ふ~~、最近はめっきり帰りが遅くなってきました。。。さて、本日は皆さんから頂いた質問に対してお答えさせて頂きます。
1.日本の会社を辞めてまで、海外に行った理由はなぜですか?
一言ではいえませんが、一番大きな理由は二つあります。一つは長編映画の制作に携わるのが、ここ数年の夢だったからです。
もう一つは、家族と過ごす時間を多く持ちたかったからですね。実際にシドニーでは家族と時間を共に過ごせたし、夢だった映画の制作にも携わることが出来ました。他にも、理由がないわけではないですが、一番大きな理由はこの二つです。
2.よく海外は日本の安い映像業界に比べて賃金がいいと聞きます。日本にいらっしゃったころと比べてどうでしょうか?
賃金に関しては判断が非常に難しいと思います。賃金は現地の通過で支払われるのがほとんどです。日本円で賃金をもらう訳ではないので、色々な条件を考慮しなければなりません。国の物価、為替のレート、税金などです。
日本にいた時のお給料より1.2倍多くもらったとします。しかし、国によっては税金や物価が非常に高い国もあります。
逆に物価の安い国では、現地通貨事態が安いので、日本円に換算する場合、ほぼ2倍の賃金をもらわなければ、収入アップとはいえません。
その結果、手取りが日本より少なくなる事もめずらしいことではないと思います。
また、最近はCG制作にかかる人件費の単価が下がってきていると聞いています。
(単価が下がった理由の一つは、イギリスやアジアなどの制作費が安い国に制作を委託するようになったためだと言われています。制作費が少ないと、当然ですがアーティストのお給料も下がりますから。)
それでも、現在の日本のCGデザイナーの単価よりは、海外で働く方が単価は高いと思います。今現在はの話ですが。。。
3.学位がなければ、就労ができないともよく聴くのですが本当でしょうか?
これに関しては半分本当、半分嘘と言うことになります。極端な話ALでは学位がなくても仕事をすることは可能です。
しかし、昨日の日記にも上げましたが、Visa取得に関しては学位があると有利に働きます。
例えば、本来なら就労Visa申請に、実務経験が5年以上必要だとします。しかし、大学や専門学校で専門知識(この場合、就労する職種と同じ知識、専修)を学んでいた場合には、3年の実務経験から、Visaの申請が出来たりします。
この時、注意して欲しいのは、あくまでも申請できるだけであって、取得できるとは限らないと言う事です。
実際にプロダクションで働くのに学位が必要かどうかは、詳しく調べて見ないとわかりません。もし、詳しい方がいらっしゃれば、フォローお願いします。
4.米国なら大学でもCGの勉強ができますが、オーストラリアにもCGの学校があるのでしょうか?
CGを専門にしている学校があるかどうかはわかりませんが、オーストラリア人のアーティストも多く居るので、おそらくあると思います。
5.デモリール作成時に気をつけていることや、作り方のノウハウなどはありますか。また、レジュメを書くときの方法なども気をつけていることがあれば教えてほしいです。
デモリールに関しては、出来のよい物から順番に見せるのが最良の策だと思います。月に何十、何百という応募があるなかで、デモリールを最後まで見てくれるケースは、よほどのことがない限りないでしょう。
始めの十数秒みたら、次を見ると言うケースもあると聞きます。できるだけ、出来がよい作品から見せるようにしてください。
Resumeに関しては、枚数は1枚から2枚程度にまとめるのが良いと思います。長くてもほとんど読んでもらえないので、自分の経歴、スキル、関わった作品が解りやすくまとまっているのが良いと思います。
そのあたりも鍋潤太郎さんの就職の手引きに詳しく書かれているので、ぜひ一度、読んでみてはいかがでしょうか?
6.CGの作業量の多さを解消するために日本とは違うと感じたことがあれば知りたいです。よく言われる分業のありかたなども思うところがあればしりたいです。
海外の大きなプロダクションは、ほぼ間違いなく分業制をしいていると思います。(TVC部門などは、逆にジェネラリスト制が多いと聞きます。現にALのTVC部門はジェネラリスト制です。)
分業項目を大きく分けると企画、アート、モデリング、サーフェーシング(テクスチャー)、アニメーション、セットアップ、キャラクターFX、マットペインティング、VFX、ライティング、コンポです。
他にもテクニカルな部分だとハードウェアエンジニア、ソフトウェアエンジニア、ShaderWriter、R&Dなどもあります
他のデパートメントについては、わからないですが、僕が所属しているSurfacingに関しては、後日の日記で詳しくお伝えできればと思います。
7.やはり英語や技術よりも、お酒が飲めた方がいいでしょうか?
英語や技術も大事ですが、シドニーではお酒が飲める事も大事です。僕は残念ながらお酒は飲めないのですが、こちらでは交流の場の多くがPUBやBARです。お酒は、普段話をしない職場の仲間と知り合うよいきっかけになります。たしなむ程度ののめるとよいのではないでしょうか?
8.英語能力はどの程度必要なのでしょうか?
英語能力はとても大事です!!!しかし、英語が話せないから海外で仕事が出来ないわけではありません。僕も英語能力に関しては、中学生程度の能力しかありません。読み書きはそこそこですが、ヒアリング、スピーキングに関しては、まったくと言っていいほど駄目です。
(スーパーバイザーと修正のやり取りをメールや社内Chatでやらないといけないほど、ダメダメです。)
職種によって英語の必要度がわかってきますが、ライティングやコンポジットの人は、相当英語のスキルは必要になると思います。
逆にモデリングやテクスチャーなどは、比較的英語スキルが低くてもやっていく事は可能です。
ただ、ここ近年、Visa取得に英語のスコアを必要とする国が増えてきているので、いずれは英語のスキルは海外で働く上で必須になると思います。
以上ですね。本日も参考になったでしょうか?明日は僕が担当しているサーフェーシングという仕事について紹介したいと思います。
初めまして、「CGクリエイター」を目指している高校生です。
返信削除つい今日北田さんのことを知り、ブログを読ませて頂きました。
「CGクリエイター」「CGデザイナー」というのも漠然で日本でしか通じない表現だと思いますが。僕は将来的にVFXの合成などに関わる仕事に就きたいと考えています。ですが
ネットで調べたり進路の先生に相談してもCG関係の職業への道のりや経歴は(他と比べても?)人によりバラバラで、正解というものが無いような印象があり不安になります。
日本では「この業界は学歴よりは実力重視」と、独学言われるのかと思いますが、最終的に海外も視野に入れる場合はビザの関係で大学を卒業していた方が強いのですね。