2011年8月19日金曜日

【CG】 職種色々 その3

SIGGRAPHも終わり、ジョブフェアに参加された方、シーグラフに毎年行かれてる方など、様々な方がいらっしゃると思いますが、今年のシーグラフはどうだったのでしょう???

僕の方は相変わらず忙しい日々を送っています。そんな中、久しぶりのブログ更新です。
今回はLayoutArtist/PrevisArtist とAnimatorについて紹介させて頂こうと思います。

正直、日本でLayoutArtist/PrevisArtistとして専門でやっておられる方は非常に少ないと思います。そして、レイアウトという作業を分業している会社自体も日本では少ないのではないでしょうか???


【Layout/Previs Department】
主な作業としては簡易的なモデルを利用して、カメラワークやキャラクターの簡易アニメーションをつけて、カットの構図を作っていく仕事です。カットの中に爆発や壊れる建物などがあれば、それらのタイミングもすべて、このレイアウト作業の段階で大まかに決めてしまいます。また、コンセプトアートなどを元にキーライトの方向性なども、この段階で決めてしまうことも少なくありません。
ただ、最終的には変更されるケースも多々ありますが、多くのカットが、このレイアウト(プリビズ)と呼ばれる映像を元に作成されます。いわばCG版絵コンテみたいな物を作る仕事ですね。

日本の場合は、仮にLayoutという部署が存在していても、多くの場合は、キャラクターアニメーターが兼任しているケースが多々あると聞いています。実際に海外のアーティストでも、LayoutArtistとAnimatorを肩書きに持つ人は存在していますが、分業しているプロダクションの中で掛け持ちして作業していると言うケースを僕は知りません。

これは以前、勤めていたアニマルロジックのアニメーションスーパーヴァイザーから聞いた話なのですが「日本ではアニメーターはレイアウトの仕事もするんだよ」っという話をした時に、彼が驚きながら言った言葉がすごく印象的でした。

「それは俳優がカメラマンの仕事をするようなもんだよ」

用は実際の映画を撮影するときにレイアウトアーティストはカメラマン。アニメーターは俳優さんという例えですね。
レイアウトはカットの構図を作ったりするカメラマン。アニメーターはキャラクターに命を吹き込む俳優さん。求められる内容がまったく違うのに、日本では同じ人が担当するということに驚いていました。

これはFeatureAnimationを作る場合でも、海外の場合は映画制作が主体になってるのだな~~っと実感した瞬間でした。

これは僕の予測なのですが、日本の場合は制作スタイルのベースがおそらくアニメ制作になっているのでは?っと思いました。
だから原画担当、動画担当のようにLayoutとAnimatorが兼任されてたりするのかな?っと。仕事の内容としてもキーフレームを打つのが主な役割なので、兼任するケースが多いのかな?っと個人的に思いました。

でも、実際にLayoutArtistとAnimatorに求めらる役割というのはカメラマンと俳優という職業ぐらいの違いがあるという例えです。

Layout/Previs関係職種色々
-Layout Supervisor
-Previs Supervisor

-Lead LayoutArtist
-Layout Artist

-Lead PrevisArtist
-PrevisArtist

-Layout TD
-Previs TD

プロダクションによって呼び方がLayoutArtistだったりPrevisArtistだったり呼び名が違うケースがありますが、基本的には同じ職種だと思ってもらって問題ないと思います。最近ではステレオ(立体視)のための左右のカメラの差異を設定したりするのもレイアウトの主な作業になりつつあります。
予断ではありますが、AnimalLogic時は被写界深度に関しても、ある程度レイアウトの方でほぼ決まっていました。これはカメラのレンズの情報を元に、実際のカメラのレンズに置き換えるツールで、自動的にレイアウトの段階で被写界深度を表現していたのですが、モデラー、テクスチャーアーティストとしては非常にカットの構図がわかり易かったです。自分が担当するモデル、テクスチャーがどれ位ボケるのか?レイアウトを見た段階から判断できたのは、非常にありがたかった記憶があります。


【Animation Department】
アニメーターと呼ばれる職種ですが、こちらではVFXアニメーターと区別するために、キャラクターアニメーターと呼ばれることが多いです。仕事の内容は、その名の通り、キャラクターにアニメーションを付けるのが主な職業ですね。
こちらのアニメーターは日本のアニメーターと違い、モーションキャプチャーの使用を嫌がる人が非常に多いです。モーションキャプチャーを使用した場合、多くの作業をデータの修正、編集に費やし、自分でアニメーションをつけれない!っと言うのが主な理由のようです。
また、モーションキャプチャーを使用したアニメーションに比べて、手付けすることに何かしら意義を見出しているという価値観が、アニメーターと話をしていて節々に伺えます。
これは日本と大きな違いではないかな?っと思います。

また、大きな違いとしては、こちらのアニメーターはブロッキングアニメーションという方法でアニメーションを作る人が非常に多いです。僕はアニメーションが専門ではないのですが、日本のアニメーターは、最初から順番にアニメーションを付けていくらしいのですが、このブロッキングアニメーションは、最初と最後のキーフレームを打って、次に中間。さらに中間のアニメーションというように、間を補完しながらアニメーションを作っていく方法です。この方法だと、アニメーションが全部完成していなくても、間を補完しながらアニメショーンを付けているので、通してみたときに、アニメーションの大まかな流れが確認できるというのが、非常に便利だと僕は感じました。

Animation関係職種色々
-Animation Supervisor

-Lead Character Animator
-Character Animator

-Animation TD

などの職種があります。

次回はLightingとCompssiterについて紹介したいと思います。

※今回は僕の専門外の部分の紹介ですので、何かしら間違いなどあるかもしれません。もし何か間違い、問題などあればご指摘頂ければと思います。

3 件のコメント:

  1. アニメーターでモーキャップを好む人は日本でも少ないのではないでしょうか。わたしの経験でモーキャップが好き!とかいうアニメーターは日本でもフランスでも会ったことがありません。笑

    好きでないにしても効率とかリファレンスとしてモーキャップを積極的に受け入れるアニメーターはいます。

    また、手付けアニメーターとモーキャップアニメーターと分けて呼ばれることもありますね。後者は主にモーキャップデータを元にキャラクターのリターゲティング編集をする人を指します。手付け作業はありません。おそらくこの担当はMOCAPチームに含まれるかと思います。

    上記の作業をMOCAPチームするのかまたは(手付け)アニメーターチームがするのかは、会社によってまた異なりますが。

    私的に、手付けアニメーターとモーキャップの溝はどこも同じようにあるんだなと思っています。かといってそれに対して悲観的になっているわけではなく、私個人はそうよねと納得しています。

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  2. 実写を経てCGの仕事をする様になった私みたいな人間が
    レイアウト担当者と話して驚くのは、カメラとか撮影の
    知識をあまり持ってない事。
    アニメーションSVが驚くのも当然だと思います。
    求められる知識が全く別ですよね。

    そんな訳で後工程で驚愕のショットが色々発生する訳
    ですが、コンポジットと並んで専任スタッフの価値を
    見いだすのはなかなか難しい部分ですねぇ。。。

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  3. >hikotoさん
    フォローアップありがとうございます。非常に参考になるので、次回の補足編で、すこしMOCAPアニメーターについても紹介させて頂きますね。
    うちもモキャプアニメーターがデータ修正、編集して、手付けアニメーターにデータ渡しているので、流れとしては同じような流れなんだと思うんですが、やっぱり、どの国のアニメーターもモキャプには多少抵抗を持っているようですね(^^;

    >hal555さん
    僕は実写の経験がないので、自分でカメラのこととか色々と趣味を兼ねて勉強してますが、CGに役立つことすごく多いですよね。

    レイアウトやコンポって本当に専門性が必要な職種だと思うんですが、なかなか日本では、その専門性が認められなくて、すごく歯がゆい思いです。

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