2014年12月28日日曜日

【CG】 帰国して感じたこと、、、モデラーとしての役割とアート、デザインの重要性

さてさて、いよいよ今年も残すところあと数日となってしまいましたね。11月末に帰国して、ここ1ヶ月ほどで、幸運にも色々な学校や色々な現場の方々とお話する機会を得る事が出来ました。本当に感謝しています。そして、そういった方々と特にお話をさせて頂いて感じたことを少しだけまとめたいと思います。


以前から薄々感じていたことですが、帰国して多くの方とお話をさせて頂いて確信に変わりました。

私自身、ブログやSNSを通じて、ワークフローやパイプライン、モデリングのHOW TOなどに関して、色々な情報を発信させて頂いていまが、私がブログで紹介していることが「解」だと思われている方が非常に多かったという事です。

これに関しては、私自身にも大きな責任があるのですが、私がここまでブログで述べてきたことの多くが「解」ではなく、多くが一つの例(ヒント)にしか過ぎません。「解」を導き出すための例(ヒント)として、私自身は情報を発信させて頂いていったのですが、私が紹介することを全て正しい「解」だというふうに認識されている事が非情に多く、正直、私自身も少し驚いています。これは私の伝え方にも問題があったと思います。

例えば、私が良く口をすっぱくするほど、紹介しているトポロジーやデータの正確性の話などは、モデリングの本質ではなく、あくまでも基本であり、モデラーであれば知っていて当たり前のことであり、しっかりと気を使う部分であるということです。それは決してアピールポイントではなく、モデラーであれば基本中の基本です。

モデラーの本質はアート的、デザイン的にかっこいい、見栄えのするモデルをモデリングする事が本質(真理)としてあるはずなんですが、そこを取り違えてしまい、デザインやシルエットの前に、トポロジー形成を優先させている。それをアピールポイントとして考えてしまっているモデラー(特に若い学生、経験が浅いモデラーに多い傾向)が非常に多いと感じました。また、色々な方とお話をさせて頂いて、モデリングアーティストではなく、モデリングオペレーターが増えつつあることに、私自身は非常に危機感を感じました。

本来、モデラーは与えられた情報(コンセプトアートやデザイン画、プロット)などから、情報を読み解き、ニーズにあったモデリングを行うというのが本来の形です。全ての情報がそろった状態(細かいデザイン画や詳細なリファレンス写真、三面図などなど)で、モデリングを開始できるプロジェクトなどほとんどありません。存在しない情報をどう読み解き保管するか?というのがモデラーの役割として非常に重要です。その上で、データの正確性、トポロジーの形成などテクノロジーとしての知識や技術も求められます。

映画の仕事に関しても、特に実写系VFXなどはフル3DCGアニメーションに比べて、与えられる情報も少なく、ショット毎のコンセプトアートがあれば良い方です。

そういった限られた情報を元にモデルを完成させるのが、モデラー本来の役割だと私は思っています。そして私の知る限り、そういったアート、デザイン能力に長けたモデラーというのは国内には多かったという印象ですし、かっこいい独創的なキャラクターや背景を作る能力はあったけど、テクノロジー、データの正確性に欠けるというのが、日本人モデラーの印象だと、私は個人的に感じていました。

だからこそ、国内で足りないテクノロジー(ワークフローやパイプライン、マネージメントの題材含む)の部分を伝えたい、学んでほしいという意図もあり、テクノロジー中心のエントリーが多いのですが。。。。そこは、上手く伝えられなかった私の責任でもあると深く反省する部分でもあります。。。。

私自身は「正しい解」を得るよりも「正しい解」にたどり着くためのプロセスが最も重要だと思っています。リアルなキャラクターを作るために、どうすればリアルになるのか?説得力ある背景を作るためには、どういう意図を持ったデザインにするのか?どういったトポロジー形成にするのがベストか?常に正しい解を導き出すために試行錯誤する事で多くの失敗や成功を体験できます。
はじめから正しい解だけを与えられると、何が駄目で何が良い事か?判断する能力が伸びません。結果的に視野も狭くなってしまいます。また「正しい解」というのは、個人やプロダクション、プロジェクトにより異なります。だからこそ、その正しい解にたどり着くためのプロセス(常に試行錯誤を繰り返す事)が重要なのだと私は過去の経験から学びました。

私自身、そういう意図を自分なりに皆さんに上手く伝える事ができていないという確信を、ここ1ヵ月程で得たので、今回はこういったエントリーを書くことを決めました。

今後も私のスタンスは変わりません。常に自分で良い思ったこと、正しいと思った事、間違っているっと思ったこと、悪いっと思った事も同様に情報として発信し続けるつもりです。ただ、私が紹介することの多くがヒントでありほんの一例にすぎません。必ずしも個人やスタジオ、プロダクションにとっての正しい「解」ではないという事はご理解下さい。


年の瀬に話題としてはあまり相応しい話題ではなかったかもしれませんが。。。私自身も新年を気持ちよく向かえ、新しい挑戦に専念するためにも、今年感じたことは今年のうちに!!!文章として残したかったので、ご容赦下さい。

それでは皆様、良いお年をお迎え下さい。そして、新年からも「北田栄二の武者修行」をよろしくお願い致します。

北田 栄二

2014年12月24日水曜日

【質問】 質問にお答えします! その10

さてさて、連日のブログ更新は久しぶりです。先月に行われたクリエイティブカンファレンス2014で質問時間内に質問できなかった方々から、いくつか質問を頂いているのでお答えしたいと思います。

それでは早速!!!

38.講演中、結婚を機に海外で働こうとおもったというようなことをおっしゃっていたとおもうのですが、私の感覚だと、結婚をすると安定をもとめてむしろ日本ではたらくという選択をするのでは?とおもったのですが、その辺はどういった動機、心境で海外転職を目指したのでしょうか?
ごもっとな意見だと思います。ただ、当時は結婚して第一子を授かって、家族との時間という物を一番大事にしていました。今もそうですが、当時の労働環境ではワークライフとファミリーライフのバランスが仕事に偏りすぎていて、家族との時間をあまり持てなかったのが一番の理由です。もう一つ大きな理由としては、僕自身、やはりレベルの高い環境で働きたい!という思いが非常に強く、最終的に海外就労を決意しました。その時点で安定という生活は、僕の頭にはなかったですね(^^;
他にも理由がない訳ではありませんが、一番大きな理由としては、この2つの理由が自分の中での海外就労の決め手になりました。

39.日本→国外への転職活動では具体的にどのようなことをされたのでしょうか?採用サイトから正面きって応募したのか、あるいは知人の紹介か?など。
基本的には各プロダクションのWEBを巡回して、募集が出ていれば募集する感じでした。その他にも応募用ではないですが、各スタジオがどんな職種を募集しているのか?というリサーチのためにCriative headsなども使用しました。 鍋潤太郎さん著書「ハリウッドVFX業界就職の手引き」なども購入して知識を増やしました。僕にとって初めての海外就労だったAnimalLogicの時は、通常の手順でWEBより応募して採用されました。Dr.Dの時は知人を通じての応募でした。DoubleNegativeの時は、通常の手順でWEBより応募しました。一番採用される確立が高いのは、知人を通じての紹介だと思います(僕の経験から)
 
40.海外でも不況は同じで、なるべく人を減らしたいというような風潮があると知人の海外就労者から聞いたので、何かしらの戦略がないと海外転職も厳しいのではとおもったためです。
海外就労は何を目的に海外就労を目指すか?各個人の環境、おかれた状況で異なります。例えば家庭を持っている場合は、今後の海外就労は非常に厳しいと思います。家庭を持っていても、すでに国外で働いている方であれば、状況も異なりますが、これから妻帯者で日本から海外に出る(ハリウッド映画限定)場合は、状況的に非常に厳しいと思います。逆に妻帯者でも子供がいない、もしくは独身者であった場合は、状況はそれほど難しくありません。ただ、どちらの場合もフルタイムでの雇用は非常に少ないでしょうし、ショートタームでのプロジェクト契約が主流ですので、海外就労に何を求めるか?で各個人の状況は変わってくると思います。


41.Mayaをやっていてレベルアップするために自分でいろいろ触っているのですがなかなか上手くいかずどうすればよいか考えています。もしよろしければ北田さんのご意見ををお聞かせいただけましたら幸いです。
これは僕の個人的な経験に基づく話ですが、いきなり答えを求めるのではなく、自分なりに試行錯誤する事が大事で、解を得るために、どういったプロセスを経たかの方が重要です。自分で試行錯誤することで得られる知識は非常に多いです。自分で考えて、自分で納得するまで試行錯誤を繰り返す以外、方法はないと思います。。。。お役に立てず申し訳ありません。

42.カンファレンスのプレゼントはなんだったのでしょうか?
とあるプロジェクトのクルーTシャツと粗品でした。

43.プロダクションやプロジェクトにも左右されるとは思われますが、海外の仕事のクオリティラインは、スクエニに比べるとどれくらいのレベルでしょうか?
これは非常に難しい質問ですね。実写系VFXとフルCGアニメーションでは、ゴールもプロセスも異なるので、、、比較自体が難しいです。ただアセット(モデリング、テクスチャー、質感設定) という部分に限れば、それほど大きな差は感じませんでした。ただ、プロセスに関しては全く違います。モデルの作りこみもプロジェクトや作品のテイストで異なります。ただスクエニ(VW)のアセットは世界基準で見ても非常にクオリティは高いと思います。

44.北田さんが海外でお仕事をされた中で、一番嫌だったなと思われた作業などありましたら…
嫌という作業はあまりないのですが、しいて言うなら瓦礫の作成は、非常に精神的に厳しいですね。特にそれを何ヶ月も続けるのは精神衛生上、非常にタフな作業でした。。。。
あとはプロジェクトのマネージメントがグダグダになるプロジェクト、コーディネイターのマネージメントが上手く回しきれていない時などは、 作業に集中できないという意味で、あまり好ましい状況ではないですね。ただ、プロダクションレベルでコントロールできない部分も多々あるので。。。。

45.海外に出る前に、これだけはやっておいた方がいい事など有りましたら教えてください!
うーーーーん、あまり思いつきませんが。。。。英語力ではなくて、コミュニケーション能力は大事です。自分の意見を他人に伝える方法や、相手の主張を理解する能力は必要に迫られると思います。英語が流暢に話せるという以外での、コミュニケーション能力は必要だと思います。

以上ですね!!!他にも何かしら質問ありましたら、お気軽にメールフォームよりお問い合わせ下さい。お答えできる範囲で、お答えさせていただきたいと思います。

2014年12月23日火曜日

【書評】 ALIEN THE ARCHIVE

さてさて、本日は1冊の本をご紹介させて頂きます。正直、普段のCGのテクニカルな本とは異なるエイリアンアーカイブ!!!!


こちらの本は、僕も普段からお世話になっているBorn Digitalから出版されている本です。


この本はその名の通り「エイリアンの史料館」とも言える一冊で、ファンならば必読書といっても良いくらいすばらしいです。というか懐かしいです。僕もこの本を読んでいて、エイリアンを見かえしたくなりました。

VFXなどないSFXの時代。エイリアンは全てアニマトロニクス!全てがアナログな時代です。今とは映画の作り方も全然違います。そんなエイリアンの魅力が詰まった1冊でした!

俳優の経歴からエイリアン制作までの流れ、実際に撮影で使用されたセットの写真や設定資料なども含めて、凄い数の写真やイラストが掲載されています!!!エイリアンを知らない世代の人は、この本を読んで(見て!写真やイラストを眺めてるだけでもテンションあがる)、ぜひぜひエイリアンを見てください!!!そんな気持ちにさせられる1冊でした!!!!!!!

百聞は一見にしかずです!!!!どうこう言う前にまずは読んでみて下さい。見てください!
特にファンの方は!!!!参考までにすばらしい本の中身を!!!












【ご購入はこちらから】
Alien: the Archive エイリアン|アーカイブ H.R.ギーガートリビュートハードカバー版

2014年12月18日木曜日

【その他】 2つのニュース

年の瀬ということで、皆さん忙しいと思います。僕の方も引越しやセミナーの準備など諸々あり、なかなかブログの方を更新できず申し訳ありません。少しずつではありますが、引越し作業も落ち着きつつあり、自宅でもインターネットが開通し、徐々に平穏な日々を取り戻しつつあります。

そして、来年からはいよいよ始動です!!!新しい挑戦の始まりです!!!初年度から色々と勝負の年になると思いますし、今までとは違う分野での「学び」も必要になると思います。 とにかく来年は今まで以上に突っ走って、自分が出来るここと!やるべきことをしっかりと行いたいと思います!!!

そして、今日は二つのニュースをお届けしたいと思います。

一つ目のニュースは新年早々ですが、Born Digital主催で、MAYA LTの有料セミナーを開催させて頂くことになりました。こちらでは以下内容を予定しています。


【DBより引用】

 【有料】MAYA LTを用いたモデリング教室(初級)

これから3DCGを始めたい、最近仕事でMAYAを使い始めたけれどまだ機能がよくわかない、
他のツールからMAYAへ乗り換えたい、そんなみなさまの声にお応えして、MAYAの基本的な機能を使用できるライト版MAYA LT を用いたモデリング教室を開催いたします。

今回のセミナーでは、国内外でデジタルアーティストとして活躍されている、北田 栄二 氏を講師にお迎えして、基本的なツール、機能を丁寧に解説、モデリングからUV展開までを解説いたします。

本セミナーでは参加者全員に、
MAYA LT Desktop Subscription(商用・1年限定ライセンス)をプレゼントいたします。

セミナー当日、ご自身のノートPCに入れてお持込みいただき、実際に触りながらの受講や、セミナー後の自宅での復習にお使いください。もちろん正規商用ライセンスなので、実際のお仕事にもご使用いただけます。

これからMayaを習得をしたい方は是非ご参加ください。

内容
■自己紹介
・ プロフィール
・ 代表作品の紹介
・ デモリールの紹介

■MAYAモデリングツールの解説
・ Interactive Sprit Tool (Sprit Polygon Tool)
・ Bevel
・ Extrude
・ Insert Edge Loop Tool
・ Slide Edge Tool
・ Select Edge Loop Tool
・ Booleans
・ Smooth
・ Combine
・ Extract
・ Mirror Geometry
・ Marge
・ Modeling Tool Kit
・ EP Curve Tool
・ Rebuild Curve
・ Surface Extrude
・ Convet NURBS To Polygons

■MAYAモデリングの注意点
・ Double Edge and Double Face
・ Non-Manifold
・ N-mesh
・ Hole
・ Negative Quad Polygon
・ Flip Normal
・ Facets Assign
・ Vertex Aggregation

■ツールを用いたモデリング制作事例(モデリング→UV展開まで)
・ サイコロモデリング事例
・ ナット、ネジモデリング事例
・ ホイールモデリング事例
・ 車モデリング事例
・ 人物顔モデリング事例

■質疑応答

※内容は講演者の都合により、予告なく変更される場合がございます。

【引用終了】


本セミナーではMayaのモデリングの基本機能の解説や実例をまじえたTIPSなどを予定してます。また、参加者全員にMaya LT Desktop Subscription(1年間商用利用可能ライセンス)をプレゼント!私が解説に使用したスライド、Mayaデータも一緒にプレゼンさせて頂きます。内容は初心者を対象と した内容になっています。 ご興味ある方はぜひぜひご参加して頂ければと思います。


そして、二つ目のニュースは海外就労を目指す方にはお馴染みの「ハリウッドVFX業界就職の手引き2015年度版」が発売されました。こちの書籍では、シンガポールのVISA取得について、現地の最新情報など情報提供などでご協力させて頂いています。

私が海外就労のきっかけになった書籍でもありますし、海外就労に必要な情報、知識が詳細に書かれています。また、海外就労後に現地でまず何をすべきか?など、海外就労だけでなく、海外生活についても詳細に書かれています。

これから海外就労を目指す方は、ぜひぜひご一読頂き、海外就労の参考にされてみてはいかがでしょうか。


2014年12月4日木曜日

【仕事】 近況報告 帰国に向けて その2

本日のエントリーは帰国後のことについて、近況報告を兼ねてご紹介させていただきます。
クリエイティブカンファレンス2014でも発表したので、皆さんご存知の方も多いと思いますが、来年からはフリーランスではなく、ModelingCafeの福岡支社代表として働くことになっています。福岡オフィスに関しては、会社の方から時期が来れば、色々とアナウンスがあると思いますので、ここでは割愛させて頂きます。


まずは帰国を決めた理由は以前のエントリーでも紹介してきましたが、一つの事が理由で帰国を決めた訳ではありません。総合的に考えて何が最良か?自分の中で総合的に判断して帰国を決断しました。
正直、海外でのやりのこしがないか?と聞かれると。。。。無いとは言えませんし、出来ることであれば、もう少しだけ海外生活を続けたかったと言うのが本音です。

ただ、そう言う状況で帰国を決めたからには、私自身は初めて海外に出た時と同じような気持ちで、本帰国を決めました。正直、DNEG Singaporeに残るという選択肢もありましたし、LucasFilm Singaporeに移籍するという選択肢もありました。他国で移籍先を探すという選択肢もありました。そう言う中で、自分自身で帰国を決断したのには、それなりの覚悟をもって決断したつもりです。

私の帰国と聞いて、今度はどれぐらい日本で滞在するのだろう?っと思った方も多いと思います。少なくとも今回の帰国に関しては、数ヶ月ということはありませんし、下手をすればフリーランスとして、海外に出ることは二度とないかも知れません。それぐらいの覚悟で今回は本帰国を決断しています。

帰国当初はフリーランスとして、国内外問わずボーダーレスに働く予定でしたが、色々な縁とタイミングがあり、ModelingCafeの福岡支社代表ということになりました。一支社の代表ということで、フリーランスの時ほど、フットワークが軽いわけではありませんが、自分が経験したこと、学んだことを日本のCG業界に何かしらの形で、還元したいという気持ちは今も変わりませんので、仕事やセミナー、ワークショップ、執筆活動、ブログなどを通じて、少しずつでも還元する事ができれば良いと考えています。

また、来年から新しい挑戦を始める訳ですが、僕自身にとって何が原点なのか?何がスタート地点だったのか?もう一度、しっかりと考えて、まずは自分の足元をしっかりと見つめなおして、1歩1歩新しいことに挑戦していければよいのかな?っと今は思っています。まず第一は原点回帰です。

来年からは海外で働く以上の大冒険が始まります。成功するのか?失敗するのか?正直、いまの僕にはわかりません。ただ、出来る?出来ない?ではなく、ぼくの場合はやるか?やらないか?なので、まずは自分自身が納得いく結果が得られるように、新年から全力で頑張って行きたいと思っています。
 
新しいこと尽くめで、まだまだ未熟者ですが、今後も皆さんと一緒に私自身も成長する事が出来れば!!!!っと思っています。日々精進の気持ちを忘れずに、来年も全力で駆け抜けたいと思います!!!!

北田 栄二


2014年11月30日日曜日

【CG】 CGWORLD クリエイティブカンファレンス補足

さて、久しぶりのブログ更新です。色々とクリエイティブカンファレンス通じて発表させて頂きましたが福岡の件に関しては、また後日という事で、今回はカンファレンスでお話させて講演内容に関しての補足をさせて頂きたいと思います。

まずは、カンファレンスでは多くの方に来て頂き、本当にありがとうございました。また、カンファレンスに協力してくださった運営の皆様、スペシャルゲストとして、登壇していただいた帆足さん、鈴木君、皆さんの協力のもと非常に有意義な1時間だったと思います。

さて、補足と言うことで色々と書き足さなければならないのですが、まず僕がこのカンファレンスを通じて伝えたかった物は以下の3つです。

  • プロダクションフローにおけるモデリング作業の一般的な流れ
  • モデラーに求められるアート、デザインの重要性
  • モデラーに求められるテクノロジーの知識や技術の重要性

この3点をまずは伝えたかったと言うのが一番にありました。特に今回私が最も伝えたかったのはアートとテクノロジーの重要性です。 私はどうしてもテクノロジーの分野が得意なので、話がそちらに偏りがちなのですが、CGにはアートという側面もあり、テクノロジーという側面もあります。CGの進化はテクノロジーの進化なくして語る事ができません。

しかし、アート、デザイン、見栄えという点で、キャラクターや背景に魅力がなければ、元も子もありません。逆にいかに魅力的なデザインだったりキャラクター、背景であっても、レンダリングして絵に出来なければ、結果は同じです。

CGで求めらるのは、こういったアートやデザインの知識と技術と同様に、テクノロジーに対する知識や技術も同様に必要になり、どちらか一方だけでは成り立ちません。私が今回のカンファレスンで伝えたかったのは、そういう部分です。そう言う意味で、私よりもアートやデザインのセンスに秀でたお二方にゲスト登壇してもらいました。

そして、今後のモデラーに求めらるスキルとして、デザインできる能力というのは非常に重要になってきます。カンファレンスでも紹介しましたが、全ての情報がそろった状態で作業を始められることはほとんどありません。与えられる情報を繋ぎあわせて、自分で解釈し、自分でデザインする事が今まで以上に求められます。また、今後はモデラーという域を超えて、テクスチャーやシェーディングの知識もモデラーには求められることになります。シェーディングの知識=レンダリングの知識に直結します。また、時にはマットペイントの知識や技術も必要になってるでしょう。

今後、CGを生業としていくうえで、ワールドスタンダードで戦うなら、個人のジェネラリスト化と言うのは避けては通れない道だと思います。

もちろん各部門により、よりスペシャリストが求めらる部門もあれば、よりジェネラリスト化する部門も出てくると思いますが、ソフトウェアの発達により、全体的にジェネラリスト化の傾向にあります。

そして、今後は今まで以上にアートやデザインの知識、技術が求められますし、テクノロジーにおいても同様です。今回のカンファレンスでは、CGはアートとテクノロジーのバランスが大事ですということを伝えたかったのですが、僕の話し方、伝え方の不味さもあって、テクノロジーの話が先行しがちだったので、この場をかりて補足とさせて頂きます。

最後に、登壇にご協力頂いた帆足さん、鈴木君!本当にご協力感謝です!ありがとうございました!!!
写真は最後に会場の皆さんと記念撮影!!!



※また、会場で質問できなかった皆様、質問はメールフォームより受け付けております。お気軽にメールフォームよりご質問ください。

2014年10月22日水曜日

【仕事】 近況報告 帰国に向けて その1

さて、今日でシンガポ-ル滞在も残すところ1ヶ月となりました。家族は今月末で一足先に離星するので、今月は引越し作業に子供の卒園式とイベント盛りだくさんです。引越し作業については概ね終了していますが、最後の追い込みという感じでしょうか。執筆作業も大詰めに来ており、こちらも現在、最後の追い込みという感じです。

僕自身は今年の11月で、ちょうど海外生活5年が経過しました。僕自身は正直、もう少し海外生活を続けたいという気持ちもあるのですが、家族を連れて転々と国を渡り歩く生活にも限界がありますし、正直、この5年の経験からNZ以外での就労については考えていなかったので、NZで働けないなら、帰国するのも選択の一つかな?という思いは昨年ぐらいから徐々に芽生えていました。

そんな中で帰国を決めた訳ですが、帰国後の方向性や住む場所なども徐々に決まりつつあります。近いうちに詳細はご報告できると思いますが、すべてが決まった段階で、ブログなどを通じてご報告させて頂ければと思っています。おそらくクリエイティブカンファレンス後ぐらいには、皆様にご報告させて頂けるのではないかと思っています。

12月は引越しや家のことなどもあり、実際に私個人が本格的に活動を開始できるのは来年1月からということになりますが、直近ですとクリエイティブカンファレンスや他セミナーなども色々とお話頂いていますので、年内はセミナーや年明けの本格始動に向けた準備に奔走させられると思います(笑

 という訳で、来月の今頃は日本です。日本を飛び出したときと同じような気持ち、ドキドキわくわくした気持ちで、今は帰国が待ち遠しくてたまりません。

次回更新は帰国後になると思います!待ってろ~~~~~~~~~~!!!JAPAN!!!

2014年10月15日水曜日

【CG】 CGWORLD クリエイティブカンファレンス2014 お申し込み開始

CGWORLD クリエイティブカンファレンス2014の申し込みが本日より開始されました。僭越ではありますが、有名企業、有名スタジオ、著名な方々に混じり、個人として当日は登壇させていただくことになりました。


お申し込みはこちらから
CGWORLD クリエイティブカンファレンス2014 お申し込み

講演内容はこちらから
現場で役立つプロダクションワークフロー モデリング編


講演内容に関しては題して「現場で役立つプロダクションワークフロー モデリング編」と銘打ちまして、コンセプトモデリングとプロダクションモデリングの違いや、コンセプトアートを元にどのように立体化、具現化し、プロダクションモデルに落とし込んでいくのか?今後のモデラーの役割はどうなっていくのか?実際の私の作ったモデルデータを基にモデリングの基本的な流れを紹介します。

紹介するデータは 、私が現在、執筆のために制作しているモデルデータを使用して、コンセプトアートを基にした細部のデザインのおこし方から、実際にプロダクションで扱われるモデルデータへの落としこみまでの流れを紹介予定です。また先行して一部、執筆内容を当セッションで紹介予定です。




※1 この画像はアセットビルド(モデリング、UV、テクスチャー、Look Dev、エラーチェック、レンダリングの保証)が完了した画像です。(クリックで拡大)



※2 この画像はモデリング、UV、テクスチャーを終え、シェーダー調整中のテスト画像です。(クリックで拡大)


これらのデータを用いて、モデリングとは何ぞや!?と言うことについて熱く語りたいと思っています(笑

<講演詳細(仮)>
  • 自己紹介
  • モデラーに求められる役割
  • コンセプトモデリングとプロダクションモデリングの違い
  • コンゼプトアートを基にプロダクションモデリング完了までの流れ
  • 執筆内容を先行で一部紹介
  • 質疑応答、フリートークセッション
  • 参加者限定プレゼントコーナー(2名限定)

1時間という限られた時間ですので、詳細な部分、テクニックなどに関しては紹介できない可能性があり、モデリングのみにフォーカスを当てたセッションです。セッション内容はどちらかと言えば、就職を控えた学生や将来モデラーになりたい、モデリングに興味がある方、働き始めたばかりの新人モデラーさんを対象とした内容を予定しております。モデラーとして既に活躍されている方には少々物足りない内容になってしまうかもしれませんが、デジタルアーティスト志望の学生や、将来モデラーやテクスチャーアティストになりたい方などお気軽にお立ち寄り頂ければと思います。

また、セッションの最後に参加者限定で、2名様限定ですがプレゼントをご用意しています。そちらも楽しみにして頂ければと思います。




2014年9月26日金曜日

【書評】 ゲーム・映像制作 パイプライン構築マニュアル

本日は仕事の合間に少しずつ読み進めてたボーンデジタル出版の” ゲーム・映像制作 パイプライン構築マニュアル"を読了したので、発売前ですが書評を兼ねた感想を紹介させて頂きます。

お求めはこちら
ゲーム・映像制作 パイプライン構築マニュアル

これは私が知る限り、世界で初めて(?)パイプライン構築について書かれた書籍だと思います。目次を見てみましょう。

1章 はじめに
2章 制作のステージ
3章 映画のアセット作成
4章 ゲームのアセット作成
5章 パイプラインの基本機能
6章 システム インフラストラクチャー
7章 スタジオ環境のためのソフトウェア
8章 データ管理の詳細
9章 アセット管理
10章 制作管理
10a章 色と音
11章 すべてをまとめる
12章 今後の傾向と技術
用語集

目次を見て頂いても分かると思いますが、パイプラインとはどういう物か?どういうメリットがあるのか?構築、運営していく上での注意点などが、丁寧に説明、解説されています。

構成に関しては、映画、VFXとゲーム(実機)のパイプラインの違いを比較しながら、話を進めているので、映像系、VFXスタジオのエンジニア、アーティストでも読むことができますし、ゲーム系開発者、エンジニア、アーティストでも読めるような構成になっています。

私自身は実機(リアルタイム)をメインとしたスタジオでゲーム開発をしたことがないので、映像系のパイプラインとゲーム系にパイプラインを比較された時に、いまいちピンッとこない部分が多かったのですが、これは逆の立場でも同じかもしれません。

私自身は映像系、VFX系のパイプラインにフォーカスして話をさせて頂きますが、少々内容はシニア向けと言いますか、実際にそれなりの規模のパイプラインを構築しているスタジオでの勤務経験がないと、内容を100%理解するのは難しいかもしれません。私自身、職種で言えばアーティストですので、エンジニアリングなどの部分では専門ではありませんので、理解しきれていない部分もありました。

それでも本書はパイプライン構築の目的、構築時の注意点、構築の必要性、メリット、問題が起こる原因などを細かく丁寧に解説されています。パイプラインがどいうものか?というのを知らない人、これからパイプラインを構築、整備しようと考えているスタジオ、既に自社パイプラインを持っているスタジオなどでも読んで損はしない内容だと思います。

ただ、何度も言うようですが内容が難しい(細かく書かれている)ので、パイプラインなどに興味がないアーティストには不向きな書籍だと言えるかもしれません。本当はアーティスト自身がパイプラインの構築、運用について知っておくべき内容が随所に書かれているので、対象を限定するのは非常に難しいですが。。。。

私自身はパイプリアン、アセット運用、カラーマネージメントなども含めて、非常に興味がある分野でしたので、本当に読み応えのある一冊でした。
(図解がそれほど多くなく、文章での解説がほとんどです。ページ数、本編だけだと280ページほどですが、読み応えとしては倍のページ数の本を読んでる印象すらしました。それほど文字が多い書籍です。)

ただ、本書の最後に用語解説も付属していますので、わからない言葉や名前が出てきても、用語解説を利用すれば、簡易的にではありますが説明されています。その辺は非常におかったと思います。

あえて本書の欠点というか内容に対して問題を提示するとすれば、本書で紹介された内容はあくまでもマニュアルであり、具体的にどうすればパイプラインを作れるか?という部分に触れられていません。またパイプライン構築にあたり、R&D部門なども含めて、エンジニア、TA、TDなどの開発力がある前提で話が進められていますし、紹介事例でも大手スタジオであったり、基本的にはそれなりの規模を有するワールドスタンダード的なパイプライン紹介なので、これらの内容がどこまで国内のスタジオにフィットするのか?という疑問はのこりますが、実際に海外のスタジオがどういうスタンスでパイプラインを構築し、運用し、どういった問題を抱えているのか?部分的にではありますが理解するこはできると思います。

解が示されていないのもスタジオにより求めるパイプラインの規模、スケールが異なるため、単純にパイプラインはこうやって作るんですよ!という説明ができません。むしろパイプラインはその会社、スタジオの文化として、それぞれにあった物を作るように書かれています。この辺は、実際に経験してみないとわからない部分なので、理解は難しいかもしれませんが、そういう部分も踏まえて、あくまでもマニュアルであり、この本書を購入すれば、パイプラインが作れるという類の書籍ではないことはご理解いただく必要があるかと思います。

また12章では、今後使用されるであろう新しい技術やソフトウェア、映像、ゲームにおけるクラウドサービスの運用などについても予想されていて、非常に興味深く本書を読む事ができました。


それでは私自身が本書を読んで、押さえておきたいポイントを何点か本書内容を引用して紹介したいと思います。

<以下引用>

1章 はじめに
1.3 パイプリアンとは?より
パイプラインは制作に携わる各アーティストの仕事を結びつける接着剤である。

1.4 映画とゲームのパイプラインの違いと類似より
映画のパイプラインは膨大な量のデータに対処できるだけでなく、それを柔軟に行えることが不可欠である。

2章 制作のステージ
2.6 プリプロダクション:概要より
プリプロダクションはぷろjけうとのプラインニングフェーズで、その後すべての基礎となる。

2.10 映画のパイプラインの制作より
パイプライン開発者の最も一般的な3つの作業は、バグ修正、新しいワークフロー機能の追加、既存ワークフロー機能の最適化である。
~中略~
最適かも重要で、特にツールが予想よりも遅かったり、予期したよりも多くのショットで使う必要がある場合は重要である。
~中略~
最適化と自動化はパイプライン構造を変えないので、アセットを出来る限り効率よく押し出すのにも役立つ。

3章 映画のアセット作成
3.4 モデリングより
モデラーはオブジュエクトの形を正確に再現するだけでなく、そのトポロジーが正しいことも保障しなければならない。これはメッシュを構築するポリゴンがジオメトリの”流れ”に従い、それらが適切なサイズと形状であることが含まれる。
~中略~
一般にはモデラーはポリゴンの「密度」がメッシュのサーフェースでほぼ均一になり、モデルが大部分あるいは完全に四角辺のポリゴン(「クアッド」)で構成されるようにする。不均等なサイズのポリゴンや、5つ以上の辺を持つポリオゴンを含むメッシュは、サーフェーステクスチャーの歪みの原因となったり、アニメーションで奇妙に変形することがある。

5章 パイプラインの基本機能
5.3 なぜパイプラインは変化するかより
パイプラインが変化するのは、一つには技術が変化するからである。新しい技術は新種のデータを意味し、その作成手法を制作の途中で、既存のパイプラインにに押し込まなければならない。

5.4目標を定義するより
プロジェクトの大きさは?
プロジェクトのサイズと複雑さには大きな違いがあり、それに必要なパイプラインもそれに応じて変わる。長いスケジュールの大きなプロジェクトの方がカスタム技術に投資することに意味がある。

5.9 ディレクトリ構造
5.10 ファイル0名規約

ディレクトリー構造の決定だけでなく、ファイルとフォルダの命名規約を定めることに重要である。記述的なファイルシステムが極めて重要である。
~中略~
しかし、自動化された命名システムは人的エラーに弱い。
~中略~
命名規約に置かれる重要性は、その規約を強制するツールを提供する意欲と相関したものでなければならない。

7章 スタジオ環境のためのソフトウェア
7.3 作るか、買うか、改造するか
7.4 ソフトウェアの購入:考慮すべき点


8章 ディレクトリ構造:
フラットな構造 VS ディープ構造

新しいプロジェクトを始める時には、最初からディレクトリ構造を計画することが重要である。
~中略~
むしろ、効率的なディレクトリーシステムの設定はアートに属する。

8.4 映画のディレクー構造

ディレクトリーの命名規約はスタジオにより異なる。

10章
制作管理
10.11 色と音
ワークフローにおける色管理
色管理システム
ACESシステム
色の将来


などなど、ここで紹介した物は私が付箋、アンダーラインとつけた極一部でしかない。

今回のエントリーが本書、購入の際の参考になれば幸いです。

2014年9月1日月曜日

【仕事】 帰国のご報告

今日は私事で恐縮なのですが、5年間の海外武者修行(夢半ばですが。。。)終えて、11月末で一度日本に帰国することを決意いたしました。

他国のスタジオやシンガポールに残るいくつかの選択もあったんですが、私が働きたいと常々思っていたWETA、NZへの就労、移住が年内は難しいと言う事と、一度、他国に移動してしまうと家族での再移住、スタジオとの契約の縛りや、子供の小学校入学時期、妻への負担、日本で暮らす両親の事、今後の将来のことなどありとあらゆる部分を総合的に考えた時に、VISAに依存せずに家族が安定して定住できる場所は、やはり日本しかないのかな?という結論に至りました。

長男が小学校に入学するまでの5年という自分なりに限られた時間を設定し、海外就労を続けてきました。今年が家族で他国に移住できるライスとチャンスだった訳ですが、欲を言えば、もう少し海外就労を家族で、特にNZで続けたかったと言う気持ちは強く残りますが、これっばっかりは自分の実力、タイミング、運が大きく影響してしまうので、仕方がないかなっと思います。ただ、夢の実現が絶たれた訳ではないので、今後もチャンスがあれば、自分の夢の実現に向かってチャレンジは続けていくつもりです。

また、私自身は今後もフリーランスとして国内外問わず、仕事は続けていきます。余程のことがない限りは、当面は日本に活動の拠点を置き、私自身を必要としてくれるスタジオ、プロジェクト、仕事仲間、出向、在宅業務など雇用形態に関わらず関わっていければっと考えています。もちろん、海外へ行く必要があれば、1年以内の短期、仕事や内容次第では前向きに検討し海外で再び就労する可能性もあります。(この場合、おそらく単身での赴任という形になると思いますが。)

いくつかのスタジオ、教育機関などからすでに仕事のお話を頂いていますが、具体的なことは何も決まっていないので、11月以降の仕事に関しては全くの白紙で、何も決まっていない状態です。

私自身は出来る限り多くのスタジオ、教育機関などを回って、色々とお話を聞いてみたく思っていまします。また、僅か5年程度の海外就労経験ですが、私が海外就労で得た知識や経験も出来るだけ、何かしらの形でスタジオ、教育機関、個人に向けて還元できればと考えています。もし何かしら私にご興味、お仕事の依頼などありましたら、当ブログのメールフォーム、もしくはeiji0915アットgmail.com(アットを@マークに変換)にご連絡頂ければっと思います。私の方からもスタジオ見学、学校見学のお願いをさせて頂きたいと思っていますので、その際は、ご協力頂ければ幸いです。

まだまだ夢半ば、武者修行中の身ですが、今後ともよろしくお願いいたします。




2014年8月11日月曜日

【その他】 海外VFX就職セミナー

今日は僕にとっては非常に思い出深いと言うか、海外就労のきっかけになったセミナーをご紹介させて頂きます。海外VFX就職セミナーです。詳細は下記になります。

【海外VFX就職セミナー】

ゲストスピーカー : 米岡馨(元PICSOMOND、元SCANLINE VFX at FX TD)

日時 : 8月30日(土曜日)17時〜

場所 : デジタルハリウッド 東京本校 (お茶の水)

参加費 : 5000円


私自身は元々海外志向は持っていましたが、実際にどうやって海外就職してよいかわかりませんでした。そんな中、溝口氏と鍋潤太郎氏が開催している海外就職セミナーとハリウッドVFX業界就職の手引きの存在を知りました。

私はこのセミナーを通じて、海外就労を成功させることができ、オーストラリアにあるANIMAL LOGICとの初契約を成立させる事が出来ました。その後もDr.Dを経て、Double Negativeとキャリアを重ねることが出来ているのは、このセミナーで海外就労についてでだけでなく、就労後の生活や現地で最初に行うべきことなどを見聞きできたのが非常に大きかったと思っています。

また、海外で働く多くのアーティストがこの手引きと、セミナーを足がかかりに海外就労を成功させています。私自身もその一人です。

私のメールフォームにも海外就労に関する問い合わせがあるのですが、私はまずこの手引きを読むことをおススメしています。

おそらく、海外就労に必要とされる情報のほぼすべてが掲載されて言いますし、実際に海外就労を勝ち得た方々からのアドバイスや実体験に基づく事例紹介などがあり、まずは海外就労を目指す、海外就労に興味がある方は、このセミナーに参加して、実際に海外で働いた方の実体験や日本と海外の違いなどを直接聞いてみるのも一つの方法だと思います。

私は初めはセミナーの参加者として、次は登壇者として、このセミナーには2度ほど参加させて頂きましたが、 今思うと非常に懐かしいと言うか、感慨深いと言うか、私の海外就労の挑戦は、このセミナーをきっかけに本格的に動き出したのかな?っと思うと、本当に感慨深いですね。そして、私も海外就労して、すでに5年が経過しました。

海外就労に興味に興味をお持ちの方は、まずはこのセミナーに参加して、登壇者から生の声を聴いてみてはいかがでしょうか?決して無駄になることはないと思います。
 
このセミナーを通じて、海外就労を勝ち得た人たちが登壇し、そのセミナーに参加人たちが、また海外就労を勝ち取り、登壇する。今後もこの流れはずっと続いてほしいですね。


以下開催スケジュール詳細になります。


<開催日時・スケジュール>

8月30日(土曜日)17時〜

場所 デジタルハリウッド 東京本校 (お茶の水)

参加費 5000円 

【当日スケジュール】

4時半開場

5時 溝口 基調講演

6時 米岡氏 レクチャー

海外就職、海外で働くということ

7時 質疑応答

7時半まで

8時より 近くの居酒屋で親睦会

2014年7月6日日曜日

【書評】 デジタルアーティストが知っておくべきアートの原則

さてさて、本日は仕事の合間に少しずつ読み進めてたボーンデジタル出版の”デジタルア-ティストが知っておくべきアートの原則"を読み終えましたので、少しばかり書評というか感想を。

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デジタルアーティストが知っておくべきアートの原則
-色、光、構図、解剖学、遠近法、奥行き-

まず、デジタルアーティストが知っておくべきアートの原則と銘打たれた通り、アートに関する基本的な事が丁寧にわかりやすく解説されています。僕のように芸大、美術系の学校でアートを学んでいない人に向けた親切な入門書という印象を受けました。色、光、構図、アナトミーなどなどキャラクターモデリング、背景の演出、絵作りに必要なアートの基礎部分をこの本で学ぶ事が出来ます。

ただ、芸大や美術系の学校を卒業された人には、かなり物足りない内容になってしまうかもしれません。僕の解釈では、この本はあくまでもコンピュータの専門学校などを卒業した、アートに関する知識がない、もしくはこれから学びたい人へ向けた書籍だと思います。

逆に僕はこの本を入り口に、より光や色、構図について学びたいと思いましたし、キャラクターモデリングを今後、視野に入れたときに、もっとアナトミーについて詳しく知りたいっと思いました。
そう言う意味での入門書だと言うふうに理解していただけると良いと思います。

内容も各章、丁寧に基本的な部分を解説しています。逆にいうと良い意味でも悪い意味でも基本的な部分、描くためのガイドラインにフォーカスした書籍です。この書籍のはじめにも書かれていましたが、これらの基本、ガイドラインが試行錯誤の元になり、独自のアイデア、独自の描画方法の助けになればっと書かれている通り、これから学ぶ人は原点を学び、基本を学び終えた人は原点回帰という意味合いが非常に強いと読んでいて感じました。

それでは簡単にですが、各章を順に少し紹介しようかと思います。

まずは第1章では光や色について触れられています。キーライトやリムライト、影や色についての基本事項とガイドライン的なものが紹介されています。デジタルアーティスト目線で言うとCG制作というよりは最終的な絵作りに参考になるような物が多く感じられました。本書ではペイントすることを前提に解説されていますが、それらの基礎はそのままCGでの絵作りにも十分役に立つと思います。

2章では構図や黄金比などについて触れられています。こちらもペイントされたサンプルを元にどういった意図でこういう構図になるのか?黄金比は?などなど構図に関する基本が紹介されています。僕自身は背景モデラーですので、直接自分で構図やレイアウトを行うことはありませんが、こういった基礎を知ることで、構図栄えする背景モデリングができるのではないかな?っと感じました。僕自身、まだまだこういったアートに関する部分は素人も同然なので、非常に勉強になりました。

3章では構図とは別に更に奥行き、パース、遠近法などについて紹介されています。ここでも基本的にはペイントを前提としていますが、CGでの絵作りに役立つ情報は多いかと思います。特に遠近法、パースはレイアウトアーティストが直接関わる部分でもありますし、カメラのレンズ=パース、遠近法での表現につながると思います。

4章では解剖学、アナトミーについて紹介されています。この辺りはキャラクターモデラーやリギングアーティストであれば、必ず抑えておくべき基本的な筋肉、人体の構造、描き方などについて解説されています。1章から3章の中で一番ページ数が多い章ですが、 解説に関しては基本的には人体のみで、やはりキャラクターモデラー、経験豊富なクリーチャーモデラーには、すこし物足りない内容になってしまっているかもしれませんが、僕の用にこれから本格的にオーガニックなモデリングを始める人には、調度良い内容だと思います。これを入門書として、さらに深い知識を得たい人は別書の専門書の購入をお勧めします。

5章では約本書の半分のページをリファレンスギャラリーとして、多くの作品を掲載しています。またその作品で用いられた基本、ガイドラインが逆引きできるように、扱われた基本、ガイドラインについて参照ページが記載されています。またアーティストがどういった意図、何を表現したかったか?どう表現したか?などの詳細が解説されており、2Dコンセプトアートを描く人には非常に参考になる部分が多くあるのではないかと感じました。


自分が思っていたより、かなり長文になってしまいましたね(^^;
最後になってしまいましたが、本書の中身を写真でまとめてみました。ご購入の参考になれば幸いです。















2014年6月18日水曜日

【CG】 SHOWREEL 2014

さて、本日は3年ぶりにデモリールを更新しました。
詳細は下記リンクのVIMEOをご覧ください。 (画像クリックしてください。)


 Eiji Kitada Show Reel 2014



不特定多数、業界に全く関係ない方が自由に閲覧できるのは好ましくないというスタジオからの要請により、デモリールにパスワードを設定させて頂きました。閲覧希望される方は、メールフォームよりご連絡ください。スタジオからの話では、基本的にデモリールの作成はリクルートのみに使用可で、WEBなどにUPする場合も原則としてリクルート活動のみ対象とするそうです。(2014/07/07 追記)

今回のリールは現スタジオとの契約の都合上、ブレイクダウンを画像で公開する事が出来ません。ここで公開されているDNEGのショットはファイナルのみとなります。しかし、それだとお前どこ担当したんだよ!!!!!ってなると思いますので、こちらのブログにて日本語のブレイクダウンを掲載させていただきます。

※制作時間は1日の労働時間を9時間と換算し、ファーストパスまでの制作期間であり、リテイクを含む完成までの制作期間ではありません。


The Hunger Game : Chatching Fire Avenue Shot (0m0s ~ 0m22s)
このショットの背景は5人のモデラーによって手分けして作られました。僕が担当したのは中央半円系の建物と中央大通りの左右にあるメインの両建物です。これらの建物はこのシーケンスにおいて、最もクローズアップになる重要な建物です。遠方の建物は他のモデラーによって作られています。

Modeling: 5 days for 1 hero modeling
UV layout: 3 days for 1 hero building

Godzilla las Vegas Destruction Shots (0m23 ~ 0m26s)
このショットのモデリングは二人のモデラーによって作られています。一人がラフモデルで建物の位置を配置しレイアウトし、僕がそれらのラフの建物をレンダリング用のハイモデルに作りかえ、壊すという作業をしています。ただ、このショットはマットペイントによってペイントオーバーしているので、プレート、3Dオブジェクト、デジマットの混成ショットになっています。とはいえ、建物の壁面以外はほぼ3Dオブジェクトです。このショットはトレーラーにも使われているキーショットです。

Modeling: 2 days for 1 destruction modeling
UV layout: 1 days for 1 building

Godzilla las Japanese City Shots (0m27s ~ 0m33s)
このショットも前のショットと同様にプレート、3Dオブジェクト、デジマットの混成ショットです。担当したモデラーは私一人だけです。
私が担当したモデルはカメラ手前の虎ノ門ヒルズの壊れモデルと画面中央のツインタワーの壊れモデルです。これら二つのビルに覆いかぶさるつたの葉などすべて3Dオブジェクトで作られています。遠方のビルはデジマットによるペイントオーバーです。

Modeling: 5 days for 1 hero destruction modeling
UV layout: 3 days for 1 hero building

Godzilla Aircraft Carrier Shots (0m34s ~ 0m41s)
このショットでは手前ヘリコプターの後ろにある空母の艦橋とF18スーパーホーネットのモデリングを一人で担当しました。

Main bridge 
Modeling: 10 days
UV layout: 5 days

F18 super hornet 
Modeling: 7 days
UV layout: 3 days 

The Dark Knight Rises Final battle shots(0m42s ~ 0m51s)
このショットは私がDNEGで行ったはじめてのプロジェクトです。ショットの建物は5人のモデラーによって作られています。僕が担当したのはリードモデラーとして、モデリングワークフローの組織化とUVレイアウトの正しいやり方をチームメンバーに伝えることでした。5つあるヒーロービルディングの4つをモデリングとUVレイアウトの担当として、最終的な仕上げを担当しています。この頃はモデラーは二人しかいなかったので、自分が作業すると言うより、チームメンバーにノウハウを教える作業の方が多かったです。

Modeling: 15 days for 1 hero modeling
UV layout: 5 days for 1 hero building 

Legend of the Guardians(0m52s ~ 1m03s)
このプロジェクトは僕が始めて関わったハリウッド映画でした。何もかもがはじめてて、非常に苦労した記憶も良い思いでです。このシーンの背景は2人のテクスチャーアーティストによって作られました。僕が担当したのは、中央の大きな木を除く、会議室すべてです。

また、ストーンパレスと呼ばれるアセットの玉座や壁面の岩などのUV、スカルプト、テクスチャー、ルックデブを担当しました。ストーンパレスは4人のテクスチャーアーティストが作業を分担して制作しました。

Parliament Room
Software: Maya, Zbrush, Photoshop and 3D paint
Texture and Sculpt : 20 days for the parliament all walls,ceiling and some props.
UV layout: 10 days for all my asets

Stone Palace
Software: Maya, Zbrush, Photoshop and 3D paint
Texture and Sculpt : 3 days for 1 assets of rocks.
UV layout: 1 days for all rocks
 
Godzilla nuclear Submarine Shots (1m04s ~ 1m20s)
このショットに使われている原子力潜水艦は2人のモデラーによって作られています。メインシェイプを一人が担当し、僕が担当したのは後尾スクリューから艦橋にかけてのディティールアップと仕上げ、UVを担当しています。

Modeling: 5 days
UV layout: 2 days

Fast and Furious 6 Crash Car Shots (1m21s ~ 1m27s)
このプロジェクトに登場する2種類の車をモデリングしました。ロードスターとシエトロンです。
このシーケンスでは、どの部分も一瞬ですが、カメラにすごく近づくので、エクステリアはもちろん、インテリアや背面のサスペンション、タイヤの溝まで細かくモデリングされています。

Hero Road Star
Modeling: 10 days
UV layout: 3 days

Citroen Xsara
Modeling: 5 days
UV layout: 2 days

Total Recall Passenger Bay Shots (1m28s ~ 1m33s)
このショットに登場するパッセンジャーベイと呼ばれる、サイボーグたちが座っている部屋、すべてのモデリングを一人で担当しています。

Modeling: 7 days
UV layout: 3 days

The Bourne Legacy Drone Landing Shots (1m34s ~ 1m43s)
このプロジェクトでは映画前半部分で非常に重要なアセットである無人戦闘機のモデリングとUVを一人で担当しました。

Modeling: 7 days
UV layout: 3 days

The Bourne Legacy Larx Crash Shots (1m44s ~ 1m46s)
ラークスと呼ばれる殺し屋のデジダブルをモデリングしましたが、担当部分は体のみで、顔は別のモデラーが担当しています。

Modeling: 7 days
UV layout: 3 days

Happy Feet Two(1m47s ~ 1m54s)
エンペラーランド中央のハブのスカルプト、テクスチャー、シェーディングを担当しました。その他にも多くの背景のスカルプトとテクスチャー、シェーディングを担当しました。また、レンダリングのためのアセットのクリーンアップやトラブルシュート的な役割も同時にこなしました。

Software: Mudbox, Mari and Photoshop
Texture and Sculpt : 10 days

Legend of the Guardians Class Room Shots1m55s ~ 1m59s)
このショットでは主に背景の教室ではなく、教室内の椅子や机、マップボードなどのプロップのスカルプト、テクスチャー、UVをすべてを担当しました。

Software: Maya, Zbrush, Photoshop and 3D paint
Texture and Sculpt : 5 days for one prop.
UV layout: 2days for one props.
  
Godzilla Vehicles (2m00s ~ 2m13s)
ゴジラでは大小含めて40以上の小物や乗り物、建物などを担当しましたが、紹介できるのは極一部です。

Japanese Fire truck 
Modeling: 7 days
UV layout: 3 days

Monorail include interior 
Modeling: 10 days
UV layout: 4 days


以上がデモリールのブレイクダウンになります。日本語のブレイクダウンを用意していなかったので、自分で書いた英文を読みながら書き起こしたので、なにやら文面が直訳っぽくて怪しいですが 。。。。(^^; 気にしないでください。

あ。。。。本当はブレイクダウンを含めたデモリールをアップしたかった。。。ま、契約なので仕方がないのですが。

2014年6月8日日曜日

【書評】 フェイスリファレンス

さて、本日はまたまたひとつの書籍を紹介したいと思います。

ボーンデジタルから先日発売されました「フェイスリファレンス」です。73種の多民族の顔のリファレンスを骨格や各民族の特徴などを顔写真のリファレンスを交えて紹介しています。

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ボーンデジタル フェイスリファレンス

この書籍に関してはキャラモデラーやキャラクターリギングなど、キャラクターに関わる人限定の書籍です。
僕自身も、先日のエントリーでも述べましたが、少しモデリングと言う分野はそのままに、オーガニック系のモデリングにも手を伸ばそうかなと思っています。

そういったキャラクターやアナトミーなどの知識がない人には非常に有益な書籍だと感じました。
ただ、逆に今までキャラクターについて、人体解剖学などについて勉強した人などからすると、少々物足りない内容になってしまうかもしれません。


個人的にすごく良かったところは、やはりリファレンスや骨格を元にその民族の特徴などが解説されている点です。
ただ、残念な点としては、リファレンスと銘打たれた書籍ではありますが、1民族に対して、一人の骨格、一人のリファレンスと言うのは、少し物足りなさを感じました。1民族、男性、女性含めて3種類ぐらいはリファレンスがあれば、さらに良かったかな?っと感じました。


こういった知識はデフォルメキャラやアニメテイストのキャラクター造詣に不必要な知識と思われるかもしれませんが、けっしてそう言うわけではありません。

当然、フォトリアルにつくためには絶対に必要な知識ですが、アニメテイストなキャラを作る場合は、逆にどの情報を間引くことで、説得力を失うことなく、デフォルメされたキャラクターをつくれるか?逆に情報を間引く時に、こういったアナトミーの知識は必要になります。

こういった基礎知識は背景を作る際も同様です。何気なくデフォルメされた顔としっかりとした知識を元に情報を間引いたデフォルメとは必ず違いが出ます。

これは人によって様々な意見があると思いますが、僕個人の意見としては、やはり実写に基づく、現実に基づくことで、説得力が出せると考えていますので、僕もこの本を参考に、人物の顔のスカルプトモデルのトレーニングを開始しようかと思っています。

ご興味がある方は、こちらのサイトより、詳細、書籍内解説動画見れますので、参考にされてみてはいかがでしょうか???


フェイスリファレンス詳細動画


本来なら書籍内写真などを、本部ログでも紹介したいところですが、こちらの動画を見ていただいた方が情報量が豊富ですので、今回は写真の転載はいたしません。

2014年6月5日木曜日

【CG】ジェネラリストの潮流 後編

前回のエントリーより随分と間があいてしまいましたが、今回はジェネラリストについて少し紹介したいと思います。

ジェネラリストの採用が海外スタジオでも増える傾向にある昨今ですが、そもそもジェネラリストとは?日本のスタジオと海外スタジオのジェネラリストの違いについて紹介したいと思います。

前回のエントリー「ジェネラリストの潮流 前編」でも少し紹介しましたが、日本で求められるジェネラリストと言うのは、モデリングからコンポまで、全てとは言いませんが、多くの作業を一人でこなすのに対して、海外大手でもジェネラリストというのは、1つのメインスキルに対して、2つ3つのサブスキルを持っているアーティストという印象です。

また、日本でのジェネラリストの運用というのは、個人にショットないしシーケンスをまるまる一任するのに対して、こちらのスタジオ(あくまでも僕の経験の範囲内で)は、分業されたワークフロー、パイプラインをベースにタスクが割り当てられるという印象です。

具体的な例を出すと、今までの海外大手のスタジオというのは、やはり分業をベースに各スペシャリストが作業に当たるというのが常でした。
いわゆる分業制です。今までは分業制で働くアーティストはスペシャリストという印象だったと思いますが、昨今では分業制というシステムを採用しながらも、働くアーティストはジェネラリストという例が出てきました。

今までは一つの背景を制作するにしても、モデリングをモデラーが、テクスチャーは別のテクスチャーアーティストが作業するという感じです。
ところが最近ではENVIROMENT TDと言われる職種やENVIROMENTアーティストと言われるような新しい職種も誕生しつつあります。

要は背景に限り、モデリングやテクスチャー、ルックデブなどを一人のアーティストがこなすという日本の様なジェネラリスト制です。

ただ、日本のシステムとは少し異なるのは、あくまでもシステム的には分業制ですので、自分が担当したモデルを、そのまま自分でテクスチャー、ルックデブまで行うというわけではありません。
他人の作ったモデルにペイントすることもありますし、自分が担当したモデルをそのまま運良く、自分で最後まで仕上げることもあります。
ここは同じようなジェネラリストという扱いでも、少し日本とは異なる部分だと思います。

こちらのスタジオではあくまでもタスク管理は分業制を主体に考え、担当するアーティストがスペシャリストからジェネラリストに変わって来ているというのが正確な表現の仕方かもしれません。

これにはツールの発達により、複雑なこともツールを覚えることで容易に誰でもできたり、今までの資産(インハウスツールやアセット)を流用、再構築して使うために、すべてを1から作り直す必要がなくなってきたなどの理由が考えられます。

特に大手スタジオの場合は、過去のノウハウや資産というのは相当蓄積されていると思います。これらをうまく流用することで、スペシャリストと同等のアセットやシーン構築をジェネラリストでも行えるようになりつつあります。

その反面、スペシャリストの採用、働き方というのは徐々に制限され始め、雇用機会も減りつつありますが、基本的に海外大手スタジオの場合はシステムとして分業制を敷いていますので、職がなくなるということは今のところないと思いますし、エフェクトやリグ、アニメーションなどは、まだまだ個人スキルに依存する部分が多いセクションだと思います。

今後はさらに海外スタジオではジェネラリストの採用、雇用機会というのは増えてくると思いますが、スペシャリストの需要も決して少ないわけではありませんし、先ほども述べましたが、大手スタジオの多くが分業制というシステムでプロダクション運営されていますので、担当するアーティストがスペシャリストか?ジェネラリストか?という違い程度でしかありません。

今後もこいいった流れはしばらくは続くと思いますが、5年後、10年後は定かではありませんし、そもそも分業制やジェネラリスト制などとは全く別のシステムになっているかもしれません。

そういった時代の流れに取り残されないためにも、常にアンテナを外に向け、どういった事態、時代の流れにも対応できるように自分を磨く努力を怠らないようにしなければいけません。

ということで、僕も背景やプロップに限定するのではなく、多少なりともオーガニック系のモデリングについて知識、技術を身につけなければいけないなっという事で、次回はいくつかの書籍を紹介できればと思っています。自分の長所は更に伸ばしつつ、短所を克服する!ように今後は努めたいと思います。

それではまた次回(笑

2014年4月25日金曜日

【その他】執筆について色々とご報告

TwitterやFBの方では、少しだけご報告させて頂いたのですが、この度、本を執筆する事となりました。

出版はデジタルクリエイターを支援するサービスカンパニーのボーンデジタルです。

 Born Digital,Inc.はこちら。

ボーンデジタルとは、昨年のセミナー依頼、色々とお世話になっていて、最近では書評やCGWORLDでのサブスタンスペインターのレビュー記事(来月発売予定の6月号)などを書かせて頂いたりしていました。

そんな時、ボーンデジタルから「北田さん、本を出してみませんか?」「できれば制作現場で役に立つ内容にしたい!!」という提案、お題を頂きました。

自分なりに何が制作現場で役に立つか?どういう内容にするのが良いのか?色々と考えましたが、背伸びしても仕方がないし、自分自身が得意としている、僕が15年のキャリアの中で経験したアセットビルド(モデリング、テクスチャー、ルックデブ、ターンテーブル)の作業工程を実際のプロダクションフローに乗せるような感じで、噛み砕きながら、紹介、解説するのが良いのではないかと思い、企画書を提出。
無事に企画が通り、この度の執筆する運びとなりました。

まだまだ、詳細な内容や発売時期などは発表できる段階ではありませんし、執筆に向けた作品作りもこれからですので、発売はおそらく来年になると思います。
気長にお待ち頂ければ幸いです(^^;

また、僕自身、常々公言してきましたが、海外の技術、知識を日本へ持ち帰りたい。日本へ少しでも還元したいという思いがありましたが、今回の執筆という形で、少しでも日本の業界の発展、技術、知識還元に貢献できればっと思っています。

そして、今回、執筆という僕自身にとっては、新しい挑戦の場、技術還元の場を与えてくださったボーンデジタル出版事業部の方々、本当にありがとうございます。
初めてのことなので、色々とご迷惑をおかけすることになると思いますが、引き続きよろしくお願いいたします。

また、今回の執筆に関して、多くの友人アーティストに助言、お手伝いをお願いすることになるかもしれませんが、お時間の許す限り、お手伝い頂ければ嬉しいです。


現段階で自分なりに考えている内容は以下です。

コンセプト
私自身が15年のプロのキャリアで学びえたプロップ、背景制作における、モデリング、UVレイアウト、テクスチャー、ルックデブのノウハウを出版と言う形で日本のアーティストに還元するのが一番の目的です。またコンセプトアートからどのようにモデリングを行うか?写真素材からモデリングを行う場合は?モデリングを行う前の準備、テクスチャーを描く前の準備など、実際に作業に掛かる前のノウハウ、ワークフローに乗せるためのノウハウなど、単にソフトの扱い、解説に留めない、正に現場で役に立つための書籍を目指します。

ターゲット
基本的には3Dのソフトウェアにある程度、精通した人で中、上級者以上が対象になります。使用するソフトウェアもMAYAだけではなく複数のソフトを扱いますので、専門学生、新人アーティストには少々、敷居が高い書籍になることが予想されるため、ターゲットはあくまでも中、上級者を対象とします。

ツール
使用ツールはMAYAを基本に以下のソフトを使用予定です。
­3Dcoat(UV)
­MARI(テクスチャーペイント)
­Photoshop(テクスチャーペイント)
­Zbrush or Mudbox(スカルプトとディスプレイスメントマップ生成)
­MentalRay or Vray



また具体的に、どういったことが知りたい?XXXについて詳しく説明してほしいなどの、ご意見、ご要望あれば、参考にさせて頂きますので、コメント欄、メールフォームよりご連絡ください。

※あくまでも参考にさせて頂きますが、全ての要望にはお応えできないかもしれません。その点は、ご了承ください。

っという感じで、まだまだ動き始めたばかりですが、皆様の期待に応えらる様な、制作現場で役に立つ本が執筆できれば良いと思っています。







2014年4月21日月曜日

【書評】[digital] ライティング& レンダリング 第3版

 さて、モデリングの話やジェネラリストの話など、滞ってしまっていますが、今回は1冊の良書を紹介したいと思います。

ボーンデジタルより発売された「[digital] ライティング& レンダリング 第3版」です。

お求めはこちら
[digital] ライティング& レンダリング 第3版

この本は駆け出しの頃に、一度、初版を読んだ事がるのですが、当時はCGの知識や、基本的なことを知らずに読んだために、あまり理解することが出来ませんでした。
今回の第3版の発売を気に、再び読んでみようと思い、読んでみました。
特に僕が気になったのは「リニアワークロー」「物理ベースのライティング」「4K」「Ptex」「トーンマッピング」などの加筆された項目です。

まず、この本がどういった本かというと、題名の通り、ライティング、レンダリングをフォーカスした書籍なのですが、ライティング、レンダリングに関することだけではなく、テクスチャ制作の基本的なカラーマネージメント、フィジカルベースシェーディングやリニアフロー、大規模プロダクションのワークフローやパイプラインについても触れられています。

ただ、個人的に感じたことは、非常に本書は上級者向けな書籍だと感じました。出てくる専門用語も多く、それらの専門用語に対して、細かく解説がなされている訳ではありませんので、新人アーティストや学生には少々敷居が高い書籍だと思います。
その反面、ある程度CGに精通しているシニア、現場の第一線で活躍されているフリーランス、教壇に立ち教員や講師として働いておられる、いわゆるプロの方には、非常に有益な情報が多く”プロのためのCGの教科書”という印象を持ちました。

本書の初めにも述べられていますが「本書は、ソフトウェアのマニュアル、ヘルプファイルの代わりになるものではなく、それらを補足することを目的としています。」という文面からも、上級者向けの本であるということが伺えます。

僕自身、実際に多くのことを復習できましたし、新しいことも学び得ることができました。特にリニアフローの認知度が広がりつつあるにも関わらず、リニアフローを用いずに絵作りをするアーティストが多い原因は何か?など僕自身が興味を引かれる内容が所々にあり、非常に参考になりました。

本書を読んでいて、気になったページや文章に付箋を貼りながら読んでいたら、こんな感じで、大学受験生の参考書みたいになってしまいました(^^;





それでは、ここからは僕が重要だと感じた文章を、本書の文章を引用しつつご紹介したいと思います。
※ボーンデジタル承認の上での、本ブログ内での文章引用となります。


第一章:ライティング設計の基礎 より引用

作業がうまくいかないことをツールのせいにするのは、優秀なアーティストのすることではありません。中略、、、レンダリングソフトの不具合、欠点、制限などを補う必要があります。


これはライティングだけに言えることではありません。モデリングやテクスチャなどでも同様です。上手くできないのは、自分自身の知識、技術不足に起因することが大です。僕の経験では、優秀なアーティストはツールに関わらず、同じようなことを表現する術を心得ている人が多いです。


第2章:ライティングの基礎とさまざまな手法

必ず全てのライトに明確な名前を付けるようにしましょう。中略、、、ほとんどのスタジオがプロジェクトごとに厳格な命名規則を定めています。どの規則に従うかということよりも、必ず全員が同じ規則に従い、一貫して各ライトに認識しやすい名前を作成することが重要です。


案外軽視されがちな命名規則ですが、これらの命名規則はディレクトリ構造、モデリング、テクスチャー、リギング、レンダリングのパス出力、コンポに至るまで存在します。
インハウスツールやワークフロー、パイプライン(パブリッシュシステム)などは、これらの命名規則を元に作られることが多く、命名規則を無視したプロダクションワークは、ワークフローに混乱を招くだけでなく、作業遅れの原因になることもあります。


第8章:色の基本

リニアフローとは、テクスチャの準備、サーフェースカラーの選択、ライティング、レンダリング、合成といったプロセス全体に対するカラーマネージメントの方法を指します。中略、、、リニアフローを理解すれば、ライティングや合成における時代遅れな次善策に頼る必要はなくなります。

ガンマを理解する
近年、リニアフローの認知度は広まりつつありますが、いまだに多くの人がリニアフローを用いずに、グラフィックを作成しています。では、その原因を作っているのは何でしょう?その一つは「目」です。


グローバルイルミネーションは物理的に正確な逆2乗の光の分布を使用するため中略、、、リニアフローを用いないと正確に機能しません。

HDRI(リニア)を用いたIBLとGIを組み合わせてリニアな環境に設定したにもかかわらず、リニアな状態でないテクスチャーやシェーダーを用いて、誤った扱いをしている人も大勢いると思います。そして最終的にはレンダリングイメージを”見た目”で修正するということは大いにある話です。GIを正確に用いるためには、リニアフローへの知識は必要不可欠だと、本書を読んでいて感じました。


第10章:テクスチャのデザインと割り当て

リアルなレンダリングオブジェクトではオブジェクトのカラーに純粋な白や黒、あるいは彩度が100%の赤、緑、青を使用するのは避けたほうが良いです。中略、、、これららは現実世界では存在しません。

中略、、、ほとんどの場合、テクスチャマップの赤、緑、青のカラー値は15%から85%にしておくのが良いです。

これは僕がリニアフロー、フィジカルベースで物を考えている時に、常に心がけていることで、本書を読むことで、ぼくの方法論、理論が間違っていなかった裏付けが取れました。


ここで紹介した物は、本書のほんのごく一部です。私自身、他にも重要だと思った文面は幾つもありました。もちろん、何が重要で重要でないかを判断するには、個人差があるともいますが、少なくても僕が読んだ限りでは、本書はプロのための良書であり、プロのための教科書になると感じました。

単価が7000円と高く、個人で買うのは難しいかもしれません。また前回紹介した「大聖堂を建てよう」と同様に、常に必要という訳ではなく、必要なときに読み返し、必要な情報のみを復習、実践し、基礎を実践で覚えていく類の参考書、教科書に近いです。
しかしながら、本書から得られる情報は非常に重要なものが多く、読みたい時にすぐ読む必要がある場合を考えると、手元に置いておきたい1冊であるとことは間違いありません。

またスタジオや教育機関でも非常に重宝される一冊だと思いますので、興味を持たれた方は、スタジオや教育機関を通して、購入を検討されては如何でしょうか?もちろん、個人で購入、所持できるのが一番だと思いますが。





また、手前味噌ではありますが、来月発売のCG WORLD6月号にてSubstance Painterのレビューを4ページほど書かせて頂きましたので、そちらも合わせてご覧ください。

今回はかなりの長文となってしまいましたが、最後まで読んで頂きありがとうございました。

2014年3月6日木曜日

【CG】ジェネラリストの潮流 前編

この話題を提供するには、まだ少し早いかな?っと思って、ずっと温めていたエントリーなのですが、僕の予想を上回るスピードで変遷が進んできているので、3回ほどに分けて少しジェネラリストについて触れたいと思います。

※海外でジェネラリストというと、日本のように一人で全部やる人というよりは、一人で複数の工程をこなす人という印象が強いです。もちろん、最初から最後までできる人も居ますが、そういう人は日本のように多くはいません。ジェネラリスト=複数工程できる人という認識です

(以下文面にはかなり主観的な意見も反映されておりますので、ご容赦ください。)

ここ1年ほどで、海外スタジオでもジェネラリストの募集、採用が急激に増えてきました。
(特に実写を扱うライブアクション系のスタジオにこの傾向が見られるような気がします。)

これにはいくつか理由があると思うのですが、一つはコストの削減です。
どうしても分業制を用いた作業の場合、それぞれのデパートメントの作業が終わると、次のプロジェクトまで、手空きのアーティストが出てきます。昔はプロジェクトが途切れることがなく仕事を確保し続けられていたので、分業制の方がより効率的にハイクオリティな物が作れていました。

ところが、昨今ではプロジェクトの確保がままならず、1つのプロジェクトを終えて、次のプロジェクトまで数ヶ月空くというケースも珍しくありません。
そうするとスタジオ側は手空きの仕事がないアーティストにもお金を支払う必要が出てきます。
そこでスタジオ側はプロジェクト毎にアーティストを雇ったり、減らしたり、デパートメントごとに管理する必要がありました。

ところが、ジェネラリストを採用することで、モデリング→テクスチャー→ルックデブ→ライティング、レンダリング、コンポなどを一人で全行程(もしくは複数行程)をこなせる人を雇うことで無駄を無くそうと試みているのです。

もう一つの理由がパイプラインの普及、ワークフローの確立による作業フローの簡略化の影響です。
実写映画を取り扱うスタジオでは過去のノウハウ(特にアセットのライブラリ化など)を蓄積することで、最初から全てをモデリングしたり、テクスチャーを描いたりする必要が少なくなりました。


キャラクターを作成する場合も、ヒーローキャラクター以外はライブラリ化されたアセットを組み合わせることで、簡単に何人ものバリエーションを作ることが出来ます。

実写映画の場合、過去のアセットをライブラリから持ってきて、それを手直しする。もしくはモデリングも3Dスキャンされた物をトレースするような作業が増えたため、ハイスキルなコストが高いモデラー、テクスチャーアーティストを雇うよりも、そこそこのクオリティで色々なことができるジェネラリストの方がスタジオ的には都合が良いのです。

新しい新規のハイクオリティなアセットを作る必要があるのは、ヒーローアセットのみになりつつあり、今までのように多くの人員を雇わなくても、少数でこなせることが増えてきたためです。

その他にも理由はいくつかあると思いますが、大きな理由としてはコストを下げるためのジェネラリストの採用が各スタジオで増えています。

※これは既存の物を多く扱う実写映画ならではだと思います。アニメーションの場合は作品によりテイストが異なるので、アセット流用が難しいです。全て最初から作る必要があります。その為、アニメーションスタジオでは、分業制の方が効率が良く、ハイクオリティな物が逆に量産できるのです。その分、アニメーションスタジオでは人員も多く、制作期間も実写映画に比べて長いです。

ただ、現段階ではまだまだ分業制が主流なスタイルです。どこのスタジオも分業制をしいているスタジオが多いでし、スペシャリストの需要もまだまだあります。
またクオリティに関しても、残念ながらスペシャリストが作成したアセットとジェネラリストが作成したアセットでは大きな差があります。

例えば、イラストや実在しないもを2Dから3Dおこす作業などは、モデリングの技量というか、センスに差が大きく出ます。また、複雑なものをモデリングする際、綺麗なトポロジーを作る際にも、作業スピードなどにもジェネラリストとスペシャリストで差が出ます。

しかし、徐々にツールが発達してきて、技術や知識が普及してくれば、この差はあっという間に縮まると思います。
これはスタジオにも言えることです。現に今までトップだったスタジオと新興勢力のスタジオで、クオリティにほとんど差がなくなってきました。
アーティスト的には、今後はVFX先進国の西欧人とVFX後進国のアジア人との差も縮まってくるでしょう。

※ここでいうコストとは制作費、人件費だけではなく、時間短縮という意味合いも含みます。

ってことで、本日はここまで。
次回も引き続きジェネラリストについて触れていきたいと思います。


2014年2月22日土曜日

【書評】 大聖堂を建てよう 制作に役立つゴシック建築の仕組み

今回は前回のモデリング講座はひとまず中断して、一冊の専門書を紹介させて頂きたいと思います。

ボーンデジタルか出版されている「大聖堂を建てよう 制作に役立つゴシック建築の仕組み」です。



お求めはこちら

僕自身は「書評」と言うことをやったことがなかったのですが、今回はボーンデジタルからお話を頂き、ブログという形で、こちらの本をご紹介させて頂きたいと思います。

この書籍では、ゴシック建築における基礎、歴史、構造物の名称や建築様式など細かく解説されています。
フランスの十字架平面図とイギリスの十字架平面図の違い、非十字架平面図など。
横断アーチや四半円アーチ、リブヴォールト、ヴォールトの進化、 尖塔、バラ窓についてなど、ここで紹介することはごく一部ですが、事細かく説明されています。

特に僕が読んでいて参考になったのは、基礎工事や、構造上の仕組み、排水路の仕組みなどについてです。
こういう知識は、建物を壊したモデルや、実際に壊す際の内部構造に説得力を持たせるために必要な知識です。

僕の専門は背景なので、当然ですがこういった専門的な知識は作品やプロジェクトによっては必要になってきます。


また、自分でこういった中世の建築物、お城、教会などをデザインする時にも、この本で紹介されたような知識があって制作されたモデルと、なんとなく表面だけを真似て作ったモデルでは、説得力に差が出ます。

この書籍で書かれていることは非常に専門的に紹介されていますので、CGアーティストにそこまで細かい知識が必要なのか?という部分もあるとは思いますが、背景制作に役立つ書籍であることは間違いありません。

専門書ということで、お値段もそれなりにするとは思いますが、もし、ご興味があるようでしたら、
お手元にとてご購入を検討されてはいかがでしょうか?


本の中身はこんな感じで、図解と解説がセットになっていて非常にわかりやすい書籍になっています。



表紙
天使、精霊、悪魔の彫刻

排水路について

垂直性の演出と支柱の建築

尖塔の構造

今回のエントリーがご購入の際の参考になれば幸いです。
また、今後もブログを通じて、自分が気になって購入した本や制作に役立ちそうな本など、紹介できればと思っています。

2014年2月11日火曜日

【CG】モデリング 穴あけの基本 その2

さて、前回に引き続き今回も局面の穴あけについて説明させて頂きます。
今回の記事は、局面に穴を開けるといよりは、曲面にあいた穴をカッコよく見せる小技みたいな感じで紹介していければと思います。

前回はこんな感じで球に穴を開けました。



いかにも穴あけました!という形状なので、少し大きな面を作ることで立体的な形状を作り、ハイライトが入る面と影ができる部分を作ります。俗に言うベベル、面取りですね。

こんな感じで広い面、狭い面、凹凸をつけて立体的な形状にすることで、一気に見た目の印象が良くなります。



てっぺんの部分も、前回の基本を応用して、こんな感じで穴あけて、ネジ止め。一気にメカの部品ぽくなってきましたね。

こちらのてっぺんのネジ穴も同様に、少し広めの面取りを行うことで、綺麗なハイライトが入って、立体的に見せることができます。
 
※ねじ山のモデリングに関してはこちらの過去記事を参照ください。


こんな感じ。



僕は8角形の穴あけを好んで使いますが、僕の経験上、8角形がポリゴンカウント的にも、形状のたわみを抑えるにも、最良のバランスなのかな?っということで、良く8角形を使います。
たわみが気になる人は、分割を増やして穴を開ければ、さらに精度はあがります。
ただ、ポリゴンカウントも増えてしまうので、バランスが大事です。

おまけ
立体的に見せるというキーワードが今回出てきたので、少しだけ立体的に見せる小技をご紹介します。

よくありがちな鉄板に溶接された、手すりのモデリングです。
鉄板と手すりは別オブジェクトです。これだとCGっぽいので、少しだけ工夫して、溶接してつなげられたような感じにします。

こんな感じ。

鉄板と手すりの接合部分を少し立体的な形状に変えるだけで、綺麗なハイライトが入って、レンダリングした時の見栄えが良くなり、説得力を持たせることができます。

って感じで、今回はここまで。
次回は、もう少し特殊な形状の穴あけについて、紹介予定は未定です(笑

2014年2月4日火曜日

【CG】モデリング 穴あけの基本 その1

今回は以前、ツイッターで話題になった曲面への穴あけを行うための基本のおさらいをしたいと思います。

【目からウロコ】日本人トップクラスのCGモデラーによる、球体への穴あけモデリング方法について話題になっとるでぇー!


※ここでの解説はあくまでもサブディヴィジョンを前提としたモデリング方法です。
まずは局面に穴を開ける前に平面での穴あけについて、少し説明させて頂きます。
ブーリアン演算を用いて、綺麗に穴を開ける場合、下記の画像のように、穴を開けられる側と穴を開ける側の頂点数を揃えることで、ブーリアン後のトポロジーをきれいに保つことができます。

図1





左から6、8、10、12、16の頂点を持つ穴あけと四角の穴あけの基本的なワイヤーフレームになります。
図1では、平面ですが、局面でもこのワイヤーフレームの基本的な流れは変わりません。上図のワイヤーフレーム、ポリゴン分割がすべての基本になります。
曲面に穴を開ける前に、上記のワイヤーフレームの流れをキッチリと覚えておきましょう!


それでは、実際に球に円柱状の穴を開けてみましょう。

赤ラインと青ラインの頂点数が同じになるように、穴を開けるのがポイントです。(左が頂点数8、右が頂点数12です。)



また、凹形状だけでなく、凸形状でも同じことが言えます。



四角だとこういう感じになります。



円柱の凹凸も四角での凹凸でも基本的には同じです。ただ、下記の画像を見てもらえればわかると思いますが、1つの頂点に対して5本以上のエッジがつながっている頂点(赤色の頂点)は、基本的にシワやタワミの原因になります。したがって、下図で示した黄色いラインの長さが極端に長くなりすぎないように、配慮する必要があります。





本日、紹介したことは本当に基本中の基本で、何を今更!?という内容の物ですが、特殊な形状や応用を効かせるためにも、ぜひ押さえておいてください!

次回は”穴あけの基本 その2” を予定しています。
特殊な形状の穴あけや、穴あけをリアルに見せるための、ちょっとした小技を紹介できればと思います。