2012年12月31日月曜日

【CG】 SIGRRAPH ASIA 番外編 自分なりに考える海外就労!

どうもです。いよいよ今年も残すところあと1日ですね。本日のエントリーはSIGRRAPH ASIA番外編ということで、僕なりに考える海外就労の今をお伝えできれば!っと思います。

今年もブログやシーグラフを通じて、海外就労を目指す色々な方と出会ったり、メールフォームから色々な質問を頂きました。本当にありがとうございます。
そんな中、自分なりに”海外就労”という物について、再確認する上でも、良い機会と成りました。

今年出会った(メールフォームなどからの質問も含めて)海外就労を目指す人の多くが、海外就労の良い部分、メリットしか見えていないという事に気がつきました。

海外就労に関してお話、メール交換させていただいた人の多くが学生であったり、日本のCG業界に不満を持つ人たちだったりと、海外就労で何がしたいのか?という明確な目的、目標を持っている人が非常に少なく感じました。

これらの原因として、僕なりに考えてみたのですが、近年では僕のブログをはじめ、鍋潤太郎さんの海外就職の手引きや海外で働いている日本人アーティストが一時帰国された際に行われるセミナーなどを通じて、今までよりも容易に海外就労についての情報を集めやすい!という背景があると思います。

当然ですが、僕も含めて日本人アーティストには海外就労を通じて、良い経験、ワールドスタンダードな仕組み、技術を学んで、日本に持ち帰って欲しいという願いから、色々とポジティブな部分、メリットなどを伝えてきましたが、残念ながら情報過多で、少し頭でっかちになっている学生や海外就労を目指す方が増えて来た様に思います。

これは僕自身にも少しは責任があるのかな?っという思いで今回のエントリーを書くことにしました。

以前のエントリー”海外就職のデメリットとリスク ”でも述べましたが、海外就労に関してはメリットも非常に大きいですが、デメリットも伴います。
必ずしも海外就労は成功する訳ではありませんし、今後、学生(特に日本人学生)は、海外就労において、同じ学生という立場では、他国の人たちより、圧倒的に不利だという部分を認識する必要があります。

例えば、技術が同じレベルであれば、アジア諸国の学生と日本の学生では日本の学生の方が圧倒的に不利です。これはコミュニケーションの問題とコストの問題です。
現在、ハリウッド映画の制作の多くは、アウトソースで行われており、世界中で制作されています。
そんな中で、コストを少しでも安く抑えるために、アジア諸国へのアウトソースも積極的に行われています。
そこにジュニアレベルで、しかも英語が話せないローカルの学生よりもコストが高い日本人を雇うメリットはプロダクションにはありません。
そういう意味で、新卒でいきなりの海外就労というのは不可能ではありませんが、非常に難しいというのが現状です。

また、日本で働いておられる会社員、フリーランスを含むプロの方でも同様です。コストとコミュニケーションの問題から、どこの国でも海外就労経験がない人をあえてVISAサポートまでして雇うメリットというのは非常に少ないです。

コミュニケーション能力に乏しく、コスト的にも高い日本人が海外就労を勝ち取るのは並大抵のことではありません。

そこにあえて挑戦する!海外で働きたい!っと思う人たちの動機、目的が、最近は少し安易なように感じます。

僕が意見交換させて頂いたプロ、学生を含む方々の多くが

・日本のCG業界への労働環境への不満を理由に海外就労を目指したい!
・最近、海外で働いている日本人が増えたので自分も働いてみたい!
・国内で働いてみて、うまく行かないので海外で働いてみたい!

などなど、どちらかといえば、不満が原因で海外就労を考える人も増えて来た様に思います。もちろん、動機は人それぞれなので、安易に否定できませんが、僕自身が意見交換させて頂いた方々は非常に動機が薄いというか、情熱的な物にかけている気がしました。

どうしても海外じゃないといけない!海外でないとできない!だから海外に行く!という強い意志が感じられる人は非常に少ないと感じました。

僕自身は常に日本人アーティストの海外就労に関しては賛成ですし、挑戦してほしいと思っていますが、決して安易な気持ちでは成功はなしえない!失敗した時にリスクを伴うということを、再度、確認して頂きたいと思い、今年最後のエントリーをこういう形で行わせて頂きました。

かといって、リスクを恐れていても何も出来ないし、結局は海外就労できるか、できないか?っ手のは個々人の選択、 裁量なので。。。。非常に難しい所ではあるとおもうのですが。

ただ、僕自身は今後も海外のプロダクション事情や海外就労についての情報は出来る限り発信して行きたいですし、海外就労を目指す方々の手伝いが出来ればと思っています。

今年最後のエントリーが、少々重い話になってしまいましたが、 日本国内を早々に諦めて、海外就労へと安易に考える人たちが増えてきたのでは?っと思い、警報を促す意味でも今回のエントリーを書かせて頂きました。

最後になりましたが、今年一年、ブログを愛読していただいた皆様、公私共々お世話になった日本のプロダクションの皆様!今年一年本当にありがとうございました。来年も引き続きよろしくお願い致します!

来年は新春企画として”外国人が日本で働くためには!? 第3回~第6回”までを連日でお伝えできればっと思っています!

それでは、来年も一年よろしくお願い致します!

2012年12月25日火曜日

【その他】SIGGRAPH ASIA 2012 in Singapore 後編

さて、本日のエントリーはシーグラフアジア2012での懇親会での模様をお伝えできればと思います。

参加者は、教員、学生、学校関係者6名、日本からお越しのプロの方々25名、現地で働く業界関係者8名の計39名の方々に懇親会に参加して頂きました。本当に遠いところありがとうございました。

この懇親会は、日本とシンガポールの情報交換会の場として設けさせていただきましたので、ほとんどの方々が飲み食い、そっちのけで情報交換、意見交換に有意義な時間が設けられたと思っています。

僕も多くの方の考え方、意見を聞かせて頂きましたが、日本からお越し頂いた方で、特に大きな企業、プロダクションで働いておられる方の共通意見として”日本の業界全体を盛り上げる!”というのが一つのキーワードだったように思います。

特に先日スクウェアエニックスから発表された”Agni's Philosophy FINAL FANTASY REALTIME TECH DEMO”でリードアーティストを勤められた岩田さんと再会、意見交換出来たことは僕にとっても非常に有意義でした。

実は岩田さんとはスクエニ入社時にヴィジュアルワークスでFF12で一緒に 仕事をしており、実に8、9年ぶりぐらいの再会ではなかったでしょうか?岩田さん自身、FF12を終えられてから実機チームに移られたため、ほとんどまともに会話する機会がなかったということもあり、本当に久しぶりです!という感じでした。

その他にも企業、プロダクションなど、第一線で活躍されている方々と意見交換させて頂きましたが、皆さんが口をそろえて言われたいたのが”業界全体を盛り上げる”っと言うことでした。

自社ではなく、業界全体で盛り上げていかないと、本当に世界に取り残されてしまう!そういった危機感が参加された方々から伝わって来ました。

これは技術的な部分と商業的な部分、両方から言えることだと思います。

そんな中で、最近ではスクエニさん、PPIさん、DFさんをはじめ、多くの会社が業界のこと思い、自社の技術をどんどんと公開、発表し、それらの一部をフリーのソフトウェアとして配布するなど、今までに見られなかった動きが出てきました。

この動きは僕自身、非常に興味深く、海外のプロダクションや会社では自社の技術をアピールするために当たり前のように行われていることなのですが、なぜ?今の時期になって各社がこのような動きになってきたのか?僕自身、非常に興味があったので、実際に技術公開されている会社、プロダクションの方に伺いました。

多くの方の意見は

「すでに自社で技術を隠し持って、沈んでいる場合ではない。隠し持ったまま沈んでも、その技術に意味がなくなる。」

「自社の利益のために技術公開しないという会社も多く存在するが、そうすることで外から情報が入ってこなくなる。情報を発信することで、より多くの情報を得られる。」

「自分達の最新技術だ!っと隠し持っていても、それは国内だけの話で、実は海外のプロダクションでは同じようなことが、何年も前から行われていた技術で、実は最新の技術でも何でもなかった。そんな物を持っていても仕方がない。どんどん技術発表して、お互いに切磋琢磨して、技術向上させたほうが健全だ!」

などなど、意見交換させた頂いた多くの方は、自社の利益というよりは、業界全体でどうすれば、盛り上げて世界に追いつけるか?といことに重きを置かれている方々の存在は目立ちました。
また、情報公開、情報発信を行うことで、より多くの情報を得ることが出来るのもメリットの一つだと思います。情報公開することで、海外で働く日本人アーティスト、外国人アーティストが日本の会社、プロダクションに興味を持つことが出来ます。

僕自身は、日本人が外国人に遅れをとっているとは思いませんが、プロダクションレベル、マネージメントという部分に関して(主に仕組みという部分)に関しては、大きな差を感じていました。

そういった部分の遅れを、日本の企業、プロダクションで働いている方たちも感じ始め、実際に行動に移されていることに、僕自身も刺激を受けました。
今後も、僕自身がどういったことで、日本の業界に貢献できるかわかりませんが、僕自身が出来ることから、少しずつやっていければっと!改めて思いました!

懇親会を通じて、多くの方がお互いに刺激を受けれたと思います。今後も、お互いが住んでいる地域、国に関わりなく、日本の業界のために刺激しあえる関係を気づければ!そんな気持ちにさせられました。

次回はSIGGRAPH ASIA 2012 in Singapore 番外編 ということで、少し海外就労についてエントリーできればと思っています。

2012年12月20日木曜日

【宣伝】les miserables

さて、本日は明後日21日から公開が始まる”les miserables”(邦題:レ・ミゼラブル) についての宣伝です。僕が関わったハリウッド映画、第6作目になります。
監督Tom Hooper!ヒュージャックマンやラッセルクロウ、アンハサウェイなど、豪華キャストで送る大作です。

Official Web

日本語Official Web

IMDB


Les Misérables - Extended First Look


Les Misérables - International Trailer

主に僕が担当した箇所は中世ヨーロッパの町並みを再現した背景のモデリングとテクスチャー中心ですが、今作は群集用のデジダブルにも挑戦してます。人とかオーガニック系はあまり得意じゃないんですが(^^;

今作はクレジットもされているので、ぜひ劇場にてお楽しみ頂ければなっと思います。
また、僕とは別の会社の日本人アーティストも今作に参加されています。クレジットで日本人の名前をいくつ見つけられるか?とかとか、長いクレジットでもお楽しみ頂ければ!っと(笑

2012年12月13日木曜日

【その他】SIGGRAPH ASIA 2012 in Singapore 前編

さて、先日シンガポールにて開催されたSIGGRAPH ASIA 2012 in Singaporeにて、社内見学会を日本から来られた方を対象に開催させて頂きました。また、懇親会では学生や日本で活躍される方とシンガポールで活躍されているアーティストの交流を深めるべく、懇親会を開催させて頂きました。

そんな中、SIGGRAPH ASIAや懇親会を通じて、僕が感じたことなどを今回のエントリーでまとめられればっと思います。

まずはSIGGRAPH ASIA。中日に会場を訪れましたが、少々規模の小ささに驚かされました。僕自身、本家のSIGGRAPH含めて、初めてのSIGGRAPHだったので非常に楽しみにしていたのですが。。。ちょっと残念な感じでした(^^;

それでも一部では、海外のプロダクションがJOBフェア的なことをしていたり、セッショントークなどがあったりっと、来場者の注目を集めるブースも幾つかありました。

午後からはエレクトリックシアターを見に行きましたが、シーグラフアジアということで、アジア勢の作品が多かった気がします。日本からは「宇宙兄弟」をはじめ、いくつかの作品が入選していました。入選作品の中には、道徳的にどうなの?政治色が強すぎて、ブーイングと喝采が入り混じる作品もありました。入選作品はどれもレベルが高く、アジア勢の躍進が非常に印象的でしたね。

あとエレクトリックシアターを見ていて特徴的だったのが、レンダラーですね。僕が見た限り、作品の7割ほどはレイトレーサー特有のノイズを確認することができました。
レイズ系レンダラーやスキャンライン系のレンダリングソフトは残りの3割程度で、作品の多くがレイトレーサーを用いていたことは、時代の流れなのかなっと??? 感じましたね。

翌日は午後13時からと17時から、計2回のDNEG社内見学会を実施させて頂きました。総勢22名の方にDNEG SINGAPORE オフィス見学して頂き、答えられる範囲での意見交換、情報交換、質疑応答をさせて頂きましたが、米や豪と違って、特徴的な物はなく、ただのオフィスビルなので、日本とそれほど代わり映えしなかったのでは?っと思うところもありました(w

っということで、本日は前振りだけですw 次回はメインの懇親会で行われた意見交換、情報交換に関して、僕なりに感じること、思うことがありましたので、次回エントリーでご紹介できればと思っています。

今後も日本のプロダクション、アーティストと海外プロダクション、アーティストの架け橋になれるよう、微力ながら地道に活動していければと思っています。
今回、会社見学会にご参加頂いた皆様、遠いところ、わざわざ来て頂きありがとうございました。