2010年6月13日日曜日

【質問】 質問にお答えします! その5

さて、今日は学生さんからの質問を一通りまとめてみました。業界、海外を目指す学生さんの参考になれば幸いです。


15.専門学校や大学を卒業して、すぐに海外就職する事は可能でしょうか?
不可能ではないと思いますが、日本の専門学校、大学を卒業してすぐ海外就職と言うのは少し難しいかもしれません。
一つはVisaの問題です。Visa取得には同職種で何年か実務経験が必要になる場合があり、Visaを取得しないと、そもそもその国内で働けないと言う現実があります。
もしくは現地の大学や専門学校を卒業して、現地就職と言う手段もあります。カナダやオーストラリアなどはワーキングホリデーなどを利用して、英語を勉強しながら職を探すと言う手段もありますが、不可能ではないですが、かなり難しいかと思います。

16.日本でCG専門学校の教師になるとして、その学校に3Dペイントソフトが導入されていなかったら、どういう処置を取ると思いますか?
その学校により色々な考え方や教え方があるので、一概に言えませんが、僕のソフト(ツール)に対する考えとしては、ツールはあくまでも効率よく作業するための道具でしかありません。
良いツール=ハイクオリティにはならないというのが僕の考えです。もちろん色々なツールを扱えた方が就職するには有利かもしれません。そういう意味で3Dペイントソフトの導入を学校に進めるかもしれませんが、基本的にはすべてPhotoshopで制作可能だと思います。
3Dペイントソフトを使う大きな理由がUVのつなぎ目を隠すと言うことと、複雑な形状を3Dでペイントする事で作業効率が上がるという点にあると思います。しかし、その点を気にしなければ、Photoshopでも十二分にハイクオリティな作品を作る事ができると思います。僕が過去に携わった作品で3Dペイントを使用した作品はありません。僕が3Dペイントツールを本格的に扱うようになったのはALに来てからです。

17.これからCGを勉強しようと思っているのですが、MayaやMAXなど色々なソフトがあると思いますが、使用するソフトは何を選べばいいでしょうか?
僕は過去にストラタ→LightWave3D→3dsMAX→Mayaと色々なツールを渡り歩きましたが、ツールに対するこだわりは余りありません。どのソフトを選ぶかは、将来的にどういった業界に就職したいか?就職したい業界、会社がどんなソフトを使用しているか?によると思います。
現状、海外の映画業界では主にMayaが好んで使われているようです。

18.学生では使用できるソフトに限りがありますが、北田さんはどのようにして色々なソフトを覚えたのでしょうか?
僕が学生時代に扱えたソフトはLightwave3DとPhotoshop、イラストレーターぐらいでした。ソフトを覚えた(使いこなせるようになった)のは、就職して仕事で使うようになってからでした。
学生の時は、本当に何も出来ない駄目な学生だったと思います。専門学校にはストラタ3Dしか導入されてなかったし、独学で覚えるしかなかったですね。友人がアカデミック版のLightWaveを購入したりしていたので、友人宅に押しかけて触らせてもらったり、作品を作りながら覚えました。
ほとんどは職場で、仕事をしながら覚えたソフトばかりです。

19.最近では類似の3Dペイントソフトが多数出ていますが、どれを選べば良いのでしょうか?違いなどを教えていただけないでしょうか?
3Dペイントというのがどういったソフトをさすのか、僕には少しわかりませんが、おそらくはZbrushやMudbox、BodyPaint3Dなどのことを指しているのだと思います。

どれも似た類似ソフトですが、BodyPaint3Dに関しては、他のソフトと違ってスカルプティングできません。ZbrushとMudboxは非常に似た類似ソフトですが、Mayaユーザーの場合はMudboxの方が扱いやすいかもしれません。同じオートデスク商品と言う事で、インターフェース、パースビューのスクロール、パン、ムーブの操作がMayaと同じです。その他にもMayaとの類似点が多くあります。
その分、機能的には非常にシンプルなつくりになっています。

Zbrushは3Dスカルプティング、ペイントにかなり特化したソフトだと言えます。その分高機能化されているので、Mudboxよりも多少扱いが難しいかもしれません。インターフェースもかなり独特なので、少し癖のあるソフトだと思います。ま、慣れるまでの問題だと思いますが。。。

まとめ
今回は学生さんからの質問をまとめて答えさせて頂きました。学生さんからの質問と言う事で、ツールに関する質問が非常に多かった印象です。
ここでルールに関する、僕の考えを少し述べさえていただきます。僕は基本的にツールに対する拘りはなく、ツールはあくまでも生産性、効率を上げるための道具だと思っています。必ずしもハイエンドツール=ハイクオリティという考えを持っていません。
僕が学生時代にストラタ3Dを学び、卒業制作のためにLightWave3Dを勉強しました。
はじめに就職した映像プロダクション(?)では3dsMaxを使用していたので、LightWave3Dの知識は何の役にも立ちませんでした。そこで3dsMax(日本語版)を4年弱使いましたが、次に転職した会社がMaya(英語版)をメインに使っていたので、4年間かけて覚えたMAXの知識は何の役にも立ちませんでした。。。

僕のツールに対する考えはあくまでも道具です。画家が絵具、筆を使うのと同じで感覚でツールを使っています。もちろんツールによって得意、不得意な分野、癖などのような物もあると思いますが、扱うのは人間です。
だから、ツールに対する拘りはありません。現に僕は会社を変えるたびにメインツールが変わっています。しかし、1ヶ月から2ヶ月もそのツールを使っていれば、それなりに扱えるようになってきます。
はじめは扱いにくい道具でも、使っていくうちに徐々に慣れてきて扱えるようになるものです。
ツールは仕事で使っていれば嫌でも覚えられます。ツールを扱うスキルも大事ですが、もっと基本的なことを学ぶ方が僕は大事だと思います。

なぜなら、僕自身が基本を無視して、ツールの扱い方ばかりに固執したため、後々の苦労が絶えなかったからです。僕が基礎知識の大事さを理解したのは、働き出して数年たってからでした。

また大きな会社ならすぐにツールやプラグインも購入してくれるでしょうが、小さなプロダクションではそう言う訳にも行きません。限られたツール、期間、条件での制作を余儀なくされます。
限られた条件の中で、最大限の仕事をしなければいけません。ツールがないから出来ません。プラグインがないから、納期に間に合いませんという言い訳は通用しません。
厳しい言い方かもしれませんが、それが現実です。そして、ALでもさえも常に最先端のツールを使っている訳ではありません。ソフトのヴァージョンはすべて数年前の物です。
限られたツール、期間、条件で、どうやったらニーズを満たす物が作れるのか?ニーズを満たすためにはどうすべきか?現場ではツールを扱うスキルも大事ですが、そういった考え方はもっと大事になってきます。

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