2013年2月18日月曜日

【CG】将来のCG業界について自分なりに考えてみる

前回のエントリーに続き、自分なりに将来のCG業界について考えをまとめてみました。
※今回のエントリーはあくまでも、僕の主観的な考察、考えを整理したものであり、必ずしも僕の見解が、業界全体の変化を正しく表現されたものではないことをご理解ください。


【税制優遇について】
税制優遇については、正直、今後どうなっていくのか?まったく想像がつきません。今後もしばらくは税制優遇による、プロダクション誘致、撮影誘致など各国のチキンレースが続くのか?それとも縮小、廃止の傾向を強めていくのか?ただ、僕個人的には州や国が赤字を出してまで、誘致する意味はないと思うので、ニュージーランドやロンドンなど、経済的な部分で赤字になっていない国以外は、今後は縮小傾向になっていくんじゃないのかな?っと予想はしていますが、本当にまったく想像がつきません。

【アメリカについて】
前回も言いましたが、僕はアメリカでの就労経験がないので、なんとも言えませんが、一度アウトソースされ、同じようなクオリティが諸外国でも作れることが証明されてしまった現在では、アウトソースの流れは変わらないと予想しています。これは税制優遇の有無に関わらず、今後もアウトソースは続くと思います。”覆水盆に返らず”という言葉があるように、一度流れ出た仕事はおそらく戻ってくるのは難しいでしょう。また、一度下がったコスト(厳密には映画のバジェット自体はそれほど変わっていない)を、元の価格に戻すのは非常に困難だと言わざるをえません。
ただ、アメリカでは一部アーティストやプロデューサーなどが中心になり、海外で制作されたショット、映画に関してはインポートタックス(輸入税)を課そうという動きを国に働きかけていると聞いています。これは友人から聞いた話なので、実際にこういった動きが本当にあるのか?どうか?信憑性は定かではありませんが、もし海外で制作された物に対して、輸入税を課せられるのであれば、税制優遇で制作費を安く抑えられたとしても、輸入税を課せられることで相殺となれば、仕事の一部はアメリカに戻ってくる可能性もあると思いますが、それも仮定の話なのでなんとも言いがたいのが現状です。


【諸外国プロダクションの動向】
税制優遇の有無に関わらず、今後もアウトソースは続くと思うので、諸外国のプロダクションはいかに限られた牌(アウトソースされる映画、ショットなど)を受注できるか!?ということが集点になってくると思います。
現在は、税制優遇を背景に、優遇税率の高い国、州、都市に集まる傾向がありますが、税制優遇次第なので、今後、どうなっていくかは解りません。税制優遇をやめれば、一気に仕事を失い、閉鎖されるプロダクションも増えてくるでしょう。今後、諸外国のプロダクションの競争は一層激化すると予想されます。その分、海外就労を目指す方のチャンスは増えるかもしれません。


【日本のプロダクション事情】
日本のプロダクション事情に関しては、外資を取り入れている、海外コンテンツを主に制作しているプロダクションは少なく、海外のVFX事情に比べて、仕事の量や会社の数というのは安定しているように思います。ただ、今後も同じように仕事が安定してあるのか?というと、僕はそうは思っていません。
そういう意味では、日本のプロダクション事情は転換期に来ているのだと思います。海外市場を見据えて、海外資本、コンテンツ、技術、知識、フローなどを積極的に取り入れていく、海外市場型のプロダクション。
もうひとつは、国内市場を押さえつつ、国内のコンテンツを海外市場で売ることで、外資をっと考えている日本発海外市場型のプロダクション。
最後は、国内市場に集点を当てた、国内市場型のプロダクション。

(アニメ系プロダクションに関しては専門知識も就労経験も無いので割愛させて頂きます。)

どれも一長一短で、どの選択肢が正しいのか?という判断は出来ませんが、上記のようなプロダクションが今後は増えていくのでは?っと僕自身は考えています。

【海外在留アーティストについて】
僕も含めて、海外在留アーティストの方々の多くは、最終的には帰国して日本で働きたい!っと考えている人が多いと聞きます。特に家族を持っておられる方は、そういった意識が年々強くなってきているのではないでしょうか?
今までは一つの国で、腰を落ち着かせて仕事を出来ていた人たちも、今後は家族を連れて、異国を転々とする生活を強いられることになると思います。現に去年、今年に入って続々と友人が日本への本帰国を決意し、日本のプロダクションで働きまじめました。今後もこういった流れは続く反面、国外へ飛び出すアーティストも増えてきています。帰国する人、海外へ出る人、アーティストが流動するのは、日本の業界にとって非常にプラスになると私自身は考えています。

また、日本への本帰国を本格的に考えている、海外在留アーティストの方(本気で考えている人たち)は、出来る限り早い段階での本帰国が良いのでは?っと僕自身の主観ですが、そう感じます。
今のタイミングであれば、海外からの技術や知識を持ち帰ることが出来る人は重宝されますし、海外市場型のプロダクションでは非常に重宝されるでしょうし、自分自身の経験や知識も活かせると思います。数年後に本帰国を決めて、帰国された方よりは日本への職場の慣れや、ポジションなどを考えれば、早い段階で本帰国を決意されるのも間違った判断ではないと思います。


僕自身はまだまだ本帰国の意思はないのですが、早い段階で本帰国することが、その人にとって良いのか?悪いのかは?各個人の環境やケースによりけりだとは思います。この辺の判断も非常に難しいところだとは思いますが。。。。


ただ、海外でしか就労経験がない海外在留アーティストの方が日本のプロダクションにフィットするまでには、時間と慣れ、忍耐が必要になると思います。組織かされた国内プロダクションでも、海外の組織化されたプロダクションとは大きく異なります。自分の話している事が理解されず、話が成り立たない場合もあります。また、日本のプロダクションでも海外在留アーティストを雇う場合は、外国人を雇うのと同じような感覚で雇う気構えが必要かもしれません。


次回エントリーでは、 僕が現在も帰国をせず、なぜ海外就労に拘るのか?なぜ海外就労を続けたいのか?その理由と現在の心境をまとめられればっと思います。

2013年2月13日水曜日

【CG】現在のCG業界について自分なりに考えてみる

本来なインタビュー総括を予定していましたが、今回はR&Hの倒産、ドリームワークス
のレイオフなど、近年、業界全体の急激な変化が起こっています。今回のエントリーでは業界全体の動向について、自分なりの考えを整理したいと思います。

※今回のエントリーはあくまでも、僕の主観的な考察、考えを整理したものであり、必ずしも僕の見解が、業界全体の変化を正しく表現されたものではないことをご理解ください。

【R&H社倒産について】
まずR&H社の倒産について。これは先日CH11を申請したDigital Domain(以下DD)やDisnyに売却されたLucasFilmGroupとは状況が異なります。
DDの倒産は本来の業務とは別の部分が原因での倒産のため、運営、経営する部分に責任が起因しての倒産ということが推測できます。またLucasFilmに関しても、業績悪化による売却、買収という訳ではないので、R&H社の塲合とは大きく異なります。

それでは今回のR&H社の倒産は何を意味するのか?R&H社は純粋にVFXの受注を行なうことで経営を行なってきた会社の一つです。添符したDEMOREELを見て頂いてもわかると思いますが、R&H社のVFXのレベルは世界でもTOPクラスのスタジオです。経営に関しても、毎年コンスタントに映画の受注に成功していました。そんなR&H社の倒産が何を意味するのか?

 Rhythm and Hues Studios - Demo Reel 2012

これはあくまでも、僕個人の見解ですが、FVXの純粋な受注(税制優遇によるタックスオフセットが無い場合、他からの制作費、資本援助がない場合)だけでは、スタジオが経営を維持出来ない事を意味していると思います。
現在、多くのプロダクションでは税制優遇による資本援助(一部制作費を国が負担する形で)を受けてプロダクション経営、仕事の受注が成り立っています。
僕が現在勤務しているDoubleNegativeも例外ではありません。イギリス政府からの税制優遇を背景に、イギリス係プロダクションは仕事の受注に成功しています。
もちろん制作を依頼する製作会社、配給元も税制優遇をすでに予算に組み込んでいます。


【税制優遇について】
税制優遇は代表的な国で言えば、ニュージーランド、オーストラリ、イギリス、バンクーバー、シンガポールなど、タックスオフセットの%は違えど、多くの国で実施されています。ある国でも制作費の3割から4割を負担する国もあります。しかし、この税制優遇は未来永劫続かないと僕は考えています。

現在、税制優遇を背景に制作コストをどこまで下げられるか?という各国プロダクションのチキンレースが続いています。制作費を下げないと、仕事の受注すら困難な状態です。したがって、R&Hの様に堅実な経営をしていても、制作費を下げざるを得ないというのが現状でしょう。言うなれば、仕事をすればするほど赤字が出るよいう訳です。しかし、仕事を受注しないと収入を得られない→制作費を下げて仕事を受注→結果、採算が取れずに経営悪化という悪循環が続いているのだと推測できます。

現にカナダのBC州では税制優遇を行うことで、去年は大きな赤字を計上してしまいました。そのため、BC州では映画産業への税制優遇を縮小、廃止するか?という議論が上がってきています。それに対してSaveBCと言うように、税制優遇を継続して欲しいというアーティストの署名活動も行われています。即廃止という訳ではないでしょうが、本来、税制優遇の目的は映画を誘致することで、州や自国に雇用や外資を産み、産業を発展させるのが目的の一つです。しかし、産業が発展しても、州や国の財政を赤字にしてしまい、財政っを今後も圧迫し続けるのであれば、長くは続けることはできないでしょう。そういう意味で、税制優遇は未来永劫続かないでしょう。


【アメリカについて】
アメリカ本土については、僕自身、就労したことがないので、詳しい状況、詳細は情報集した結果から、推測するしかありませんが、僕が考えていた以上に深刻な状態にあるように思います。元々、数年前からアウトソースが主流となり、大小含めて多くのスタジオが閉鎖を余儀なくされました。

今回のDWのレイオフ、R&H社の倒産に伴い、少なからず僕の友人の幾人か(日本人、外国人含め)が職を突然失いました。アメリカで長年働いていた幾人かの友人は、アメリカを離れ他国へ行くことを決断しました。

今後のアメリカについては予想するのが非常に難しいですが、税制優遇の有無に関わらず、海外の諸外国でも同じクオリティの物が作れると解った以上、アウトソースの流れは変わらないと予想されます。

R&Hの倒産以前の中小プロダクションの閉鎖に見られるように、アメリカ本土でのVFX産業はすでにビジネスとして破綻していると推測されます。非常に悲しくも厳しいですが、現実として受け止めざるをえません。


【諸外国プロダクションの動向】
先ほど紹介した国々とは別にドイツやフランス、ブルガリア、ハンガリーなどでもVFX、CM、ゲームシネマティクスなどが制作されています。現在では税制優遇の恩恵でイギリス、バンクーバーに仕事が集まっている感じはありますが、オーストラリア、ニュージーランド、シンガポール、インドなど、アジア、オセアニアでもハリウッド映画は制作されています。しかし各国のプロダクションも仕事を獲得するのは非常に困難だと聞いています。今後はインドや中国、タイ、フィリピン、マレーシア、台湾、香港などでも、今まで以上にハリウッド映画が制作され、価格競争がより熾烈を極める可能もあります。(すでに制作されている。。。)

今やハリウッド映画は世界中で制作されています。アウトソースの理由の多くがコスト削減、税制優遇を背景にした撮影、プロダクション誘致の結果だとおもいますが、その税制優遇が今後も未来永劫続くとは限りません。税制優遇というシステムにも徐々に綻びが見え始めてきました。

税制優遇が無くなれば、多くのプロダクションは仕事を失うでしょう。私が勤務しているDnegも例外ではないと思います。しかし、今後も税制優遇を宛にしたチキンレースを続ければ、遅かれ早かれプロダクション経営は破綻すると予想されます。


【日本のプロダクション事情】
僕自身、日本を離れてすでに4年が経過しているので、どこまで正確に日本のプロダクション事情について把握できているか解りませんが、自分なりに整理してみたいと思います。

日本ではGAMEシネマティクスチームを自社に持つスクエニ以外では、ゲームメーカーでの映像制作は非常に困難な状況にあり、多くが国内外のプロダクションにアウトソースされているのが現状だと思います。
映像関係に関しては、PPI、DF、OLM、SOLA DIGITALなどが海外市場をターゲットに入れたコンテンツ制作、受注制作を行っているように思います。
また白組のように国内のみをターゲットとしたコンテンツの制作を行っているプロダクションも存在します。

業界全体の流れとしては、海外市場をターゲットとしたプロダクションでは、積極的に海外のフロー、パイプライン、情報、知識、技術を取り入れようと、外国人の採用も積極的(?)に行なっているように思えます。
おそらく海外からの帰国して、日本で働こうと考えている海外在留アーティストの方はこういったプロダクションが勤めやすく、海外での経験を還元しやすいのでは!?と考えてはいますが。。。。。
しかしながら、日本のCGプロダクションの多くは遊戯関係のCGを制作することで経営が成り立っているプロダクションも多く、海外就労経験しかない日本人アーティストが、そういった仕事やオーガナイズされていないプロダクションフローに馴染めるか?という問題点も多々あると思います。

かなり長くなってしまいましたが、本日は以上です。自分なりに現在のCG業界について整理してみました。

次回エントリーでは、 将来(今後)のCG業界について、自分なりの考えをまとめていければっと思っています。

2013年2月8日金曜日

外国人が日本で働くためには! 第六回

以前から企画していた新コーナー第6回目です。

前回記事はこちら
外国人が日本で働くためには! 第一回
外国人が日本で働くためには! 第二回  
外国人が日本で働くためには! 第三回  
外国人が日本で働くためには! 第四回 
外国人が日本で働くためには! 第五回 



日本人が海外で働くためのブログ、エントリーを基本に書いてきましたが、今回はその”逆”で、外国人が日本で働くためには?とう切り口で、日本で働いた経験がある現役の外国人アーティストにインタビューを試みています。
外国人が日本で働くためには何が必要か?日本企業は何を変えるべきか?など大胆にインタビューを行いました。


シリーズ6回目の今日はジェネラリストにスポットを当ててのインタビューです。

※ 今回のインタビューは個人への配慮を考え、個人名を公開していません。ご了承ください。


-Please introduce yourself and give us a brief summary of your work experience.
自己紹介と簡単な職歴の紹介をお願いします。

I'm XXXXXX 29 years old.
I graduated from Supinfocom Arles (France) in 2006 and I built 5 years
experience of Computer graphics production in Japan.
In january 2007 I worked 1 year as a cg Generalist in a start up new studio with my friend.
After spending a year and half with Polygon pictures as a Layout artist, my
skills for story telling has been polished.
In mid 2009 I decided to become a freelance artist in which I had a chance
to direct and to manage production as a CG Generalist.
My last experience in Japan was between November 2010 and August 2011 when I
was working as a Lighting TD in Square Enix.

XXXXXXと言います。29歳です。フランスのSupinfocom
Arlesを2006年に卒業して、日本のコンピュータグラフィックスのプロダクションで5年間働きました。

2007年に、1年間CGゼネラリストとして友人と共に新しいスタジオの立ち上げたのために働きました。
ポリゴンピクチャーズでレイアウトアーティストとして1年半働き、ストーリーテリングのスキルを磨くことができました。
2009年の半ばには、フリーランスのアーティストになることを決心しました。CGゼネラリストとして監督やプロダクションの管理をするチャンスを得ることができました。
日本で最後に働いたのは、2010年の11月から2011年の8月までで、スクエアエニックスでライティングTDをしていました。


-What was your job title and your responsibilities? How long did you work in Japan?
あなたの職種と役割を教えてください。また、あなたは日本でどれぐらい働きましたか?

I worked in Japan for almost 5 years.
日本ではほぼ5年間働きました


-In general, how did you feel about working in Japan?(or more specifically, pros and cons?)
あなたは日本で働いてみて、どう感じましたか?具体的に長所や短所などあれば教えて下さい。

After I started freelancing in 2009 and that I could have the trust of some
of the clients I felt very comfortable and happy working in Japan.
during the time I was a freelance artist and while I was in Square enix I
could let my creativity express. I felt my potential used properly and I
could learn a lot at the same time.
So I ended my experience in Japan on my best feet. I'm very happy.

HOWEVER The two first year was a big shock for me.
I was fresh from school but I realized that even big companies would have
huge trouble of management. (for example to start modeling without having a
storyboard / to never set their mind and start doing something that we will
have to be redo from A to Z later).
All of those wrong process which will bring extreme deadline and crazy
overtime.
To be honnest at that time I couldn't believe my eyes such decisions were
done.
My friend and I were advising and pushing at every meeting the right
step for a CG production but we could never really transmit our knowledge.
We felt down because of that.
The project was a big lose of money, a big potential thrown by the window
and we didn't know what to say to improve the situation. They would not
listen.
I believe the ego of the company was the main issue.

To sum up, I think that if you are on your own as a freelance artist, or if
you are inside a company which as a solid pipeline. Working in Japan as a
foreigner is very enjoyable.
Only some few hierarchy problems will occur but it didn't bother me much.

2009年にフリーランスを始めてからは、複数のクライアントの信頼を得ることができて、日本で働くのは心地よく幸せな経験でした。フリーランスのアーティストだった頃と、スクエアエニックスで働いていた時は、自分の創造性を発揮することができました。自分の潜在的な能力を使うことができたと思いましたし、同時に多くのことを学びました。日本での経験を最高の状態で終えることができて、非常に満足しています。

でも、最初の2年間は大きなショックを受けました。
私は学校を卒業したばかりでしたが、大きな会社でも管理の点で大きな問題があることが分ったのです。(例えば、ストーリーボードを始めることなくモデリングを始めたりとか、最初に何をするか決めずに何かを始めようとすれば、終いには何から何までやり直すことになってしまうでしょう。)

そういった間違ったプロセスによって締め切りはきついものとなり、時間外労働が果てしなく続きます。正直に言って、当時はどうしてそんな決定がまかり通ってしまうのか自分の目を疑いました。わたしの友人と私は、ミーティングのたびにCG制作を正しい方向に進めようと、盛んに(自分たちの考えを)広めて押し進めようとしました。でも決して自分たちの知識を伝達することができず、そのせいで落ち込みました。

プロジェクトはお金を無駄遣いして、大きな可能性は投げ捨てられ、私たちはこの状況を打開するためにはどうすれば良いのか分りませんでした。彼らはまったく耳を貸さなかったし、会社のエゴこそが主たる問題だと思いました。

まとめると、もしあなたが自分で働くフリーランスのアーティストか、あるいは確実なパイプラインのある会社に勤めているのであれば、日本で外国人として働くのは楽しいです。多少、組織の階層構造の問題はありますが、それほど私には問題になりませんでした。



-What do you think are the differences between the working styles of Japanese companies and western-based companies?
あなたは日本の企業と欧米の企業のワークスタイルの違いについてどう思いますか?

 I don't know if I'm the best person to answer that questions since I worked
only few months in professional environment in France.
I'm not sure that what I'm gonna say apply as a generality in all company
across the globe. I just write down how I felt with my experience.

It seems that overseas, great ideas are never far away. Everyone as a chance
to grow.
Of course the hierarchy is important to direct a project but the best idea
wins, no matter who came up with it.
It creates an environment where everybody is happy to contribute with
something. You feel part of the project and you are more willing to give
your heart, it keeps you more excited.
It makes me remember when I was a student and that everybody was helping
each other to achieve their goals.
In Japanese company you feel more isolated, a little bit cut from the
overall, you feel like an antz doing is job. This make your day a little bit
long.

There are also some differences like make your work condition more
comfortable to produce better result.
Some Japanese company doesn't care much about your health, your work space
or the overtime you do for free. They expect you to give your life to them.
The longer you stay at work the better they look at you, I don't share this
point of view and I prefer to be in best health to use my full potential.

その質問に対して自分の答えが適切なものになるかどうかは分りま
せん。なぜならフランスではプロとしてほんの数ヶ月しか働いてないからです。世界中の会社で共通して言えるようなことは、自分の口からは言えないと思います。ですから、とりあえず自分の感じたことを述べておきます。

海外では、一番優秀なアイデアがものを言います。全員に成長するチャンスがあります。確かにプロジェクトを率いていく上で階層的な考え方は重要ですが、最高のアイデアが勝利します。それを誰が考えだしたかに関わらずです。みんなが何かに貢献することが楽しくなるような環境を作り出しています。プロジェクトの一員として、あなたが心から(プロジェクトに)打ち込みたくなるような、あなたがいつでも熱心に参加できるような環境です。みんながお互いを助けゴールを目指すことができた、自分の学生時代を思い起こします。日本の会社では、働いている人たちの間にもっと距離があって、全体的に何か足りない部分があって、まるで働きアリのような気分になります。このせいで1日が長く感じます。

その他、労働環境を良くすることでより効率良く結果を得られるようにする、などの違いもあります。日本では会社によっては、(社員の)健康についてあまり気にかけることがないようです。まるで人生のすべてを(会社に)捧げることを期待しているかのようです。より長い時間職場に居る人をより優遇しているように見えます。私はこの点は賛成でなく、自分の能力を最大限に活用するためには最高の健康状態でいることを望みます


-What elements do you think Japanese companies should change to improve the working experience of foreign artists?
外国人アーティストが日本で働くためには、日本企業は何を変える必要があると思いますか? 

I would say to be more open to the way foreigner do things, to let some
space for our ideas. To trust foreigner.
To improve work condition (depending the company, I was quiet happy with
Square enix)
Eventually to implement an accessible langage for us. For example English.
I probably have more things to say but it doesn't pop up in my mind right
now.

海外で行われているやり方についてもっとオープンであるべきでは
ないでしょうか。私たちのアイデアを取り入れる余地をつくる必要があるのではないでしょうか。もっと外国人を信頼してください。労働環境を改善して(これは会社によって異なります。私はスクエアエニックスでは満足していましので)、最終的には外国人と親しく会話できるように、例えば英語を実践的に使えるようにすることが必要でしょう。他にもまだあると思いますが、今思いつくままを書いてみました。


-What elements do you think are necessary in an artist if he/she wants to work in Japan?
外国人アーティストが日本で働くためには、何が必要だと思いますか? 

Love for Japan, understanding the culture, patience, and to know Japanese
language.


日本に対する愛情ですね。文化を理解して、根気強く、
そして日本語を知ることです。


-Including myself, many Japanese artists have been leaving the country to work overseas. How do you feel about this?
私自身も含めて、多くの日本人アーティストが海外で働くために、日本を離れています。それについてどう感じますか?
Personally for me it was a hard decision to leave Japan. I miss Japan and my
friends there a lot. I spent a very positive experience in Japan and I'm
cherishing this.

We always says: "the grass is greener on the other side of the fence". But
in leaving Japan I didn't expect to find something better but something
different.
We all know nowhere is really perfect, the only good choice is to follow
what your heart guide you.
I follow my heart and I decided to leave Japan to be with my family and more
recently to build a more stable situation with my wife who is Malaysian.
個人的には日本を離れるのはつらい決断でした。
日本とそこに住んでいる友達を懐かしく思います。日本で非常にポジティブな経験をすることができましたし、私にとっては大事な思い出です。

「他人の芝生は青い」とはよく言われることです。でも、より良い何かを、あるいは何か別のものを探そうと思って日本を離れたわけではありませんでした。どこかに完璧な場所などなく、正しい道というのは、自分が選んだ道でしかないのだということを。皆さんもご存知でしょう。

自分の家族といっしょにいるために、特に最近はマレーシア人の妻との関係をより強固にするために日本を離れることに決めたのです。それが私の選んだ道でした。


-Please give a message to those who are willing to work in Japan or those Japanese artists who want to work outside of Japan.
日本で働きたい外国人、もしくは海外で働きたい日本人に対して、メッセージをお願いします。

The hardest is to make the decision to make the positive change in your
life.
Once the decision is made and you are happy with it, you'll be happy, you'll
make your friends and family happy and every obstacles on your way will
appear to be easy to go over... like a game.

To start a new life in an "unknown" country is extremely rich and will bring
you better understanding, not only about your career but also on yourself.
This experience helps to build up self confidence as well, However in order
to get the best of the experience of it, we have to open our mind and our
heart to differences.
I wish those peoples who are willing to leave their country to find a career
overseas all my best and not too worry because nothing can go wrong.

人生にポジティブな変化をもたらすために決断するのは最も難しい
ことです。決断できたら、あなたはそれでハッピーな気持ちになり、幸せに暮らすことができて、あなたの友達も家族もハッピーになります。どんな障害も乗り越えるのは簡単に思えるでしょう。まるでゲームのようです。

「まったく未知の」外国で新しい生活を始めることは非常に実りのある経験であり、あなたのキャリアだけでなくあなた自身を理解するのにも役立つことでしょう。自分に自信を持つきっかけにもなりますが、その一方で(国外で働く)経験を最大限に活用するためには、広い心でオープンな気持ちになり(あなたの国との)違いを受け入れる必要があります。
これから国外で働こうという人たちに、幸運を祈っています。あまり心配する必要はありません。決して間違った結果にはならないのですから。

以上がインタビューになります。
とりあえず、今回のインタビューで一区切りです(全六回)。今後もこういったインタビューを継続的に行っていければ良いっかな?っとは思っていますので、企画としては今後も続けていきます。

次回はインタビュー企画総括です。今までのインタビューを元に、自分なりの考えをまとめられればっと思います。

今回もDr.D時代の同僚で、現在はアメリカのREEL FXでTD職にあるナカムラタツヤ氏に翻訳をお手伝いして頂きました。



2013年2月7日木曜日

外国人が日本で働くためには! 第五回

以前から企画していた新コーナー第5回目です。

前回記事はこちら
外国人が日本で働くためには! 第一回
外国人が日本で働くためには! 第二回  
外国人が日本で働くためには! 第三回  
外国人が日本で働くためには! 第四回 



日本人が海外で働くためのブログ、エントリーを基本に書いてきましたが、今回はその”逆”で、外国人が日本で働くためには?とう切り口で、日本で働いた経験がある現役の外国人アーティストにインタビューを試みています。
外国人が日本で働くためには何が必要か?日本企業は何を変えるべきか?など大胆にインタビューを行いました。


シリーズ5回目の今日はプリビズアーティストにスポットを当ててのインタビューです。

※ 今回のインタビューは個人への配慮を考え、個人名を公開していません。ご了承ください。


-Please introduce yourself and give us a brief summary of your work experience.
自己紹介と簡単な職歴の紹介をお願いします。

I'm XXXXXXXX, I'm from Barcelona, Spain, where I start working as
animator and layout/previs artist, until I applied to work as layout artist
for Polygon Pictures in Tokyo in 2008.
After that I was working as layout artist and animator in Barcelona,
Stockholm, London, and I went to Tokyo as previs artist a second time in
2011.
I'm actually working in London, as layout artist at MPC films
(http://www.moving-picture.com/).


XXXXXXXXと言います。スペインのバルセロナ出身です。
まずアニメーターそしてレイアウトおよびプリビジュアライゼーションのアーティストとしてバルセロナで働きました。2008年に東京のポリゴンピクチャーズにレイアウトアーティストとして応募しました。それ以降、レイアウトアーティストおよびアニメーターとして、バルセロナ、ストックホルム、ロンドンで働き、そして再び東京へプリビジュアライゼーションのアーティストとして2011年に来日しました。現在はロンドンのMPC
films (http://www.moving-picture.com/)にて、レイアウトのアーティストとして働いています。


-What was your job title and your responsibilities? How long did you work in Japan?
あなたの職種と役割を教えてください。また、あなたは日本でどれぐらい働きましたか?

I've been twice in Japan, the first time I was layout artist for Polygon
Pictures for the TV show: My friend Winnie and Pooh for one year.
The second time I was previs/layout artist for the TV show Transformers
Prime for six months.

日本には2回行きました。
最初はポリゴンピクチャーズにて1年間、テレビの「My friend Winnie and Pooh for one year」のレイアウトを行いました。2回目は6ヶ月間、テレビ「Transformers
Prime」の、プリビジュアライゼーションおよびレイアウトをしました。


-In general, how did you feel about working in Japan?(or more specifically, pros and cons?)
あなたは日本で働いてみて、どう感じましたか?具体的に長所や短所などあれば教えて下さい。

It's difficult to me write a list of pros and cons because most of the
things I would write would be in both list at the same time.
For example the best of working in Japan was the opportunity to live and
work in a completely different environment. That was really inspiring, and
help me to ground up as a professional and person as well. And was one of
the hardest things I ever did!
I love the challenges, and learn new things, so I was very happy to have the
chance to do it in a country with a long tradition in animation.
But the challenges are hard, and the way to do the things is different every
place you go.

良いところと悪いところを区別してリストをつくるのは難しいです。なぜならほとんどの事柄がその両方に当てはまるからです。例えば、日本で働いて最も良かったことはまったく異なる環境に住んで働く機会が得られたことです。非常にインスピレーションを得ることのできる経験でした。プロとしても一個人としても自分を確立することができました。でもそれはおそらくこれまででもっとも困難な経験でもあったのです!
挑戦することも新しいことを習うことも大好きです。ですから、それをアニメーションの長い伝統のある国ですることができたことは、とても嬉しかったです。でも困難な挑戦でしたし、どこへ行ってもまったく違ったやり方を知ることばかりでした。



-What do you think are the differences between the working styles of Japanese companies and western-based companies?
あなたは日本の企業と欧米の企業のワークスタイルの違いについてどう思いますか?

The hardest thing was the way the Japanese see the work, and what it
represents in their life, this is the biggest difference.
As an European, I'm used to optimize my work time to be more productive, to
try to work more effectively in less time. As well the deadlines are more
"generous" than the Japanese ones.
In Japan I've seen that for lot of people the important is to be at the
office, even if they have finish their work. It's a cultural thing that for
the foreigners is hard to understand.

最も困難だったのは、日本人にとって仕事とはどのようなもので、仕事が人生で何を意味しているのか、それが最も大きな違いでした。ユーロッパ出身の人間として私は、より少ない時間で自分の生産性を上げるために、時間をうまく使ってより効率的に働こうとします。締め切りも、日本に比べてずっと「緩い」ものです。
日本では、多くの人にとってオフィスにいること自体が重要であるという状況を見て来ました。例え仕事が速く終わったとしても、です。こういった文化的な違いは、外国人にとっては理解に苦しむものです。


-What elements do you think Japanese companies should change to improve the working experience of foreign artists?
外国人アーティストが日本で働くためには、日本企業は何を変える必要があると思いますか? 

 The communication, I think that for Japanese the feedback is something that
 must be said one by one, and people doesn't talk about other people work.
 In Europe we use to be all team in a room reviewing and giving feedback of
 the work of everyone. This improves the relation between the team mates, and
 is very useful to know the feedback of everyone, because it can be useful
 for your shots as well.


コミュニケーション。
日本人にとってフィードバックとは1対1で伝えるべきものであり、みんな他の仕事について話すことがありません。ヨーロッパでは、仕事のチェックはチームの全員が一つの部屋に集まって行い、みんなの仕事についてフィードバックをします。これがチームメイト同士の関係を良好なものにしています。みんなのフィードバックを知るのはとても有益です。あなたのショットにも役立つことがあるからです。


-What elements do you think are necessary in an artist if he/she wants to work in Japan?
外国人アーティストが日本で働くためには、何が必要だと思いますか? 

An open mind, patience, and respect. It's important to observe people
behaviour to avoid misunderstandings.
心をオープンにして、忍耐強く、そして相手を尊重することです。
誤解を避けるためにもまわりがどのように働いているかを観察することが重要です。


-Including myself, many Japanese artists have been leaving the country to work overseas. How do you feel about this?
私自身も含めて、多くの日本人アーティストが海外で働くために、日本を離れています。それについてどう感じますか?

I think that work in a multicultural environment is always inspiring. You
have people with different points of view, and in a creative work this is
always good.

複数の文化的に異なる環境で働くことで常にインスピレーションが
得られると思います。あなたの周りには異なる視点の人たちがいますし、それは創造的な仕事をする上で常に役立ちます。

-Please give a message to those who are willing to work in Japan or those Japanese artists who want to work outside of Japan.
日本で働きたい外国人、もしくは海外で働きたい日本人に対して、メッセージをお願いします。

   If you have an open mind, and you like to travel, don't be afraid, just do
it!
Be easy going, respect the way people work wherever you go, and try to be
yourself all the time.
To have respect doesn't mean to bow whatever people say to you. Means to
make an effort to understand why they are saying it to you.


広い心の持ち主で旅行が好きであれば、
恐れることなく行ってみてください。気楽に、どこへ行ってもそこで働いている人たちをリスペクトして、常に自分自身でいるようにしてください。
リスペクトするとは、何かを言われるたびに相手に頭を下げることではなく、なぜ彼らがあなたにそれを言うのかを理解しようと努力することです。



以上がインタビューになります。今回のインタビューからDr.D時代の同僚で、現在はアメリカのREEL FXでTD職にあるナカムラタツヤ氏に翻訳をお手伝いして頂きました。