2013年12月9日月曜日

【その他】師走

時間の流れは早いもので、前回の更新から半年近くが過ぎてしましました。。。。
色々と伝えたいこと、更新したいことは山のようにあったのですが、なかなかお伝えすることができず、ついついFBやツイッターですませる事が多くなってしましました。

今は某怪獣映画(日本原作)のハリウッドリメイク版の締切に追われる日々が続いており、なかなか固まった時間を確保できずにいます。
おそらく近々、トレーラーが公開されると思いますので、公開されれば、またブログにてご紹介させていただければと思います。

さてさて、お題の通り今年も残すところあと1ヶ月を切りました。僕も来年でシンガポール3年目を迎えることになります。本当に時間の流れるのは早いですね。
シンガポールという国は常夏で非常に過ごしやすく、気がつけばあれよあれよという間に歳月が過ぎていきます。環境も良く非常に過ごしやすいので、気分は浦島太郎ですね(^^;

そんな生活に飽きたという訳ではありませんが、少々、自分自身、楽をしているというか何かこう停滞している気がするので、成功する、しないは別として、来年は自分自身、なにか新しいことにチャレンジしようかな?っと思っています。

具体的にどういうことをするのか!?ってのはまたおいおい報告させていただきますが、とにかく来年も立ち止まることなく、前に進み続けたいなっと!思っています。

そういう訳で、皆様も年の瀬ということで色々と本当に忙しい日々が続くと思いますが、ご自愛頂き、良い年をお迎えください!

そして、少し宣伝になりますが、12月21日より全国公開される「永遠の0」をフリーのモデラーとして少しだけお手伝いさせて頂きました。

永遠の0 オフィシャルサイト

また今月発売されるCGWORLDに永遠の0の特集が組まれており、僕が担当させて頂いた戦闘機が少しだけ紹介されていますので、もしご興味がある方はご購入頂ければっと思います。

CGWORLD 2014年1月号 vol.185



















次回はツイッターで少し話題になった、曲面への穴あけについて、僕なりのTIPSを少しご紹介できればと思っていますので、ご期待下さい!

ここにツイッターでのやり取りをまとめて頂いていますので、予習を兼ねて、目を通していただくのもありかなっと!(日本人トップクラスのCGモデラーは言い過ぎな気もしますが。。。。(^^;)

【目からウロコ】日本人トップクラスのCGモデラーによる、球体への穴あけモデリング方法について話題になっとるでぇー!





2013年8月12日月曜日

【仕事】近況報告 シンガポール編 その2

月日の流れるのは早いもので、前回の更新から早くも1ヶ月が経過してしまいました。
今月、シンガポールではラマダン明け(マレー系の断食明け)や国立記念日など、夏の長期休暇シーズンということもあり、多くの同僚が夏季休暇を楽しんでいます。僕も先週は1週間ほど休暇を頂きました、羽を休ませて頂きました。

さてさて、今回も近況報告ということで、いくつか僕が携わった映画の新しいトレーラーが発表されましたので、少しご紹介させて頂ければと思います。

まずは今年11月に全米公開予定のThe Hunger Games: Catching Fireです。

IMDB : The Hunger Games: Catching Fire


こちらの映画では主に背景の建物をメインに作業させて頂きましたが、その他にもプロップやデジタルダブルなども担当させて頂きました。本編公開までに、もう1本ぐらいはトレーラーが出るかもしれませんね。


もう一本が来年5月16日に全米公開予定のGodzillaです。

IMDB : Godzilla

こちらの作品では多くのメインプロップを担当させて頂ていますが、トレーラーなどの詳細はコミコンで発表されたトレーラだけで、WEB公開などはされていません。今後の続報に期待していてください!


最後は今年、12月21日(土)から全国公開予定の永遠のゼロです。

OFFICIAL : 永遠のゼロ



こちらの映画ではstudio Picapixels(代表:帆足剛彦氏)のお手伝いという形で、少しだけですがモデリングとテクスチャーのお手伝いをさせて頂きました。
本格的にお手伝いさせて頂いた日本の映画としては、初めての作品になります。
また、僕がスクエニ時代に最も影響を受けた林隆之氏との久しぶり同一作品参加ということで、僕自身も劇場公開が最も楽しみにしている邦画の一つです!

これらの作品は、劇場公開まで、まだ少し日がありますが、ぜひぜひ劇場で楽しんで頂ければと思います。



今月も非常に忙しい日々が続きそうですが、引き続きお仕事頑張りたいと思います。
ではでは。

2013年7月11日木曜日

【その他】 ゲームと教育について色々と考えてみた

今日はCGとは少し離れたゲームと教育について考えてみました。教育というと少し大げさですが、僕自身、2児の父として子供に対してゲームをどのタイミングで与えるか?どれだけの時間、ゲームを許容するか?子供をもつ親なら誰しもが一度は悩んだことがある問題だと思います。

最近ではゲームは教育に良くないとか、現実とゲームの区別がつかなくなる子供がいるから!とか色々とゲームに対して風当たりの強いことが多いと思いますが、僕自身は決してゲームをすること自体は教育に悪いことだとは思いません。

もちろん教育上、良くないゲームがあるのは事実ですし、実際問題としてゲームと教育の間で抱える問題というのは、少なからずあると思いますが、そこは親がきっちりと子供に道を示してあげればよいだけの話で、ゲームが悪いというのは間違いだと思います。

これは勝手な推測なのですが、ゲームが子供に悪影響を及ぼした多くのケースは、ゲームを子供に買い与えただけで、あとは放置。というケースが多いように思います。

僕がゲーム会社や映像系の会社で働いているということもあり、我が家では2歳の時からDSやIphone、Wiiを子供に与えていました。
(正確には、子供に奪われたり、ゆっくり買い物や食事がしたいために、親である僕がが与えたのですが。。。)

もちろん、当初は小さい子供にゲームを与えるのに、僕も妻も反対でした。ただ、最近はそうは思いません。

今はゲームやIphoneは、我家では子供とのコミュニケーションのツールの一つになっています。

子供と一緒になってゼルダの伝説の謎解きを考えたり、スーパーマリオやカービーなども、子供と一緒になって取り組むことで、子供と良いコミュニケーションを行うことが出来ています。

また、それだけではありません。好きこそ物の上手なれ!と言いますが、うちの子はYoutubeを通じて、言葉や文字を覚えました。英語やひらがななどは、教えたり幼稚園で学んできたというのも有りますが、カタカナに関しては、完全に子供の独学です。
今では4歳の長男は英語(アルファベット)、ひらがな、カタカタを読むことが出来るようになりました。
(ひらがな、カタカナの書きは現在、練習中。アルファベットは読み書きできるとい状況です。)
自分で文字入力をして、見たいゲームの動画を検索したりします。

次男も2歳(今月3歳)になりますが、手先を器用に動かして、ゲームをしたり、Youtubeを見たりします。ゲームやIphoneは子供に対して、決して悪いことばかりではありません。

親と子供が一緒になって取り組むことで、非常に有用なコミュニケーションツールとして役立ちます。

もちろん、ゲームやIphoneだけでなく外遊びやクラフトなども必要ですが、必要以上にゲームを子供に与えることを毛嫌いする必要はないと思います。
ゲームを通じて学べることもありますし、要はゲームという道具をどのように使うか?ということだと思います。
ただ、買い与えて遊ばすだけでは、子供にとってはただの玩具(ゲーム)でしかないでしょう。
でも、子供と親が一緒に考えたり、遊んだりすることで、ゲームはコミュニケーションや子供の教育において有効なツールに変わります。

ぜひ、皆様も子供と一緒にゲームを楽しまれてみては如何でしょうか?

2013年6月4日火曜日

【仕事】近況報告 シンガポール編

前回の更新から丸々1ヶ月が経過してしましましたが、今回は色々と近況報告も兼ねたエントリーになります。

時の経過は早いもので、僕が海外に出て4年、シンガポールに来星して、早1年半が過ぎました。
地味に、家族一緒に暮らせた国と言うことでは、最長の国となりました(笑
結婚して5年が過ぎましたが、当初は家族で一緒に過ごす時間が欲しくて、海外に飛び出しましたが、最初は国をまたぐ引越しに次ぐ引越し。
次男の出産などもあり、ここ5年で家族で腰を落ち着かせて一緒に暮せた時期は、ほとんどありませんでした。

そういう意味では、シンガポールでは家族と共に時間を共有し、仕事も充実していて、本当に公私共々、充実した日々をおくれています。
シドニーでの生活も本当に充実していましたが、次男の出産もあり、家族で一緒に暮らせたのはわずか4ヶ月のみ。。。(^^;
(また、機会があればシドニーの友達たちには会いたし、チャンスがあればもう一度くらいオーストラリアで生活してみたいかなって思えるぐらい、住環境は素晴らしい国です!!)

さて、そして本題の近況報告です。
無事にfast and furious 6(邦題:ワイルドスピード・ユーロミッション)の納品も無事に終わり、現在、全米にて絶賛公開中!しかも、全米ラインキング2週連続1位を獲得!!!日本国内では7月6日から全国公開となります。(詳細は以下)

Fast & Furious 6(IMDB)

Fast & Furious 6 Offical web site 

ワイルド・スピード・ユーロ・ミッション(日本語公式サイト) 


  
そして現在も来年5月14日全米公開のハリウッド版ゴジラの制作に従事していて、日々忙しくも充実した日々をシンガポールの地で送っています。

Godzilla(IMDB)

また、ゴジラだけでなく他にも発表されていない大作も目白押しで、年内は相当忙しくなることが予想されます。

夢であるハリウッド映画、しかも大作に続く大作!に関われて、自分の夢を現在進行形で実現している訳ですが、まだまだ夢半ば!!!!!これからも自分の目標に向かって、今以上の幸せな家庭を築くためにも日々精進ですね!!!!

なんだか映画の宣伝っぽいエントリーになってしまいましたが、自分が大切にする幸せな家庭という軸がぶれることなく、仕事に育児、趣味に今後も励んでいければなっと思っています!!!

2013年4月28日日曜日

【CG】 夢・現在進行形!

さてさて、本日のブログエントリーは少々、長くなってしまいますがお付き合い頂ければと思います。
とりあえず、今回は報告させて頂きたいことが2つあります。

1つはKobe Studio Seminar for studiesの外部アドバイザーとして、映像表現以外でのCGの可能性や教育など、様々なワークショップ開催のためのアドバイザーとして就任することとなりました。
今後はKobe Studio Seminar for studiesを通じて、CGの今後の可能性、後身への指導、情報提供など積極的に協力できればと思っています。

Workshopの日本語ページ
http://wwwmain.h.kobe-u.ac.jp/kobe_studio_seminar/workshops_s.html.ja
Talkの日本語ページ
http://wwwmain.h.kobe-u.ac.jp/kobe_studio_seminar/talks_s.html.ja


<過去にご協力させて頂いたワークショップ>
ワークショップ: A world of computer graphics and their perspective
-CG業界で働いていくこと-



もう1つはCGとはまったく関係ない私事のですが、シンガポールにあるGLOBAL FOOTBALL ACADEMYというサッカースクールにお父さんコーチとして参加させて頂くことになりました。
サッカーを通じて人に”教える”(教育)という部分を自分なりに成長させていくことが出来れば、今後のCGの分野においても、後身の指導、教育という部分に必ずプラスになるのかなっと考えています。

さてさて、ここからが本題ですが、僕自身も海外生活4年目を向かえ、ようやく日本で働いている感覚と同じ感覚で海外でも仕事が出来るようになってきました。
そんな中、夢・現在進行形と言うことで、現在はであったハリウッド映画に携わることが出来き、中でも大好きな実写系ライブアクションを中心に関わらせ頂いていますが、更なる自分自身の成長、更なる夢の実現に向けて、5月から自分なりに色々な部分で新しいことに挑戦していこうかと思っています。

【仕事:行動力】
今までは色々なことを考慮して、自分なりに無理がない程度にフリーランスの仕事をこなしてきたのですが(お断りする案件も多々ありました。)、5月からはリミッターを外して、がむしゃらに今まで以上に積極的にフリーランスの仕事に取り組んでいこうかと考えています。理由は色々とあるのですが、将来のことを考え、更なるスキルアップと日本の個人、企業との更なるネットワークの構築、強化が目的です。今後は今まで以上に積極的に行動して行ければ!!!もちろん、 DNEGの仕事に影響が出ない範囲でですが。


【教育:後身の指導、日本への知識、技術提供】
シンガポール、日本で学生、プロの方を対象としたセミナーをいくつか開催させて頂きましたが、今後は今まで以上に、後身の指導、教育、日本への技術、知識提供を積極的に行っていこうと考えています。これに関してもいくつか理由があるのですが、一つには日本の状況があります。
海外の学生と日本の学生のレベルの差が眼に余る部分もあり、 Digital Artistへのなり手が減少傾向にあると言うことで、少しでも日本の学生がCG,ゲーム業界に興味を持っていただけるように、色々な部分でご協力できればと思っています。そのためには自分も教えるという部分で、今まで以上に勉強していかないといけない!そういう思いもあり、Kobe Studio Seminar for studiesの外部アドバイザーや分野は違えどGlobal Football Academyのコーチを通じて、色々と成長できればっと考えています。


【将来:更なる夢の実現へ向かって!】 
僕自身、ハリウッド映画に携わると言う最初の夢が叶ったとは言え、まだまだ現在進行形で、更なる夢の実現へ向けて、色々と成長していかないといけないなっと思っています。DNEGとの契約がまだ残っていますが、契約終了後、DNEGとの契約を延長しシンガポールでの生活を続けるのか?夢であったニュージーランド・WETAへの就労を目指し再挑戦するのか?はたまた日本に戻り行動を起すのか?現段階ではまだまだ解りませんが、どの道に進むにしても、自分の成長と言うのは必要不可欠です。そのためには業界にとらわれない人材ネットワークの構築、自分自身のスキルアップや教育、指導して行くための教養、のうはうも学ばなければいけません。まだまだ夢・現在進行形です!!!

今後も自分の夢、野望実現のために頑張っていきますので、ご協力、応援して頂ければっと思います。

5月からは、更に業務が多忙を極めると思いますので、更新の頻度が落ちてしまうかもしれませんが、今後とも北田栄二の海外武者修行をよろしくお願い致します!!!

2013年4月23日火曜日

【生活】なぜ海外就労にこだわるのか?なぜ海外就労を続けるのか?

国内で働く人、国外で働く人、人それぞれ色々な理由があると思います。そんな中、なぜ僕が海外就労にこだわるのか?なぜ今の状況で海外で働き続けるのか?その辺を順を追って、今回のエントリーではご紹介できればと思います。

理由は色々とあるのですが、一番大きな理由は生活スタイルですね。日本と違い、海外のプロダクションでは労働時間がそれなりに管理されているので、平日の夜、週末はほぼ確実に家族と自分の時間が確保できます。もちろん、締切直前は別ですが。
なので、仕事が終わった後に、家族と過ごすこともできるし、週末や平日の夜は趣味やフリーランスの仕事をすることも出来ます。会社に拘束される時間が少ない!自分の時間が持てる!というのが、一番大きいです。

これが僕が海外就労にこだわり、海外で働き続ける一番大きな理由です。
残念ながら、この点に関しては、僕の知る限り、まだまだ国内では実現できないのが現状です。(起業したり、在宅で仕事をする場合は別ですが。)


次に大きな理由がプロジェクトとプロダクションです。プロジェクトの規模や予算、アーティストのレベル、スーパーバイジング、タスクマネージメントなど、日本では絶対に学べないことがあるということが非常に大きいです。僕の中で、常に向上したい、学びたいという強い欲求があります。これを満足させるためというのも一つの理由かもしれません。

またアーティストやプロダクションのレベルも日本に比べて高いです。(アーティスティックな分野とテク二カルな分野に両方に精通しています。)
日本も個人レベルでは、海外のアーティストと遜色ないと思いますが、プロダクションレベルになった時に、非常に大きな差があると感じています。
全体的に粒が揃った日本で学ぶよりも、日本人よりも下手な人も圧倒的に多いが、飛び抜けて上手い、すごい技術、知識を持ったアーティストも大勢います。そういう意味では、個を磨くためには、日本よりも海外の方が、より個を磨く、新しい知識、技術を習得するチャンスは多いのかな?という理由もあります。


そして、最後の理由は出会いとネットワーク(人脈)の構築です。海外で働いていると色々な国籍、人種の友人が出来ます。異国で出会う日本人も大勢います。こういった人たちとの出会いや、違った環境、文化に実際に触れて、そこで生活することで、日本では得ることが出来ない多様性に触れることが出来ます。

これは将来、自分が起業するにしろ、会社で勤めるにしても、多様性と今までに培った人脈は必ず、自分の将来の役に立つと思っています。
特に海外で働き続ける場合、人脈という名のネットワークは必要不可欠です。特にここ最近のVFX事情を考えると尚更だと思います。こうしたネットワークの形成と自分自身の価値観に多様性を持たせるために、もう少し自分なりに納得するまで、海外就労にこだわって働いてみようかな?っと考えています。

もちろん、海外で働き続けることでデメリットもあります。海外でのコネクションが出来ても、日本国内でネットワークが構築できなかったり、いざ本帰国っとなった時の職場の確保です。この辺は今後の僕の課題でもあるのですが、フリーランスの仕事を通じて、この問題には取り組んでいければなっと!!他にもデメリットは多々あるのですが、今回は割愛。詳しくはこちらをご覧下さい。

【仕事】 海外就職のデメリットとリスク

今のところ、この3点が、僕が海外就労にこだわる大きな理由ですが、必ずしも正しい選択か?と言われると疑問符がつきます。ここ最近のVFX事情から、実際に幾人かの友人が本帰国を決め、日本での再就労を決断した人もいます。
どういった選択が正しいのか?置かれた状況、本人の意思によって異なると思いますが、僕自身は後悔がない選択を今後もしていきたいなっと思っています。

次回エントリーは5月を予定しています!
自分なりに新しいチャレンジを始めるので、そのご報告ができれば良いのかなっと思っています。ご期待下さい。

2013年4月18日木曜日

【質問】 質問にお答えします! その9

31-1.多角形ポリゴンについての質問です。MAXで多角形を扱う場合、内部的には三角形で構成されているので、特に多角形だからということで問題になることはないとおもうのですが? 

これはMAXに限ったことでは無いのですが、MAYAでも同様に3Dソフト内で多角形を扱う場合は、内部で三角ポリゴンとして保管しているケースが多いです。
ただ、セミナーでもお話しましたが、3Dソフトウェアから外に出した場合(他のソフトに読み込んだ場合、HOUDINIやREALFLOW、その他の3Dソフトなど)などは、状況が少し異なります。レンダーウェアで扱う時も同様です。多角形をサポートしていないソフトウェアで多角形を扱う場合は、面が欠損したり、法線が裏返ってしまったりと言うことも珍しくありません。
海外のプロダクションでは一つのソフトウェアで完結するケースはほとんどありません。特に大手プロダクションの場合はなおさらです。したがって、モデラーはありとあらゆるソフト、レンダーウェアに対応したモデルを作る必要があります。なので、分割面を自分でコントロールできない多角形や負四角形は使用を避けた方が良いと言う訳です。
  

31-2.また、多角形や負四角形は制作現場でも使用不可の現場が多いと思うのですが、いかがお思いでしょうか?

僕はそうは思いません。リアルタイムの経験はないので、リアルタイムの制作現場においては分かりませんが、少なくとも映像制作においては、まだまだ多角形や負四角形、法線の反転、不正ポリゴンが使用されています。これは国内外問わず、意識しているモデラーの人は少ないです。あくまでも、僕の経験上の範囲での話になってしまいますが。


32.海外のモデリングと日本のモデリングの違いについて教えてください。
基本的に違いはないと思います。ポリゴンベースでモデリングしますし、それほど大差はないように感じます。
ただ、セミナーでも言いましたが、日本のプロダクションではソリッドモデリングが主流で、サブディヴィジョンモデリングはあまり使われていない印象です。特に背景に関しては。あとはディスプレイスメントマップで細かいディティールを作る海外のプロダクションに対して、日本では真面目にポリゴンで作っている印象を受けます。これはレンダーウェアの違いからかもしれません。。。

あとポリゴン数に関しては言えば、僕の経験だけで言えば、日本国内のプロダクションのモデリングの方がポリゴン数は多かったですね。これは僕が勤めたプロダクション、案件がたまたまそうだっただけかもしれませんが、大体2倍から3倍ぐらい重いですね。スクエニ時代に関しては、さらに重いデータを扱っていました(^^;
ヒーローアセットに関してはそれほど大差ないように思いますが、その他の部分では日本のプロダクション、案件の方が重いデータを扱っている印象です。

これは先ほどのレンダーウェアの違いや文化的な違いがあるのかもしれませんが、細かいディティールから作り始める日本のスタイルに対して、海外の場合はシルエットから作り始めるので、見えない部分は、非常にラフでシンプルな作りだったりします。(プロジェクトや監督に依存する部分もあるかもしれませんが、ILMとWETAに関しては例外です。。。この二つのプロダクションを基準に考えないほうがいいですねw)


33.北田さんは日本の業界に何を求めますか?
非常に難しい質問ですし、僕が日本の業界に対して意見して良いのかどうかわかりませんが。。。労働環境の改善は以前から言っているように、なんとかしたいですね。あとはデモリールの公開とかもプロダクション、アーティストが胸を張って、僕が作りました!!!っと言えるような環境になれば良いかな?っと思います。現状、守秘義務や肖像権の問題で、公開できないものがほとんどだと聞いています。僕もそれにむけて、何かしら尽力できればっと思っていますが、個人ではどうにもならない部分でもありますので。。。非常に難しい問題だと感じています。


34.日本の学生と海外の学生の作品にはかなりの差があると、以前Twitterなどで呟かれていましたが、何故その差が生まれたとおもいますか?
これは単純に日本と海外プロダクションの差だと思っています。海外プロダクションと日本のプロダクションで差が生まれたのと同じで、それと同じだけ、学生に差が出たのだと思います。僕が学生の頃に比べ、今の学生の作品ははるかにレベルも高いですし、決して日本の学生が成長していない訳ではないと思います。ただ、海外のプロダクション、学生の方が、成長が早かっただけなのかな?っと。


35. 北田さんは帰国しないのでしょうか?->起業はしないの?
これも難しい質問ですね(^^; 本帰国、起業というのは将来の選択肢の一つであることは確かですが、いますぐにどうこう?というのは考えていません。帰国の時期もまだ未定です。ただ、今後も日本の業界のために何か出来ることがあれば、尽力したいなっというのは変わりません。業界の数年先が見えないのと同じで、現状は状況に臨機応変に対応するしかないのかな?っと。ただ、目標というか、ぼんやりと自分なりに思い描く将来像はあるので、当面はそれに向けて頑張るだけかな?っと。


36.海外でも大きなプロダクション以外はだいぶdnegと事情が違いそうな気がしますが、その辺も教えて欲しいです。小さい海外プロダクションはどうなの?
中小規模でのプロダクション経験が無いので、聞いた範囲でしかお答えできませんが、予算や規模などもかなり違うし、労働環境も違うと聞いています。ただ大手でも残業代を支払わない会社や、年棒制、プロジェクト契約に切り替えている会社は多いと聞いています。現にUKの会社は残業代を支払いません。これはそれぞれの国や文化、法律によって異なると思います。


36.海外で言うR&Dと国内で言うR&Dの違いは?
おそらく根本的な部分で”開発”をする”検証、研究”をするという意味では変わらないと思います。ただ、国内に比べて、海外のプロダクションではその比重が日本よりも大きいと感じています。これはプロダクションの規模にもよりますが、大手であれば開発対する比重は非常に大きいですし、予算もしっかりと確保されている印象を受けます。これも僕の経験の範囲での話なので、プロダクション、国によって多少は異なると思います。


37.R&Hなどの件以降の海外の雰囲気は?
DDの倒産以降、映像、ゲーム問わず、不幸なレイオフのニュースが毎日飛び交っているので、明日は我身?という感じでしょうか?実際に元同僚や知人も職を失いましたし、明るい話題は少ないですね。。。。


次回は、しばらく放置してしまっていましたが、 僕が現在も帰国をせず、なぜ海外就労に拘るのか?なぜ海外就労を続けたいのか?その理由と現在の心境をまとめられればっと思います。

2013年4月17日水曜日

【その他】 セミナー統括 後編

さて、前回に引き続き、今回もセミナーの総括をさせて頂こうと思います。今回の帰国の主目的でもあった【BD CG Study Pro 特別講座:エキスパートプログラム】について総括させて頂ければと思います。

このセミナーではリニアフローの基礎に始まりモデリングも基礎から応用、テクスチャーの考え方、描き方、ルックデブ(物理ベース)でのシーン構築までを3時間半で説明するという内容だったのですが、当初の予定通りというか、最後の方は時間が足りなくなって駆け足になった部分は、僕自身すごく反省する部分ではありますね。

特に最後のセッションでシェーダーのチューニングについて説明出来なかったこと(特にIORと反射率、フレネルの部分で)が非常に心のこりでした。今後の課題ということで、僕自身、非常に勉強になりました。

頂いたアンケート結果からは、概ねポジティブな意見、感想が多かったので、一安心しています。中でも一番嬉しかったのは、僕が登壇するという理由で参加して頂いた方が多く、素直に嬉しかったです。


あと、これも想定の範囲内というか、予想していたことなのですが、今回のセミナーに関しては、万人に解りやすく、広く浅くという部分が元々僕のコンセプトにあったので、参加された方の中には、物足りない部分は多々あったかもしれません。
もう少し掘り下げて、説明する場合は各項目だけで、2、3時間は必要になるかもしれません。もちろんデモンストレーションの時間も含めてですが(^^;
その辺も、今後セミナーや講義を開催する上での僕自身の課題かもしれませんね。

ただ、モデリングやテクスチャー、UVなどに関して言わせて頂ければ、一日、しかも数時間で語れるほど簡単な物では無いですし、そもそも正しい答えという物が存在しません。(13年モデラー、テクスチャーアーティストとして働いてますが、いまだにトポロジーの流れやUVの効率的な開き方、レイアウトに関しては、答えを探し続けていますし、テクスチャーに関しても同様です。)同じ形状でも10人が作れば、それぞれが違ったトポロジーの流れになるでしょうし、十人十色だと思います。なので、今回のセミナーで説明した基礎の部分を踏まえて頂いて、独自に答えを見つけていただければなっと思う次第です。

 リニアフローや物理ベースの話にしても、ある程度、リニアフローに関しては海外でも確立された方法ですが、物理ベース(フィジカルベース)はまだまだ発展途上の技術で、各プロダクションによって考え方や設定方法が微妙に異なるのが現状です。そもそも何をもって物理ベースか?という定義もプロダクションによって異なりますので、セミナーでも説明させていただきましたが、フィジカルベースというのは、考え方や仕組みの話で、方法論として、実際に確立されている訳ではありません。その辺は、今後確立された技法が将来出てくるかもしれませんが、その辺も踏まえて、僕自身、最新の情報、技術を追って行ければと考えています。

今回のセミナーでは、僕自身、学ぶべき部分も多々ありましたし、今後に繋がる部分もいっぱいありました!色々な意見、感想あるかと思いますが、今回のセミナーは僕自身大成功と言って良いのではないかな?っと思っています。

最後になりましたが、今回のセミナーを企画して頂いき、僕が課題としている日本への技術、知識の還元を行なう場とチャンスを与えてくださった、ボーンデジタルの皆さん!セミナーに参加して頂いた参加者の皆様!本当にありがとうござりました!

次回はセミナーに関する補足として、メールフォームより幾つか質問を頂きましたので、それに答えさせて頂ければっと思います!!!

また、セミナーに関わりなく、質問やご意見などあれば、メールフォームよりお気軽にご連絡ください。多少、お時間を頂くかもしれませんが、必ずお返事はさせて頂きます。

【その他】 セミナー統括 前編

さて、今回はセミナーの統括です。3月、4月でシンガポール、日本合わせて計4回のセミナーを行わさせて頂きました。

3月16日 ラサール・アート・オブ・カレッジ シンガポールにて現地学生に向けた”Modeling Master Class”を開催しました。
こちらのセミナーでは、モデリングの基本から応用までを朝10時から17時まで6時間をすべて英語で行いました。僕自身、英語ということで凄く不安だったんですが、講師のヒラリー(元WETA Digital Texture Supervisor)が上手くフォローしてくれて、事なきを得ましたが。。。(^^;
僕自身、はじめての英語での講義ということで、非常に良い経験が出来たセミナーでした。学生のレベルは日本の学生とさほど変わらない印象ですが、カリキュラムにアナログの造形やデッサン、デザインなどの授業が組み込まれていて、日本の専門学校とは少し、アプローチの違いを感じました。写真は講義終了後に、現地学生と記念撮影!お疲れ様でした!



4月9日は神戸大学発達科学部でKobe Studio Seminar”ワークショップ: A world of computer graphics and their perspective -CG業界で働いていくこと-”を桐生さんと僕がお世話人として開催させていただきました。
こちらでの詳細は控えさせていただきますが、制作現場、地方、開発、教育など様々な角度から、CG業界で働いていくことはどういうことか?どういう可能性があるのか?などを痴山さん、テラオカさん、神戸芸術工科大学の吉田先生(吉蔵さん)のご協力を得ながら、討論させて頂きました。
CG業界だけでなく、他業種の方と意見交換、お知り合いになれたのは、僕自身、非常に刺激的な時間でしたね!今後も色々な形でKobe Studio Seminarに関わって行って、業界の垣根を越えた意見交換、CGの可能性を広げていくことができればっと!今後の続報に期待してください!


Workshopの日本語ページ
http://wwwmain.h.kobe-u.ac.jp/kobe_studio_seminar/workshops_s.html.ja
Talkの日本語ページ
http://wwwmain.h.kobe-u.ac.jp/kobe_studio_seminar/talks_s.html.ja

4月12日は河合塾学園 トライデントコンピュータ専門学校の業界研究の一こまをお借りして90分の講義を行わさせて頂きました。こちらは新2年生が対象の授業ということで、シンガポールで行った”Modeling Master Class”を再編集して、初級編として、モデリングの基本的な知識、モデリングの基礎など限定して、講義をさせて頂きました。あと業界就職についても少しだけお話したかな?
トライデントの生徒は非常に意識が高く、卒業制作もレベルが高いです。卒業生の多くも業界就職を果たしています。中でも非常に個性的だと思ったのは3年生のコースにも関わらず、初年度の1年生は、ほとんどコンピューターの授業がなく、アナログナ授業が多いということです!
この当たりのカリキュラムはシンガポールのラサールに似ているとな!っと。シンガポールの学校やフランスの学校と交換留学も行っていて、非常に国際的な視野を持った学校だという印象を持ちました。写真は授業後に生徒、先生の皆さんと集合写真を撮りました!日本のCG業界の将来を担う若者達です!!!頑張ってほしいですね!


さて、次回のエントリーでは後編ということで東京、浅草橋のHULIC HALLで行われたボーンデジタル主催の”BD CG Study Pro 特別講座:エキスパートプログラム”についての総括をご紹介できればっと思います!!!

2013年4月2日火曜日

【その他】 セミナー

前回のエントリーから長らく日にちが空いてしまいましたが、来週から日本に一時帰国します。それに伴っていくつかセミナーを開催いたしますので、ご紹介させて頂きます。

4月9日(火)
ワークショップ: A world of computer graphics and their perspective -CG業界で働いていくこと-


開催日時:2013年4月9日(火) 10:00~18:00
場所:神戸大学発達科学部 B202

ワークショップ世話人
桐生裕介 (Studio Phones), 北田栄二 (Double Negative Visual Effects)

WEB
日本語サイト
英語サイト

参加資格:誰でも可




4月12日(金)
業界研究授業:モデリングマスタークラス 初級編


講義日時:2013年4月12日(金) 13:15〜14:45
場所:トライデントコンピュータ専門学校

WEB
トライデントコンピュータ専門学校

対象学生:CG スペシャリスト学科2年生及び学校関係者のみ
※授業の一部として行いますので、一般の方は参加できません。ご了承ください。




4月13日(日)
BD CG Study Pro 特別講座:エキスパートプログラム


開催日時:2013年4月13日(土)13:00~17:00(開場12:30)
※17:00~18:30 交流会アクセス
場所:ヒューリックホール(東京 浅草橋)ーー>>アクセス

WEB
BD CG Study Pro 特別講座:エキスパートプログラム

参加対象:
-ボーンデジタルとのAutodesk Subscription 契約が有効な方
-BDサポートの契約が有効な方



僕の海外武者修行の目的でもある、日本への技術と知識の還元!色々と課題も多いと思いますが、少しでも世界の技術、知識を日本の業界関係者やプロダクション、学生の方々に還元できればと思っています。そして、今回の帰国、セミナーで少しでも皆さんのお役に立てれば幸いです!!

皆で日本のCG業界を盛り上げていきましょう!!!それでは、当日、皆さんとお会いできるのを楽しみにしています。

2013年2月18日月曜日

【CG】将来のCG業界について自分なりに考えてみる

前回のエントリーに続き、自分なりに将来のCG業界について考えをまとめてみました。
※今回のエントリーはあくまでも、僕の主観的な考察、考えを整理したものであり、必ずしも僕の見解が、業界全体の変化を正しく表現されたものではないことをご理解ください。


【税制優遇について】
税制優遇については、正直、今後どうなっていくのか?まったく想像がつきません。今後もしばらくは税制優遇による、プロダクション誘致、撮影誘致など各国のチキンレースが続くのか?それとも縮小、廃止の傾向を強めていくのか?ただ、僕個人的には州や国が赤字を出してまで、誘致する意味はないと思うので、ニュージーランドやロンドンなど、経済的な部分で赤字になっていない国以外は、今後は縮小傾向になっていくんじゃないのかな?っと予想はしていますが、本当にまったく想像がつきません。

【アメリカについて】
前回も言いましたが、僕はアメリカでの就労経験がないので、なんとも言えませんが、一度アウトソースされ、同じようなクオリティが諸外国でも作れることが証明されてしまった現在では、アウトソースの流れは変わらないと予想しています。これは税制優遇の有無に関わらず、今後もアウトソースは続くと思います。”覆水盆に返らず”という言葉があるように、一度流れ出た仕事はおそらく戻ってくるのは難しいでしょう。また、一度下がったコスト(厳密には映画のバジェット自体はそれほど変わっていない)を、元の価格に戻すのは非常に困難だと言わざるをえません。
ただ、アメリカでは一部アーティストやプロデューサーなどが中心になり、海外で制作されたショット、映画に関してはインポートタックス(輸入税)を課そうという動きを国に働きかけていると聞いています。これは友人から聞いた話なので、実際にこういった動きが本当にあるのか?どうか?信憑性は定かではありませんが、もし海外で制作された物に対して、輸入税を課せられるのであれば、税制優遇で制作費を安く抑えられたとしても、輸入税を課せられることで相殺となれば、仕事の一部はアメリカに戻ってくる可能性もあると思いますが、それも仮定の話なのでなんとも言いがたいのが現状です。


【諸外国プロダクションの動向】
税制優遇の有無に関わらず、今後もアウトソースは続くと思うので、諸外国のプロダクションはいかに限られた牌(アウトソースされる映画、ショットなど)を受注できるか!?ということが集点になってくると思います。
現在は、税制優遇を背景に、優遇税率の高い国、州、都市に集まる傾向がありますが、税制優遇次第なので、今後、どうなっていくかは解りません。税制優遇をやめれば、一気に仕事を失い、閉鎖されるプロダクションも増えてくるでしょう。今後、諸外国のプロダクションの競争は一層激化すると予想されます。その分、海外就労を目指す方のチャンスは増えるかもしれません。


【日本のプロダクション事情】
日本のプロダクション事情に関しては、外資を取り入れている、海外コンテンツを主に制作しているプロダクションは少なく、海外のVFX事情に比べて、仕事の量や会社の数というのは安定しているように思います。ただ、今後も同じように仕事が安定してあるのか?というと、僕はそうは思っていません。
そういう意味では、日本のプロダクション事情は転換期に来ているのだと思います。海外市場を見据えて、海外資本、コンテンツ、技術、知識、フローなどを積極的に取り入れていく、海外市場型のプロダクション。
もうひとつは、国内市場を押さえつつ、国内のコンテンツを海外市場で売ることで、外資をっと考えている日本発海外市場型のプロダクション。
最後は、国内市場に集点を当てた、国内市場型のプロダクション。

(アニメ系プロダクションに関しては専門知識も就労経験も無いので割愛させて頂きます。)

どれも一長一短で、どの選択肢が正しいのか?という判断は出来ませんが、上記のようなプロダクションが今後は増えていくのでは?っと僕自身は考えています。

【海外在留アーティストについて】
僕も含めて、海外在留アーティストの方々の多くは、最終的には帰国して日本で働きたい!っと考えている人が多いと聞きます。特に家族を持っておられる方は、そういった意識が年々強くなってきているのではないでしょうか?
今までは一つの国で、腰を落ち着かせて仕事を出来ていた人たちも、今後は家族を連れて、異国を転々とする生活を強いられることになると思います。現に去年、今年に入って続々と友人が日本への本帰国を決意し、日本のプロダクションで働きまじめました。今後もこういった流れは続く反面、国外へ飛び出すアーティストも増えてきています。帰国する人、海外へ出る人、アーティストが流動するのは、日本の業界にとって非常にプラスになると私自身は考えています。

また、日本への本帰国を本格的に考えている、海外在留アーティストの方(本気で考えている人たち)は、出来る限り早い段階での本帰国が良いのでは?っと僕自身の主観ですが、そう感じます。
今のタイミングであれば、海外からの技術や知識を持ち帰ることが出来る人は重宝されますし、海外市場型のプロダクションでは非常に重宝されるでしょうし、自分自身の経験や知識も活かせると思います。数年後に本帰国を決めて、帰国された方よりは日本への職場の慣れや、ポジションなどを考えれば、早い段階で本帰国を決意されるのも間違った判断ではないと思います。


僕自身はまだまだ本帰国の意思はないのですが、早い段階で本帰国することが、その人にとって良いのか?悪いのかは?各個人の環境やケースによりけりだとは思います。この辺の判断も非常に難しいところだとは思いますが。。。。


ただ、海外でしか就労経験がない海外在留アーティストの方が日本のプロダクションにフィットするまでには、時間と慣れ、忍耐が必要になると思います。組織かされた国内プロダクションでも、海外の組織化されたプロダクションとは大きく異なります。自分の話している事が理解されず、話が成り立たない場合もあります。また、日本のプロダクションでも海外在留アーティストを雇う場合は、外国人を雇うのと同じような感覚で雇う気構えが必要かもしれません。


次回エントリーでは、 僕が現在も帰国をせず、なぜ海外就労に拘るのか?なぜ海外就労を続けたいのか?その理由と現在の心境をまとめられればっと思います。

2013年2月13日水曜日

【CG】現在のCG業界について自分なりに考えてみる

本来なインタビュー総括を予定していましたが、今回はR&Hの倒産、ドリームワークス
のレイオフなど、近年、業界全体の急激な変化が起こっています。今回のエントリーでは業界全体の動向について、自分なりの考えを整理したいと思います。

※今回のエントリーはあくまでも、僕の主観的な考察、考えを整理したものであり、必ずしも僕の見解が、業界全体の変化を正しく表現されたものではないことをご理解ください。

【R&H社倒産について】
まずR&H社の倒産について。これは先日CH11を申請したDigital Domain(以下DD)やDisnyに売却されたLucasFilmGroupとは状況が異なります。
DDの倒産は本来の業務とは別の部分が原因での倒産のため、運営、経営する部分に責任が起因しての倒産ということが推測できます。またLucasFilmに関しても、業績悪化による売却、買収という訳ではないので、R&H社の塲合とは大きく異なります。

それでは今回のR&H社の倒産は何を意味するのか?R&H社は純粋にVFXの受注を行なうことで経営を行なってきた会社の一つです。添符したDEMOREELを見て頂いてもわかると思いますが、R&H社のVFXのレベルは世界でもTOPクラスのスタジオです。経営に関しても、毎年コンスタントに映画の受注に成功していました。そんなR&H社の倒産が何を意味するのか?

 Rhythm and Hues Studios - Demo Reel 2012

これはあくまでも、僕個人の見解ですが、FVXの純粋な受注(税制優遇によるタックスオフセットが無い場合、他からの制作費、資本援助がない場合)だけでは、スタジオが経営を維持出来ない事を意味していると思います。
現在、多くのプロダクションでは税制優遇による資本援助(一部制作費を国が負担する形で)を受けてプロダクション経営、仕事の受注が成り立っています。
僕が現在勤務しているDoubleNegativeも例外ではありません。イギリス政府からの税制優遇を背景に、イギリス係プロダクションは仕事の受注に成功しています。
もちろん制作を依頼する製作会社、配給元も税制優遇をすでに予算に組み込んでいます。


【税制優遇について】
税制優遇は代表的な国で言えば、ニュージーランド、オーストラリ、イギリス、バンクーバー、シンガポールなど、タックスオフセットの%は違えど、多くの国で実施されています。ある国でも制作費の3割から4割を負担する国もあります。しかし、この税制優遇は未来永劫続かないと僕は考えています。

現在、税制優遇を背景に制作コストをどこまで下げられるか?という各国プロダクションのチキンレースが続いています。制作費を下げないと、仕事の受注すら困難な状態です。したがって、R&Hの様に堅実な経営をしていても、制作費を下げざるを得ないというのが現状でしょう。言うなれば、仕事をすればするほど赤字が出るよいう訳です。しかし、仕事を受注しないと収入を得られない→制作費を下げて仕事を受注→結果、採算が取れずに経営悪化という悪循環が続いているのだと推測できます。

現にカナダのBC州では税制優遇を行うことで、去年は大きな赤字を計上してしまいました。そのため、BC州では映画産業への税制優遇を縮小、廃止するか?という議論が上がってきています。それに対してSaveBCと言うように、税制優遇を継続して欲しいというアーティストの署名活動も行われています。即廃止という訳ではないでしょうが、本来、税制優遇の目的は映画を誘致することで、州や自国に雇用や外資を産み、産業を発展させるのが目的の一つです。しかし、産業が発展しても、州や国の財政を赤字にしてしまい、財政っを今後も圧迫し続けるのであれば、長くは続けることはできないでしょう。そういう意味で、税制優遇は未来永劫続かないでしょう。


【アメリカについて】
アメリカ本土については、僕自身、就労したことがないので、詳しい状況、詳細は情報集した結果から、推測するしかありませんが、僕が考えていた以上に深刻な状態にあるように思います。元々、数年前からアウトソースが主流となり、大小含めて多くのスタジオが閉鎖を余儀なくされました。

今回のDWのレイオフ、R&H社の倒産に伴い、少なからず僕の友人の幾人か(日本人、外国人含め)が職を突然失いました。アメリカで長年働いていた幾人かの友人は、アメリカを離れ他国へ行くことを決断しました。

今後のアメリカについては予想するのが非常に難しいですが、税制優遇の有無に関わらず、海外の諸外国でも同じクオリティの物が作れると解った以上、アウトソースの流れは変わらないと予想されます。

R&Hの倒産以前の中小プロダクションの閉鎖に見られるように、アメリカ本土でのVFX産業はすでにビジネスとして破綻していると推測されます。非常に悲しくも厳しいですが、現実として受け止めざるをえません。


【諸外国プロダクションの動向】
先ほど紹介した国々とは別にドイツやフランス、ブルガリア、ハンガリーなどでもVFX、CM、ゲームシネマティクスなどが制作されています。現在では税制優遇の恩恵でイギリス、バンクーバーに仕事が集まっている感じはありますが、オーストラリア、ニュージーランド、シンガポール、インドなど、アジア、オセアニアでもハリウッド映画は制作されています。しかし各国のプロダクションも仕事を獲得するのは非常に困難だと聞いています。今後はインドや中国、タイ、フィリピン、マレーシア、台湾、香港などでも、今まで以上にハリウッド映画が制作され、価格競争がより熾烈を極める可能もあります。(すでに制作されている。。。)

今やハリウッド映画は世界中で制作されています。アウトソースの理由の多くがコスト削減、税制優遇を背景にした撮影、プロダクション誘致の結果だとおもいますが、その税制優遇が今後も未来永劫続くとは限りません。税制優遇というシステムにも徐々に綻びが見え始めてきました。

税制優遇が無くなれば、多くのプロダクションは仕事を失うでしょう。私が勤務しているDnegも例外ではないと思います。しかし、今後も税制優遇を宛にしたチキンレースを続ければ、遅かれ早かれプロダクション経営は破綻すると予想されます。


【日本のプロダクション事情】
僕自身、日本を離れてすでに4年が経過しているので、どこまで正確に日本のプロダクション事情について把握できているか解りませんが、自分なりに整理してみたいと思います。

日本ではGAMEシネマティクスチームを自社に持つスクエニ以外では、ゲームメーカーでの映像制作は非常に困難な状況にあり、多くが国内外のプロダクションにアウトソースされているのが現状だと思います。
映像関係に関しては、PPI、DF、OLM、SOLA DIGITALなどが海外市場をターゲットに入れたコンテンツ制作、受注制作を行っているように思います。
また白組のように国内のみをターゲットとしたコンテンツの制作を行っているプロダクションも存在します。

業界全体の流れとしては、海外市場をターゲットとしたプロダクションでは、積極的に海外のフロー、パイプライン、情報、知識、技術を取り入れようと、外国人の採用も積極的(?)に行なっているように思えます。
おそらく海外からの帰国して、日本で働こうと考えている海外在留アーティストの方はこういったプロダクションが勤めやすく、海外での経験を還元しやすいのでは!?と考えてはいますが。。。。。
しかしながら、日本のCGプロダクションの多くは遊戯関係のCGを制作することで経営が成り立っているプロダクションも多く、海外就労経験しかない日本人アーティストが、そういった仕事やオーガナイズされていないプロダクションフローに馴染めるか?という問題点も多々あると思います。

かなり長くなってしまいましたが、本日は以上です。自分なりに現在のCG業界について整理してみました。

次回エントリーでは、 将来(今後)のCG業界について、自分なりの考えをまとめていければっと思っています。

2013年2月8日金曜日

外国人が日本で働くためには! 第六回

以前から企画していた新コーナー第6回目です。

前回記事はこちら
外国人が日本で働くためには! 第一回
外国人が日本で働くためには! 第二回  
外国人が日本で働くためには! 第三回  
外国人が日本で働くためには! 第四回 
外国人が日本で働くためには! 第五回 



日本人が海外で働くためのブログ、エントリーを基本に書いてきましたが、今回はその”逆”で、外国人が日本で働くためには?とう切り口で、日本で働いた経験がある現役の外国人アーティストにインタビューを試みています。
外国人が日本で働くためには何が必要か?日本企業は何を変えるべきか?など大胆にインタビューを行いました。


シリーズ6回目の今日はジェネラリストにスポットを当ててのインタビューです。

※ 今回のインタビューは個人への配慮を考え、個人名を公開していません。ご了承ください。


-Please introduce yourself and give us a brief summary of your work experience.
自己紹介と簡単な職歴の紹介をお願いします。

I'm XXXXXX 29 years old.
I graduated from Supinfocom Arles (France) in 2006 and I built 5 years
experience of Computer graphics production in Japan.
In january 2007 I worked 1 year as a cg Generalist in a start up new studio with my friend.
After spending a year and half with Polygon pictures as a Layout artist, my
skills for story telling has been polished.
In mid 2009 I decided to become a freelance artist in which I had a chance
to direct and to manage production as a CG Generalist.
My last experience in Japan was between November 2010 and August 2011 when I
was working as a Lighting TD in Square Enix.

XXXXXXと言います。29歳です。フランスのSupinfocom
Arlesを2006年に卒業して、日本のコンピュータグラフィックスのプロダクションで5年間働きました。

2007年に、1年間CGゼネラリストとして友人と共に新しいスタジオの立ち上げたのために働きました。
ポリゴンピクチャーズでレイアウトアーティストとして1年半働き、ストーリーテリングのスキルを磨くことができました。
2009年の半ばには、フリーランスのアーティストになることを決心しました。CGゼネラリストとして監督やプロダクションの管理をするチャンスを得ることができました。
日本で最後に働いたのは、2010年の11月から2011年の8月までで、スクエアエニックスでライティングTDをしていました。


-What was your job title and your responsibilities? How long did you work in Japan?
あなたの職種と役割を教えてください。また、あなたは日本でどれぐらい働きましたか?

I worked in Japan for almost 5 years.
日本ではほぼ5年間働きました


-In general, how did you feel about working in Japan?(or more specifically, pros and cons?)
あなたは日本で働いてみて、どう感じましたか?具体的に長所や短所などあれば教えて下さい。

After I started freelancing in 2009 and that I could have the trust of some
of the clients I felt very comfortable and happy working in Japan.
during the time I was a freelance artist and while I was in Square enix I
could let my creativity express. I felt my potential used properly and I
could learn a lot at the same time.
So I ended my experience in Japan on my best feet. I'm very happy.

HOWEVER The two first year was a big shock for me.
I was fresh from school but I realized that even big companies would have
huge trouble of management. (for example to start modeling without having a
storyboard / to never set their mind and start doing something that we will
have to be redo from A to Z later).
All of those wrong process which will bring extreme deadline and crazy
overtime.
To be honnest at that time I couldn't believe my eyes such decisions were
done.
My friend and I were advising and pushing at every meeting the right
step for a CG production but we could never really transmit our knowledge.
We felt down because of that.
The project was a big lose of money, a big potential thrown by the window
and we didn't know what to say to improve the situation. They would not
listen.
I believe the ego of the company was the main issue.

To sum up, I think that if you are on your own as a freelance artist, or if
you are inside a company which as a solid pipeline. Working in Japan as a
foreigner is very enjoyable.
Only some few hierarchy problems will occur but it didn't bother me much.

2009年にフリーランスを始めてからは、複数のクライアントの信頼を得ることができて、日本で働くのは心地よく幸せな経験でした。フリーランスのアーティストだった頃と、スクエアエニックスで働いていた時は、自分の創造性を発揮することができました。自分の潜在的な能力を使うことができたと思いましたし、同時に多くのことを学びました。日本での経験を最高の状態で終えることができて、非常に満足しています。

でも、最初の2年間は大きなショックを受けました。
私は学校を卒業したばかりでしたが、大きな会社でも管理の点で大きな問題があることが分ったのです。(例えば、ストーリーボードを始めることなくモデリングを始めたりとか、最初に何をするか決めずに何かを始めようとすれば、終いには何から何までやり直すことになってしまうでしょう。)

そういった間違ったプロセスによって締め切りはきついものとなり、時間外労働が果てしなく続きます。正直に言って、当時はどうしてそんな決定がまかり通ってしまうのか自分の目を疑いました。わたしの友人と私は、ミーティングのたびにCG制作を正しい方向に進めようと、盛んに(自分たちの考えを)広めて押し進めようとしました。でも決して自分たちの知識を伝達することができず、そのせいで落ち込みました。

プロジェクトはお金を無駄遣いして、大きな可能性は投げ捨てられ、私たちはこの状況を打開するためにはどうすれば良いのか分りませんでした。彼らはまったく耳を貸さなかったし、会社のエゴこそが主たる問題だと思いました。

まとめると、もしあなたが自分で働くフリーランスのアーティストか、あるいは確実なパイプラインのある会社に勤めているのであれば、日本で外国人として働くのは楽しいです。多少、組織の階層構造の問題はありますが、それほど私には問題になりませんでした。



-What do you think are the differences between the working styles of Japanese companies and western-based companies?
あなたは日本の企業と欧米の企業のワークスタイルの違いについてどう思いますか?

 I don't know if I'm the best person to answer that questions since I worked
only few months in professional environment in France.
I'm not sure that what I'm gonna say apply as a generality in all company
across the globe. I just write down how I felt with my experience.

It seems that overseas, great ideas are never far away. Everyone as a chance
to grow.
Of course the hierarchy is important to direct a project but the best idea
wins, no matter who came up with it.
It creates an environment where everybody is happy to contribute with
something. You feel part of the project and you are more willing to give
your heart, it keeps you more excited.
It makes me remember when I was a student and that everybody was helping
each other to achieve their goals.
In Japanese company you feel more isolated, a little bit cut from the
overall, you feel like an antz doing is job. This make your day a little bit
long.

There are also some differences like make your work condition more
comfortable to produce better result.
Some Japanese company doesn't care much about your health, your work space
or the overtime you do for free. They expect you to give your life to them.
The longer you stay at work the better they look at you, I don't share this
point of view and I prefer to be in best health to use my full potential.

その質問に対して自分の答えが適切なものになるかどうかは分りま
せん。なぜならフランスではプロとしてほんの数ヶ月しか働いてないからです。世界中の会社で共通して言えるようなことは、自分の口からは言えないと思います。ですから、とりあえず自分の感じたことを述べておきます。

海外では、一番優秀なアイデアがものを言います。全員に成長するチャンスがあります。確かにプロジェクトを率いていく上で階層的な考え方は重要ですが、最高のアイデアが勝利します。それを誰が考えだしたかに関わらずです。みんなが何かに貢献することが楽しくなるような環境を作り出しています。プロジェクトの一員として、あなたが心から(プロジェクトに)打ち込みたくなるような、あなたがいつでも熱心に参加できるような環境です。みんながお互いを助けゴールを目指すことができた、自分の学生時代を思い起こします。日本の会社では、働いている人たちの間にもっと距離があって、全体的に何か足りない部分があって、まるで働きアリのような気分になります。このせいで1日が長く感じます。

その他、労働環境を良くすることでより効率良く結果を得られるようにする、などの違いもあります。日本では会社によっては、(社員の)健康についてあまり気にかけることがないようです。まるで人生のすべてを(会社に)捧げることを期待しているかのようです。より長い時間職場に居る人をより優遇しているように見えます。私はこの点は賛成でなく、自分の能力を最大限に活用するためには最高の健康状態でいることを望みます


-What elements do you think Japanese companies should change to improve the working experience of foreign artists?
外国人アーティストが日本で働くためには、日本企業は何を変える必要があると思いますか? 

I would say to be more open to the way foreigner do things, to let some
space for our ideas. To trust foreigner.
To improve work condition (depending the company, I was quiet happy with
Square enix)
Eventually to implement an accessible langage for us. For example English.
I probably have more things to say but it doesn't pop up in my mind right
now.

海外で行われているやり方についてもっとオープンであるべきでは
ないでしょうか。私たちのアイデアを取り入れる余地をつくる必要があるのではないでしょうか。もっと外国人を信頼してください。労働環境を改善して(これは会社によって異なります。私はスクエアエニックスでは満足していましので)、最終的には外国人と親しく会話できるように、例えば英語を実践的に使えるようにすることが必要でしょう。他にもまだあると思いますが、今思いつくままを書いてみました。


-What elements do you think are necessary in an artist if he/she wants to work in Japan?
外国人アーティストが日本で働くためには、何が必要だと思いますか? 

Love for Japan, understanding the culture, patience, and to know Japanese
language.


日本に対する愛情ですね。文化を理解して、根気強く、
そして日本語を知ることです。


-Including myself, many Japanese artists have been leaving the country to work overseas. How do you feel about this?
私自身も含めて、多くの日本人アーティストが海外で働くために、日本を離れています。それについてどう感じますか?
Personally for me it was a hard decision to leave Japan. I miss Japan and my
friends there a lot. I spent a very positive experience in Japan and I'm
cherishing this.

We always says: "the grass is greener on the other side of the fence". But
in leaving Japan I didn't expect to find something better but something
different.
We all know nowhere is really perfect, the only good choice is to follow
what your heart guide you.
I follow my heart and I decided to leave Japan to be with my family and more
recently to build a more stable situation with my wife who is Malaysian.
個人的には日本を離れるのはつらい決断でした。
日本とそこに住んでいる友達を懐かしく思います。日本で非常にポジティブな経験をすることができましたし、私にとっては大事な思い出です。

「他人の芝生は青い」とはよく言われることです。でも、より良い何かを、あるいは何か別のものを探そうと思って日本を離れたわけではありませんでした。どこかに完璧な場所などなく、正しい道というのは、自分が選んだ道でしかないのだということを。皆さんもご存知でしょう。

自分の家族といっしょにいるために、特に最近はマレーシア人の妻との関係をより強固にするために日本を離れることに決めたのです。それが私の選んだ道でした。


-Please give a message to those who are willing to work in Japan or those Japanese artists who want to work outside of Japan.
日本で働きたい外国人、もしくは海外で働きたい日本人に対して、メッセージをお願いします。

The hardest is to make the decision to make the positive change in your
life.
Once the decision is made and you are happy with it, you'll be happy, you'll
make your friends and family happy and every obstacles on your way will
appear to be easy to go over... like a game.

To start a new life in an "unknown" country is extremely rich and will bring
you better understanding, not only about your career but also on yourself.
This experience helps to build up self confidence as well, However in order
to get the best of the experience of it, we have to open our mind and our
heart to differences.
I wish those peoples who are willing to leave their country to find a career
overseas all my best and not too worry because nothing can go wrong.

人生にポジティブな変化をもたらすために決断するのは最も難しい
ことです。決断できたら、あなたはそれでハッピーな気持ちになり、幸せに暮らすことができて、あなたの友達も家族もハッピーになります。どんな障害も乗り越えるのは簡単に思えるでしょう。まるでゲームのようです。

「まったく未知の」外国で新しい生活を始めることは非常に実りのある経験であり、あなたのキャリアだけでなくあなた自身を理解するのにも役立つことでしょう。自分に自信を持つきっかけにもなりますが、その一方で(国外で働く)経験を最大限に活用するためには、広い心でオープンな気持ちになり(あなたの国との)違いを受け入れる必要があります。
これから国外で働こうという人たちに、幸運を祈っています。あまり心配する必要はありません。決して間違った結果にはならないのですから。

以上がインタビューになります。
とりあえず、今回のインタビューで一区切りです(全六回)。今後もこういったインタビューを継続的に行っていければ良いっかな?っとは思っていますので、企画としては今後も続けていきます。

次回はインタビュー企画総括です。今までのインタビューを元に、自分なりの考えをまとめられればっと思います。

今回もDr.D時代の同僚で、現在はアメリカのREEL FXでTD職にあるナカムラタツヤ氏に翻訳をお手伝いして頂きました。



2013年2月7日木曜日

外国人が日本で働くためには! 第五回

以前から企画していた新コーナー第5回目です。

前回記事はこちら
外国人が日本で働くためには! 第一回
外国人が日本で働くためには! 第二回  
外国人が日本で働くためには! 第三回  
外国人が日本で働くためには! 第四回 



日本人が海外で働くためのブログ、エントリーを基本に書いてきましたが、今回はその”逆”で、外国人が日本で働くためには?とう切り口で、日本で働いた経験がある現役の外国人アーティストにインタビューを試みています。
外国人が日本で働くためには何が必要か?日本企業は何を変えるべきか?など大胆にインタビューを行いました。


シリーズ5回目の今日はプリビズアーティストにスポットを当ててのインタビューです。

※ 今回のインタビューは個人への配慮を考え、個人名を公開していません。ご了承ください。


-Please introduce yourself and give us a brief summary of your work experience.
自己紹介と簡単な職歴の紹介をお願いします。

I'm XXXXXXXX, I'm from Barcelona, Spain, where I start working as
animator and layout/previs artist, until I applied to work as layout artist
for Polygon Pictures in Tokyo in 2008.
After that I was working as layout artist and animator in Barcelona,
Stockholm, London, and I went to Tokyo as previs artist a second time in
2011.
I'm actually working in London, as layout artist at MPC films
(http://www.moving-picture.com/).


XXXXXXXXと言います。スペインのバルセロナ出身です。
まずアニメーターそしてレイアウトおよびプリビジュアライゼーションのアーティストとしてバルセロナで働きました。2008年に東京のポリゴンピクチャーズにレイアウトアーティストとして応募しました。それ以降、レイアウトアーティストおよびアニメーターとして、バルセロナ、ストックホルム、ロンドンで働き、そして再び東京へプリビジュアライゼーションのアーティストとして2011年に来日しました。現在はロンドンのMPC
films (http://www.moving-picture.com/)にて、レイアウトのアーティストとして働いています。


-What was your job title and your responsibilities? How long did you work in Japan?
あなたの職種と役割を教えてください。また、あなたは日本でどれぐらい働きましたか?

I've been twice in Japan, the first time I was layout artist for Polygon
Pictures for the TV show: My friend Winnie and Pooh for one year.
The second time I was previs/layout artist for the TV show Transformers
Prime for six months.

日本には2回行きました。
最初はポリゴンピクチャーズにて1年間、テレビの「My friend Winnie and Pooh for one year」のレイアウトを行いました。2回目は6ヶ月間、テレビ「Transformers
Prime」の、プリビジュアライゼーションおよびレイアウトをしました。


-In general, how did you feel about working in Japan?(or more specifically, pros and cons?)
あなたは日本で働いてみて、どう感じましたか?具体的に長所や短所などあれば教えて下さい。

It's difficult to me write a list of pros and cons because most of the
things I would write would be in both list at the same time.
For example the best of working in Japan was the opportunity to live and
work in a completely different environment. That was really inspiring, and
help me to ground up as a professional and person as well. And was one of
the hardest things I ever did!
I love the challenges, and learn new things, so I was very happy to have the
chance to do it in a country with a long tradition in animation.
But the challenges are hard, and the way to do the things is different every
place you go.

良いところと悪いところを区別してリストをつくるのは難しいです。なぜならほとんどの事柄がその両方に当てはまるからです。例えば、日本で働いて最も良かったことはまったく異なる環境に住んで働く機会が得られたことです。非常にインスピレーションを得ることのできる経験でした。プロとしても一個人としても自分を確立することができました。でもそれはおそらくこれまででもっとも困難な経験でもあったのです!
挑戦することも新しいことを習うことも大好きです。ですから、それをアニメーションの長い伝統のある国ですることができたことは、とても嬉しかったです。でも困難な挑戦でしたし、どこへ行ってもまったく違ったやり方を知ることばかりでした。



-What do you think are the differences between the working styles of Japanese companies and western-based companies?
あなたは日本の企業と欧米の企業のワークスタイルの違いについてどう思いますか?

The hardest thing was the way the Japanese see the work, and what it
represents in their life, this is the biggest difference.
As an European, I'm used to optimize my work time to be more productive, to
try to work more effectively in less time. As well the deadlines are more
"generous" than the Japanese ones.
In Japan I've seen that for lot of people the important is to be at the
office, even if they have finish their work. It's a cultural thing that for
the foreigners is hard to understand.

最も困難だったのは、日本人にとって仕事とはどのようなもので、仕事が人生で何を意味しているのか、それが最も大きな違いでした。ユーロッパ出身の人間として私は、より少ない時間で自分の生産性を上げるために、時間をうまく使ってより効率的に働こうとします。締め切りも、日本に比べてずっと「緩い」ものです。
日本では、多くの人にとってオフィスにいること自体が重要であるという状況を見て来ました。例え仕事が速く終わったとしても、です。こういった文化的な違いは、外国人にとっては理解に苦しむものです。


-What elements do you think Japanese companies should change to improve the working experience of foreign artists?
外国人アーティストが日本で働くためには、日本企業は何を変える必要があると思いますか? 

 The communication, I think that for Japanese the feedback is something that
 must be said one by one, and people doesn't talk about other people work.
 In Europe we use to be all team in a room reviewing and giving feedback of
 the work of everyone. This improves the relation between the team mates, and
 is very useful to know the feedback of everyone, because it can be useful
 for your shots as well.


コミュニケーション。
日本人にとってフィードバックとは1対1で伝えるべきものであり、みんな他の仕事について話すことがありません。ヨーロッパでは、仕事のチェックはチームの全員が一つの部屋に集まって行い、みんなの仕事についてフィードバックをします。これがチームメイト同士の関係を良好なものにしています。みんなのフィードバックを知るのはとても有益です。あなたのショットにも役立つことがあるからです。


-What elements do you think are necessary in an artist if he/she wants to work in Japan?
外国人アーティストが日本で働くためには、何が必要だと思いますか? 

An open mind, patience, and respect. It's important to observe people
behaviour to avoid misunderstandings.
心をオープンにして、忍耐強く、そして相手を尊重することです。
誤解を避けるためにもまわりがどのように働いているかを観察することが重要です。


-Including myself, many Japanese artists have been leaving the country to work overseas. How do you feel about this?
私自身も含めて、多くの日本人アーティストが海外で働くために、日本を離れています。それについてどう感じますか?

I think that work in a multicultural environment is always inspiring. You
have people with different points of view, and in a creative work this is
always good.

複数の文化的に異なる環境で働くことで常にインスピレーションが
得られると思います。あなたの周りには異なる視点の人たちがいますし、それは創造的な仕事をする上で常に役立ちます。

-Please give a message to those who are willing to work in Japan or those Japanese artists who want to work outside of Japan.
日本で働きたい外国人、もしくは海外で働きたい日本人に対して、メッセージをお願いします。

   If you have an open mind, and you like to travel, don't be afraid, just do
it!
Be easy going, respect the way people work wherever you go, and try to be
yourself all the time.
To have respect doesn't mean to bow whatever people say to you. Means to
make an effort to understand why they are saying it to you.


広い心の持ち主で旅行が好きであれば、
恐れることなく行ってみてください。気楽に、どこへ行ってもそこで働いている人たちをリスペクトして、常に自分自身でいるようにしてください。
リスペクトするとは、何かを言われるたびに相手に頭を下げることではなく、なぜ彼らがあなたにそれを言うのかを理解しようと努力することです。



以上がインタビューになります。今回のインタビューからDr.D時代の同僚で、現在はアメリカのREEL FXでTD職にあるナカムラタツヤ氏に翻訳をお手伝いして頂きました。



2013年1月27日日曜日

外国人が日本で働くためには! 第四回

以前から企画していた新コーナー第4回目です。

前回記事はこちら
外国人が日本で働くためには! 第一回
外国人が日本で働くためには! 第二回  
外国人が日本で働くためには! 第三回 


日本人が海外で働くためのブログ、エントリーを基本に書いてきましたが、今回はその”逆”で、外国人が日本で働くためには?とう切り口で、日本で働いた経験がある現役の外国人アーティストにインタビューを試みています。
外国人が日本で働くためには何が必要か?日本企業は何を変えるべきか?など大胆にインタビューを行いました。


シリーズ4回目の今日はライティングアーティストにスポットを当ててのインタビューです。日本人の奥さんを持ち、日本、語英語を自在に操るナイスガイ!僕と同じくANIMAL LOGICでの就労経験をもった大先輩ですね。

※ 今回のインタビューは個人への配慮を考え、個人名を公開していません。ご了承ください。


-Please introduce yourself and give us a brief summary of your work experience.
自己紹介と簡単な職歴の紹介をお願いします。

XXXXXXXXXX, I left a job as a 3D supervisor at Animal Logic to come to Japan in 2006. Since then I've worked at Polygon Pictures as a lighting artist initially, then layout supervisor on a TV series. TV work is pretty rough so I switched over to Square-Enix to work in their cinematics department late in 2009. I'm still there now doing lighting and compositing.


XXXXXXXXXXと言います。アニマルロジック社で3Dスーパーバイザーをしていましたが、辞めて2006年に日本に来ました。それ以降、ポリゴンピクチャーズ社で、まずライティングアーティストとして働いてから、テレビシリーズのレイアウトを担当するスーパーバイザーをしています。でもテレビの仕事はとても大変だったので、2009年の後半になって、スクエアエニックス社のシネマティック部門で働くことにしました。今でも同じ会社でライティングとコンポジットを担当しています。


-What was your job title and your responsibilities? How long did you work in Japan?
あなたの職種と役割を教えてください。また、あなたは日本でどれぐらい働きましたか?

-In general, how did you feel about working in Japan?(or more specifically, pros and cons?)
あなたは日本で働いてみて、どう感じましたか?具体的に長所や短所などあれば教えて下さい。 
    Japan has been a great experience in terms of meeting people I wouldn't otherwise have had the chance to, and Tokyo is an amazing city to live in...no crime, incredible transport, great food, cheap beer, festivals and events year-round, the only downside is the lack of trees and grass.

    From a work perspective it's a bit hit and miss...mostly miss. The CG industry here is linked to the anime industry, which means no money and long hours. It's not really a white-collar job. Few Japanese studios have really advanced facilities. Basically you're stepping back in time 5-10 years depending on the company, and the salaries are 50-70% of what they would be overseas. 


日本では、日本以外では会う機会のない人たちと会うことが出来るという点で、とても素晴らしい経験をしています。東京は住むには最高です。犯罪はないし、公共機関はずいぶんと発達していますし、食事はおいしいし、ビールは安いし、様々な催し物が年中開催されています。不満があるとすれば、緑が少ないことです。

(日本で)働くという点では、良いところも悪いところもあります。良くない部分も多いです。CG業界はアニメーション業界と深い関係があります。そのため、予算は少なく長い時間労働しなくてはなりません。ホワイトカラー(知的労働生産)の仕事とは言い難いです。設備の面でも高度な施設を持っているスタジオは、日本では少ないですね。基本的に、会社にも依りますが、5−10年は遅れています。給料に関しては海外の50-70%程度じゃないでしょうか。


-What do you think are the differences between the working styles of Japanese companies and western-based companies?
あなたは日本の企業と欧米の企業のワークスタイルの違いについてどう思いますか?

    There are big difference between companies overseas, and the same can be said of studios here, so it's difficult to make generalizations. Some companies here are very organized, others are total chaos, it's like anywhere. The big difference I've noticed is that people here tend to be very conservative in adopting new technology. the Japanese I've dealt with are quick to focus on potential downsides and risks, and often the first setback will mean the end of testing. "If it aint broke, don't fix it" is rule number 1 here. That's not to say there's absolutely no development here, but it happens much much slower than overseas.

海外の会社同士を比べても、大きな違いがあります。同じことが日本のスタジオ同士にも言えるでしょう。ですから、一般化して語るのは難しいです。よく計画的に仕事が進められているところもあれば、完全に混乱しているところもあります。それはどの国でも同じです。自分が気づいた中でも大きな違いと言えば、日本の業界の人たちは新しいテクノロジーを採用する際に保守的になる傾向があります。私が一緒に働いた日本人は、どこに短所とリスクがあるかを見極めるのが速く、多くの場合一度現状から後退する部分が見つかればそこで(テクノロジーを採用するかどうかの)テストを止めてしまいます。「もし壊れていないなら直す必要がない」というのが大原則になっています。(新しい)開発が行われる余地がまったくないとは言いませんが、海外に比べて相当時間を要すると言っていいでしょう。


-What elements do you think Japanese companies should change to improve the working experience of foreign artists?
外国人アーティストが日本で働くためには、日本企業は何を変える必要があると思いますか? 

    If they want to improve the working conditions of foreign artists they should stop hiring them. Unless you're working in a sweatshop in a developing nation, coming to Japan will be a big step down in pay and working conditions. If someone wants to work here for whatever reason, they've got to be willing to deal with the same conditions as the locals. So really the question isn't what companies can do to improve the working conditions of foreigners, it's a question of what can be done to improve the working conditions for everyone. Most of that comes down to profitability, but simple things like respect for people's overtime and weekend work tends to be lacking, it's just expected that artists will do it.


海外から来るアーティストたちの働く環境を良くしたいのが目的であれば、彼らを雇用するべきではありません。発展途上国で安い賃金で働きたいのならともかく、日本に来るのは給料と労働環境の点で海外よりも劣ることになります。どんな理由であれ、もし日本で働きたいのであれば、ここにいる人たちと同じ環境で働くことが平気でできなければなりません。本当に問題にしなければならないのは、海外から来る人たちの労働環境を会社がどうやって改善するかではなく、ここで働くすべての人たちに対して会社が労働環境をどう良くしていくかということでしょう。ほとんどのことは利益率を上げることで解決できることになりますが、もうちょっと単純に、時間外労働や休日出勤に対して配慮することができていれば良くなるでしょう。ここではあたかも、アーティストの時間外労働が当たり前であるかのようになっています。


-What elements do you think are necessary in an artist if he/she wants to work in Japan?
外国人アーティストが日本で働くためには、何が必要だと思いますか? 

Patience. Japan is a weird country and people do things in very specific ways here. It takes a lot of time to learn all that,  so your first year here will be a comedy of errors. You probably won't understand what anyone is saying, and chances are they won't understand you either, so patience first and foremost is a must have.

根気です。日本は不思議な国で、人々はある決められたやり方で仕事をしようとします。それらをすべて習うのはかなり時間がかかります。あなたが日本で働いたとすると、最初の1年は失敗の連続でコメディのようになるでしょう。他の人たちの言うことがほとんど理解できず、多くの場合に彼らもあなたの言うことが理解できません。ですから、根気がまず必要です。それが一番重要です。


-Including myself, many Japanese artists have been leaving the country to work overseas. How do you feel about this?
私自身も含めて、多くの日本人アーティストが海外で働くために、日本を離れています。それについてどう感じますか?

I think it's great! People really need to get out and experience the world..that's true for everyone, not just Japanese CG artists. I imagine it would be very tough to come back to the Japanese CG industry after working overseas though.

それは素敵なことだと思います!一般的に言って、日本人のCGアーティストだけでなく、みんなが国外に出て世界で経験を積む必要があります。一度海外で働いてから日本のCG業界に戻ってくるのは大変だとは想像できますが。

-Please give a message to those who are willing to work in Japan or those Japanese artists who want to work outside of Japan.
日本で働きたい外国人、もしくは海外で働きたい日本人に対して、メッセージをお願いします。

    If you're coming to have an adventure and experience life in a really cool country, I think it's a great idea. If you're looking for a career opportunity or to develop your reel, I'm not sure I would recommend the Japanese industry. Square is a good company to work for and the projects we do are really cool, but very few people here speak english, and there's not much interest in hiring non-japanese speaking artists unfortunately (software engineers are another story). So if you really want to succeed in Japan, I'd say hit the nihongo textbooks.

    For japanese artists I'd say the same thing, just spend your weekends learning english. Artists here are just as talented as any I've worked with, so getting work overseas is just a question of english ability and good timing.


もしも素敵な国で生活し冒険がしたいのであれば、日本で働くのは素晴らしいアイデアだと思います。ただしキャリアを積んであなたのデモリールのプラスになることがしたいのであれば、日本の業界をお勧めできるかどうかはわかりません。スクエアは働くには良い会社で、私が取り組んでいるプロジェクトは実にクールです。しかし英語を話す人はごく少数で、日本語を話さないアーティストを雇うことは残念ながらそれほど熱心に行われていません。(ソフトウェアエンジニアは例外です。)もしも日本で成功したいと思うなら、日本語のテキストを開いてみることです。

日本のアーティストにも同じことが言えます。週末に英語を勉強してみてください。日本のアーティストは私がこれまで一緒に働いてきたアーティストと同じく才能があります。ですから、海外で働くことは英語の能力とタイミングの問題なのです。

以上がインタビューになります。今回のインタビューからDr.D時代の同僚で、現在はアメリカのREEL FXでTD職にあるナカムラタツヤ氏に翻訳をお手伝いして頂きました。

次回はレイアウトアーティストにスポットを当てたインタビューになっています。次回インタビューもお楽しみに!!!

2013年1月22日火曜日

外国人が日本で働くためには! 第三回

以前から企画していた新コーナー第三回目です。

前回記事はこちら
外国人が日本で働くためには! 第一回
外国人が日本で働くためには! 第二回 

 日本人が海外で働くためのブログ、エントリーを基本に書いてきましたが、今回はその”逆”で、外国人が日本で働くためには?とう切り口で、日本で働いた経験がある現役の外国人アーティストにインタビューを試みています。
外国人が日本で働くためには何が必要か?日本企業は何を変えるべきか?など大胆にインタビューを行いました。


シリーズ3回目の今日はアニメーターにスポットを当ててのインタビューです。

※ 今回のインタビューは個人への配慮を考え個人名を公開していません。ご了承ください。


-Please introduce yourself and give us a brief summary of your work experience.
自己紹介と簡単な職歴の紹介をお願いします。

I am XXXXXXXXXX, a 4-year experienced character animator. I
have learned 2D animation in France, and worked in big companies like
Framestore in London and Animal Logic in Sydney before working for one
year in Tokyo.

XXXXXXXXXXと言います。
キャラクターのアニメータとして4年の経験があります。フランスで2Dアニメーションの勉強をしました。東京で1年間働く前に、ロンドンのフレームストアやシドニーのアニマルロジックといった大きな会社で働いていました。


-What was your job title and your responsibilities? How long did you work in Japan?
あなたの職種と役割を教えてください。また、あなたは日本でどれぐらい働きましたか?

I was a 3DCG animator, doing character animation on a TV series and a
bit of layout as well.

3DCGのアニメーターをしていました。
テレビシリーズのキャラクターアニメーションとレイアウトも少ししました。

-In general, how did you feel about working in Japan?(or more specifically, pros and cons?)
あなたは日本で働いてみて、どう感じましたか?具体的に長所や短所などあれば教えて下さい。

It was a very good experience, socially speaking. I met nice, humble,
hard-working people, learned to work faster and cut to the chase. But
the general project lacked organization, and from a foreigner point of
vue, efficient communication. People don't speak out their opinions
much here.

日本での生活は非常にいい経験でした。
ナイスで謙虚でよく働く人達と知り合うことができました。仕事を素早くこなすことで締め切りに間に合わせることを学んだのです。でもプロジェクト全般は、外国人の立場から見て、よく計画されているとは言い難い部分もありました。コミュニケーションの点でも効率が良くないと感じました。日本人は自分の意見をあまり主張することがないからです。


-What do you think are the differences between the working styles of Japanese companies and western-based companies?
あなたは日本の企業と欧米の企業のワークスタイルの違いについてどう思いますか?

Mainly specialization and organization. Western companies share the
work more evenly between artists, whose individual skills are used
where it should. Yet they give you a chance to improve within a team
of seniors and juniors, with a more involved lead. All degrees of
skills and experience are important. Also overtime or weekend work is
carried out only when necessary, and remunarated along with holidays.
This way you avoid the burn-out and remain efficient. Japanese
companies employ more polyvalent artists, and it's definitely better
for small projects or commercials. Pipelines are less heavy. And
though the hierarchy is very present, I felt more creativity.

主に、どのように作業に専門性を持たせるかという点と組織のつくり方が違います。欧州の会社は、アーティスト間で仕事を平等に割り振ります。個人間で違いのあるスキルを、それぞれが生かすことができるようにします。その上で、シニア(アーティスト)やジュニア(アーティスト)の混ざったチームの中で、より(スキルを)向上するチャンスも与えられます。そこではリード(アーティスト)がチームにより大きな貢献をします。すべての人のスキルレベルと経験が重要なものとして扱われるのです。さらに時間外の労働や休日出勤は本当に必要な時だけですし、有給休暇もあります。このようなやり方で、(アーティスト)がやる気をなくしてしまうことなく、効率よく作業できるのです。

日本の会社では、(欧州に比べて)よりバラエティに富んだアーティストを雇用しています。パイプラインが軽量なので、小さなプロジェクトやコマーシャルの仕事は、(欧州の会社よりも)はるかに効率良く行えます。(アーティストを管理するための)組織構造は存在しますが、私にはよりクリエイティブに感じました。


-What elements do you think Japanese companies should change to improve the working experience of foreign artists?
外国人アーティストが日本で働くためには、日本企業は何を変える必要があると思いますか? 

Listen to the experience foreign artists can bring and take the best from it.

経験のある国外のアーティストの言うことに耳を傾けて、
最高の部分だけを取り入れるようにすることです。

-What elements do you think are necessary in an artist if he/she wants to work in Japan?
外国人アーティストが日本で働くためには、何が必要だと思いますか? 

Be open. Be assiduous. And most importantly, be humble. But Id' say
that for working in any country.

オープンでいること。働き者であること。そして最も重要なのが、
謙虚でいることです。それは、どの国で働く場合にも当てはまると思いますが。

-Including myself, many Japanese artists have been leaving the country to work overseas. How do you feel about this?
私自身も含めて、多くの日本人アーティストが海外で働くために、日本を離れています。それについてどう感じますか?

I know it's very difficult when you have a family, but it's very
enriching ! We can only improve our work and open our minds when going
to different companies and sharing with different artists.

家族がいる人にとってはとっても大変でしょうけど、
得られるものは大きいと思います!実力を向上させつつより多くのことを吸収できる方法は、いろいろと違った会社にいってみて、様々なアーティストと時間を共有する以外にありません。


-Please give a message to those who are willing to work in Japan or those Japanese artists who want to work outside of Japan.
日本で働きたい外国人、もしくは海外で働きたい日本人に対して、メッセージをお願いします。

If you have the opportunity, go for it, come for the change of scene
rather than the job, don't have too high expectations and enjoy it.

チャンスがあればそれに飛び込んでみることです。
仕事の変化より環境の変化を求めること。期待を大きく膨らませすぎることなく楽しむことです。


以上がインタビューになります。今回のインタビューからDr.D時代の同僚で、現在はアメリカのREEL FXでTD職にあるナカムラタツヤ氏に翻訳をお手伝いして頂きました。

次回はライティング、コンポジットにスポットを当てたインタビューになっています。次回も次回インタビューもお楽しみに!!!

2013年1月8日火曜日

【その他】 新年のご挨拶と昨年を振り返ってみる!

皆様、新年明けましておめでとうございます!今年も北田栄二の海外武者修行をよろしくお願い致します。

さて、本日のエントリーは昨年までの自分を振り返ると共に新年を向かえ新たな気持ちで仕事に育児に今年もよりいっそう頑張れればっと思っています!!!

さて、それでは去年までを自分なりに振り返ってみようかと思います

昨年は、僕自身、念願だった実写系のハリウッド映画に携われたということで、非常に有意義な一年、目標を達成できた1年だったっと思います。
また、例年になく安定して仕事が出来た一年でした。 何より今の会社と契約を更新できたことで、引越しせずに一つの国に留まって、じっくり仕事が出来たことが、安定して仕事が出来た要因だと思います。(過去3年で国をまたぐ引越しが計5回。去年はシンガポール国内での引越しのみでした。)

今年は昨年以上に良い仕事が出来るように、健康を第一に、皆様と良いお仕事、ブログを通じての情報交換が出来ればっと思っています。

とりあえず来年の目標!

 家族目標は、全員が健康で一年過ごせる事!!!


■家族のための更なる年収アップ!(現状、家賃、学費でカツカツ><;)
■今年はもう少し自分の時間を持って趣味のサッカー、趣味のCGに時間を取れれば。
■今年は今まで以上に、何らかの形(セミナーやブログ)で日本のCG業界のために後進の指導や情報提供ができれば!

あまり欲張ると良いことないので、以上3つを重点に今年も一年頑張れればと思います。今年も一年、よろしくお願いします!!!!

次回はインタビューシリーズ”外国人が日本で働くためには!?”の3回~6回までを連日エントリーできればと思っています。お楽しみに!

※実は今日は風邪で体調崩して、仕事休んでます。新年早々、健康第一の目標挫折でトホホな新年の始まりとなりましたorz