2016年5月18日水曜日

【CG】 ディレクションについて 中編

さて、少し間が空いてしまいましたが前回の「ディレクションについて 前編」の続きです。
前回はプロジェクトの性質を見極める事が大事だと言う話でした。

そして、僕の経験上、プロジェクトを炎上させる要因の多くは外的要因ではなく、内的要因で起こる事が多いです。今回はどういったことでプロジェクトが円滑に進まずに混乱してしまうのか?その原因について、今回は僕の経験からいくつかの事例を紹介したいと思います。

プロジェクトが炎上、混乱する要因はいくつもありますが、今回はスタジオ制作現場内、ディレクション(スーパーバイズ)と言う部分にのみフォーカスして紹介したいと思います。

まず、外的要因というのは、具体的な例で言えばクライアントや監督からの要望、クライアントとプロデューサー間のやり取りなど、制作現場以外での問題だと思ってください。

内的要因というのは、制作現場でのチェック体制やスーパーバイザーの指示、制作担当者のミスなど、制作現場内での問題だと思ってください。

最初にも述べましたが、僕の経験上、炎上する案件の多くは、内的要因で起こる事の方が多いですし、正直、外的要因に関しては、制作現場ではどうすることも出来ない部分も多々あるので、今回は内的要因を中心に話を進めたいと思います。


まず内的要因の中で、混乱する原因の多くが制作現場での情報の統制が取れていない案件は制作現場、制作担当者へ混乱を招きます。図の用にクライアント、もしくは決裁権者からの情報統制が出来ていないために、色々なプロジェクトの情報がプロデューサーやコーディネーター、スーパーバイザーなど、各方面から違った情報、同じ情報が別の人からバラバラに制作現場に下りてくるなどは、その典型だと言えます。誰がどういった情報を持っているか?誰も把握できていない状態ですね。

<色々なプロジェクトの色々な情報が入り乱れて制作者に降りてくる状態> 

情報統制を行う場合は、下図の様にマネージメント部門でクライアントからの情報をまとめて、制作に必要な情報を制作現場を統括、仕切るアートディレクターやスーパーバイザーに下ろす。仕様やクオリティなど、制作に直接関係する情報は現場スーパーバイザーが統括し制作担当者へ。スケジュールやタスクの工数などマネージメントに関する情報はコーディネーターに集めて制作担当者に下ろす。っというような体制が理想に近い状態だと思います。

<情報統制が確立され、情報の流れが明確な状態>


また、チェック体制がきっちり確立されていない場合も同様です。社内でのチェック体制が図のような伝言ゲームの様になっていると、決裁権者の意図、ニュアンスが伝わらず、情報や指示が迅速かつ正確に制作者に届かない事が多いです。もちろんプロジェクトの仕様やプロジェクトの方向性を制作現場に示すため、作業を円滑に進めてるため、クオリティラインを統一するためにスーパーバイザーは必要部可決な存在ですが、下図の様な多重ディレクション、多重チェックは制作現場に良い影響を与えません。また、前回のエントリーでも述べましたが、チェックする担当者がそれぞれの主観、趣味趣向だけでチェックを行った場合、制作担当者はチェックのたびに振り回され、クオリティの維持もままならなくなるでしょう。
よく言われるチェックの度に「ちゃぶ台を返される」というやつです(笑
個人的な見解ですが決裁権者以外のチェック、ディレクション(スーパーバイズ)はほとんど意味をなさないし、不毛です。
<多重ディレクションによる無味なチェック>

決裁権者はスタジオやプロジェクトにより異なります。クライアントであったり、社内アートディレクターであったり、スーパーバイザーであったりと異なりますが、下図のような形で決裁権者からの情報、指示を統制するスーパーバイザーを通して、情報の行き来をシンプルにする方が、混乱を招きませんし、必然的に情報がスーパーバイザーに集まるので、制作担当者はスーパーバイザーとのやり取りのみで作業を進められますし、チェックの回数、情報の行き来も必要最低限で抑えられるので、無駄な時間、やり直しがなく、効率的に作業を進められます。制作担当はよりクオリティアップ、作業に集中できる環境を整える事が出来ます。最終的なチェックを行う場合も決裁権者、スーパーバイザー、制作担当者が一同に会してチェックできるのが理想です。また、決裁権者からの修正内容、指示内容を記録として残すこと(ノート)も、プロジェクトを円滑に進めるためには有効な手段だと思います。

<チェック体制をシンプルに!>
このときのスーパーバイザーの役割は主観的、趣味趣向でチェックバックを出すのではなく、決裁権者からの要望を理解して、プロジェクトの方向性(クオリティラインの統一、仕様に沿った作業か?)を示し、制作現場を円滑に回す(適正な作業担当者へのタスク分配、工数確認)ための潤滑油のような役割を担います。そこに主観的趣味趣向が入る余地はほとんどありません。また、制作担当者が疑問に思っていること、作業に行き詰っている時などに、アドバイス(具体的な解決方法、解に導くための作業例、作業手順を紹介する。リファレンスを見せるなど)をするのも重要な仕事です。
しかし、せっかく情報統制やチェック体制がしっかり確立されても前章でも述べたように、クライアントやアートディレクターなど決裁権者からの情報、指示、要望をくみ取れず、主観的な趣味趣向に走ったチェックバックを出したのでは本末転倒です。スーパーバイザーは自分に課せられた役割をしっかりと理解して、案件の性質をしっかりと見極める必要があります。


<補足>
スーパーバイザーの役割はスタジオやプロジェクトにより異なります。また分業されたスタジオでは、各デパートメントでスーパーバイザーに求められる役割も変ってきます。ここで紹介した例は、僕が経験してきた中で、ほんの一例にしか過ぎません。プロジェクトを混乱させ、円滑に進められない要因は外的要因、内的要因を含めて多種多様で複合的に絡んできます。そういったことを理解して頂いたうえで、このエントリーが少しでも皆様の問題解決にお役に立てればっと思い書きました。

さて次回は、僕がディレクション(スーパーバイズ)する上で、実際に行っていること、注意していること、絶対にやらないことなどをご紹介できればと思います。

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