2013年2月18日月曜日

【CG】将来のCG業界について自分なりに考えてみる

前回のエントリーに続き、自分なりに将来のCG業界について考えをまとめてみました。
※今回のエントリーはあくまでも、僕の主観的な考察、考えを整理したものであり、必ずしも僕の見解が、業界全体の変化を正しく表現されたものではないことをご理解ください。


【税制優遇について】
税制優遇については、正直、今後どうなっていくのか?まったく想像がつきません。今後もしばらくは税制優遇による、プロダクション誘致、撮影誘致など各国のチキンレースが続くのか?それとも縮小、廃止の傾向を強めていくのか?ただ、僕個人的には州や国が赤字を出してまで、誘致する意味はないと思うので、ニュージーランドやロンドンなど、経済的な部分で赤字になっていない国以外は、今後は縮小傾向になっていくんじゃないのかな?っと予想はしていますが、本当にまったく想像がつきません。

【アメリカについて】
前回も言いましたが、僕はアメリカでの就労経験がないので、なんとも言えませんが、一度アウトソースされ、同じようなクオリティが諸外国でも作れることが証明されてしまった現在では、アウトソースの流れは変わらないと予想しています。これは税制優遇の有無に関わらず、今後もアウトソースは続くと思います。”覆水盆に返らず”という言葉があるように、一度流れ出た仕事はおそらく戻ってくるのは難しいでしょう。また、一度下がったコスト(厳密には映画のバジェット自体はそれほど変わっていない)を、元の価格に戻すのは非常に困難だと言わざるをえません。
ただ、アメリカでは一部アーティストやプロデューサーなどが中心になり、海外で制作されたショット、映画に関してはインポートタックス(輸入税)を課そうという動きを国に働きかけていると聞いています。これは友人から聞いた話なので、実際にこういった動きが本当にあるのか?どうか?信憑性は定かではありませんが、もし海外で制作された物に対して、輸入税を課せられるのであれば、税制優遇で制作費を安く抑えられたとしても、輸入税を課せられることで相殺となれば、仕事の一部はアメリカに戻ってくる可能性もあると思いますが、それも仮定の話なのでなんとも言いがたいのが現状です。


【諸外国プロダクションの動向】
税制優遇の有無に関わらず、今後もアウトソースは続くと思うので、諸外国のプロダクションはいかに限られた牌(アウトソースされる映画、ショットなど)を受注できるか!?ということが集点になってくると思います。
現在は、税制優遇を背景に、優遇税率の高い国、州、都市に集まる傾向がありますが、税制優遇次第なので、今後、どうなっていくかは解りません。税制優遇をやめれば、一気に仕事を失い、閉鎖されるプロダクションも増えてくるでしょう。今後、諸外国のプロダクションの競争は一層激化すると予想されます。その分、海外就労を目指す方のチャンスは増えるかもしれません。


【日本のプロダクション事情】
日本のプロダクション事情に関しては、外資を取り入れている、海外コンテンツを主に制作しているプロダクションは少なく、海外のVFX事情に比べて、仕事の量や会社の数というのは安定しているように思います。ただ、今後も同じように仕事が安定してあるのか?というと、僕はそうは思っていません。
そういう意味では、日本のプロダクション事情は転換期に来ているのだと思います。海外市場を見据えて、海外資本、コンテンツ、技術、知識、フローなどを積極的に取り入れていく、海外市場型のプロダクション。
もうひとつは、国内市場を押さえつつ、国内のコンテンツを海外市場で売ることで、外資をっと考えている日本発海外市場型のプロダクション。
最後は、国内市場に集点を当てた、国内市場型のプロダクション。

(アニメ系プロダクションに関しては専門知識も就労経験も無いので割愛させて頂きます。)

どれも一長一短で、どの選択肢が正しいのか?という判断は出来ませんが、上記のようなプロダクションが今後は増えていくのでは?っと僕自身は考えています。

【海外在留アーティストについて】
僕も含めて、海外在留アーティストの方々の多くは、最終的には帰国して日本で働きたい!っと考えている人が多いと聞きます。特に家族を持っておられる方は、そういった意識が年々強くなってきているのではないでしょうか?
今までは一つの国で、腰を落ち着かせて仕事を出来ていた人たちも、今後は家族を連れて、異国を転々とする生活を強いられることになると思います。現に去年、今年に入って続々と友人が日本への本帰国を決意し、日本のプロダクションで働きまじめました。今後もこういった流れは続く反面、国外へ飛び出すアーティストも増えてきています。帰国する人、海外へ出る人、アーティストが流動するのは、日本の業界にとって非常にプラスになると私自身は考えています。

また、日本への本帰国を本格的に考えている、海外在留アーティストの方(本気で考えている人たち)は、出来る限り早い段階での本帰国が良いのでは?っと僕自身の主観ですが、そう感じます。
今のタイミングであれば、海外からの技術や知識を持ち帰ることが出来る人は重宝されますし、海外市場型のプロダクションでは非常に重宝されるでしょうし、自分自身の経験や知識も活かせると思います。数年後に本帰国を決めて、帰国された方よりは日本への職場の慣れや、ポジションなどを考えれば、早い段階で本帰国を決意されるのも間違った判断ではないと思います。


僕自身はまだまだ本帰国の意思はないのですが、早い段階で本帰国することが、その人にとって良いのか?悪いのかは?各個人の環境やケースによりけりだとは思います。この辺の判断も非常に難しいところだとは思いますが。。。。


ただ、海外でしか就労経験がない海外在留アーティストの方が日本のプロダクションにフィットするまでには、時間と慣れ、忍耐が必要になると思います。組織かされた国内プロダクションでも、海外の組織化されたプロダクションとは大きく異なります。自分の話している事が理解されず、話が成り立たない場合もあります。また、日本のプロダクションでも海外在留アーティストを雇う場合は、外国人を雇うのと同じような感覚で雇う気構えが必要かもしれません。


次回エントリーでは、 僕が現在も帰国をせず、なぜ海外就労に拘るのか?なぜ海外就労を続けたいのか?その理由と現在の心境をまとめられればっと思います。

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