させて頂こうと思います。

まずはLayout/Previsについて、僕自身はライブアクション(実写)の経験がないので、基本的にこのブログで紹介することは、フル3DCGのアニメーションが前提であると言うことをご理解ください。

そんな中、ライブアクション(実写)ではLayoutArtistとPrevisArtsitでは役割に違いがあると言うご指摘を頂きました。僕自身はFeatureAnimationの経験しかないので、LiveActionとの比較は出来ませんが、同じLayoutArtistでもFeatureAnimationとLiveActionでは、役割に違いがあるのかもしれませんね。


そして、アニメーションに関して、少しだけMOCAPについて、触れましたがここでももう少しだけ掘り下げて紹介して行きたいと思います。

キャラクターアニメーターについては前回のエントリで触れましたが、実はMOCAPにもアニメーターが居ると言うお話。実際にいま、僕が勤めている会社にもキャラクターアニメーターとは別にMOCAPチームにも所属するアニメーターと言うかモーションエディターと言うか、MOCAPで収録したデータを、キャラクターアニメーターに渡すために、収録されたモーションを編集するアニメーターが存在します。
僕は今まで、そういう人のことをモーションエディターと呼ぶのかと思っていたんですが、会社のモキャプチームに確認したところ、モーキャプアニメーターという呼び方もされるようです。
仕事の内容としては、先ほどもお話したとおり、収録されたモーションを編集したりするのが主なお仕事で、手付けでキーフレームを打つことは無いらしいです。ただ、こう言った呼び名は、僕にとっても新しい発見でした。

そして、僕の中でもう一つ意外だったことが、日本のアニメーターもモーキャプを使うことに抵抗がある人が、意外に多かったという事です。これは実際にメールやメッセージをもらった方からの意見なので、全体像を見ることは難しいですが、ディズニー系やデフォルメされたキャラクターなどのアニメーターさんは、モーキャプよりも手付けでのアニメーションを好む傾向にあるようですね。
逆にヒューマン、フォトリアル系のアニメーターさんは、好むと言うよりは、モーキャプの方が効率的な部分が多く、作業効率が良いからモーキャプ中心のアニメーションを選択しているという事がわかりました。
(ただ、メッセージを頂いた方でモーキャプを使用しているけど、本音は手付けでしたいという意見も。。。)

こればかりは感性の問題や、実際の作業効率など、プロジェクトに直接関係してくる部分なので、個人で好きなように選択するのは難しいかもしれませんが、意外と日本のアニメーターさんも手付けを好む人が居るのだということが、僕にとっての新しい発見でした。

僕のブログでは分業制やジェネラリスト制、手付けアニメーション、モーキャプアニメーションなど色々な部分で日本と海外を比較していますが、お互いを比較することで、良い部分、悪い部分が見えてくるのでは?っということで比較、検討したものを提示させて頂いているだけで、海外のやり方の方が正しいとか、日本のやり方が正しくないとか、そういうことを言いたいのでは無いという事はご理解ください。

今回の手付けアニメーション、モーキャプアニメーションに関しても、僕としては表現の方法として選択肢が手付けとモーキャプという選択肢が存在するだけで、僕個人としては出来がかっこ良ければ、どちらでもOKでは?っというのが本音です(^^;

ただ、そう言った中で、僕の知る限りでは、特に外国人はモーキャプはなく、手付けアニメーションに対する付加価値が日本人よりも高いのかな?っと肌で感じだけです。

また、分業制、ジェネラリスト制に関しても、どちらが正解と言うのは無いと思います。ただ、現在の流れとしてはハイクオリティな物を効率的に作るために、分業制が主流であると言うだけで、分業制、ジェネラリスト制、それぞれに短所、長所は存在します。そういった部分を、日本と海外に置き換えて、比較することで、お互いの良い部分、悪い部分が見えてくるのでは?っと思い、今回は海外での分業職種を紹介する中で、日本と海外の違いを比較、検討させて頂いています。

日本のやり方を否定し、海外でのやり方を強要している訳ではないので、その点はご理解ください。
また、今回頂いたメッセージやコメントを元に補足させていただきましたが、全体像を把握している訳ではないので、ここでの補足は僕個人の主観的な部分も多く含まれていることをご理解ください。

それでは、次回はLightingArtistとCompossiterについての紹介です。

2011年8月19日金曜日

【CG】 職種色々 その3

SIGGRAPHも終わり、ジョブフェアに参加された方、シーグラフに毎年行かれてる方など、様々な方がいらっしゃると思いますが、今年のシーグラフはどうだったのでしょう???

僕の方は相変わらず忙しい日々を送っています。そんな中、久しぶりのブログ更新です。
今回はLayoutArtist/PrevisArtist とAnimatorについて紹介させて頂こうと思います。

正直、日本でLayoutArtist/PrevisArtistとして専門でやっておられる方は非常に少ないと思います。そして、レイアウトという作業を分業している会社自体も日本では少ないのではないでしょうか???


【Layout/Previs Department】
主な作業としては簡易的なモデルを利用して、カメラワークやキャラクターの簡易アニメーションをつけて、カットの構図を作っていく仕事です。カットの中に爆発や壊れる建物などがあれば、それらのタイミングもすべて、このレイアウト作業の段階で大まかに決めてしまいます。また、コンセプトアートなどを元にキーライトの方向性なども、この段階で決めてしまうことも少なくありません。
ただ、最終的には変更されるケースも多々ありますが、多くのカットが、このレイアウト(プリビズ)と呼ばれる映像を元に作成されます。いわばCG版絵コンテみたいな物を作る仕事ですね。

日本の場合は、仮にLayoutという部署が存在していても、多くの場合は、キャラクターアニメーターが兼任しているケースが多々あると聞いています。実際に海外のアーティストでも、LayoutArtistとAnimatorを肩書きに持つ人は存在していますが、分業しているプロダクションの中で掛け持ちして作業していると言うケースを僕は知りません。

これは以前、勤めていたアニマルロジックのアニメーションスーパーヴァイザーから聞いた話なのですが「日本ではアニメーターはレイアウトの仕事もするんだよ」っという話をした時に、彼が驚きながら言った言葉がすごく印象的でした。

「それは俳優がカメラマンの仕事をするようなもんだよ」

用は実際の映画を撮影するときにレイアウトアーティストはカメラマン。アニメーターは俳優さんという例えですね。
レイアウトはカットの構図を作ったりするカメラマン。アニメーターはキャラクターに命を吹き込む俳優さん。求められる内容がまったく違うのに、日本では同じ人が担当するということに驚いていました。

これはFeatureAnimationを作る場合でも、海外の場合は映画制作が主体になってるのだな~~っと実感した瞬間でした。

これは僕の予測なのですが、日本の場合は制作スタイルのベースがおそらくアニメ制作になっているのでは?っと思いました。
だから原画担当、動画担当のようにLayoutとAnimatorが兼任されてたりするのかな?っと。仕事の内容としてもキーフレームを打つのが主な役割なので、兼任するケースが多いのかな?っと個人的に思いました。

でも、実際にLayoutArtistとAnimatorに求めらる役割というのはカメラマンと俳優という職業ぐらいの違いがあるという例えです。

Layout/Previs関係職種色々
-Layout Supervisor
-Previs Supervisor

-Lead LayoutArtist
-Layout Artist

-Lead PrevisArtist
-PrevisArtist

-Layout TD
-Previs TD

プロダクションによって呼び方がLayoutArtistだったりPrevisArtistだったり呼び名が違うケースがありますが、基本的には同じ職種だと思ってもらって問題ないと思います。最近ではステレオ(立体視)のための左右のカメラの差異を設定したりするのもレイアウトの主な作業になりつつあります。
予断ではありますが、AnimalLogic時は被写界深度に関しても、ある程度レイアウトの方でほぼ決まっていました。これはカメラのレンズの情報を元に、実際のカメラのレンズに置き換えるツールで、自動的にレイアウトの段階で被写界深度を表現していたのですが、モデラー、テクスチャーアーティストとしては非常にカットの構図がわかり易かったです。自分が担当するモデル、テクスチャーがどれ位ボケるのか?レイアウトを見た段階から判断できたのは、非常にありがたかった記憶があります。


【Animation Department】
アニメーターと呼ばれる職種ですが、こちらではVFXアニメーターと区別するために、キャラクターアニメーターと呼ばれることが多いです。仕事の内容は、その名の通り、キャラクターにアニメーションを付けるのが主な職業ですね。
こちらのアニメーターは日本のアニメーターと違い、モーションキャプチャーの使用を嫌がる人が非常に多いです。モーションキャプチャーを使用した場合、多くの作業をデータの修正、編集に費やし、自分でアニメーションをつけれない!っと言うのが主な理由のようです。
また、モーションキャプチャーを使用したアニメーションに比べて、手付けすることに何かしら意義を見出しているという価値観が、アニメーターと話をしていて節々に伺えます。
これは日本と大きな違いではないかな?っと思います。

また、大きな違いとしては、こちらのアニメーターはブロッキングアニメーションという方法でアニメーションを作る人が非常に多いです。僕はアニメーションが専門ではないのですが、日本のアニメーターは、最初から順番にアニメーションを付けていくらしいのですが、このブロッキングアニメーションは、最初と最後のキーフレームを打って、次に中間。さらに中間のアニメーションというように、間を補完しながらアニメーションを作っていく方法です。この方法だと、アニメーションが全部完成していなくても、間を補完しながらアニメショーンを付けているので、通してみたときに、アニメーションの大まかな流れが確認できるというのが、非常に便利だと僕は感じました。

Animation関係職種色々
-Animation Supervisor

-Lead Character Animator
-Character Animator

-Animation TD

などの職種があります。

次回はLightingとCompssiterについて紹介したいと思います。

※今回は僕の専門外の部分の紹介ですので、何かしら間違いなどあるかもしれません。もし何か間違い、問題などあればご指摘頂ければと思います。