2010年5月20日木曜日

【CG】 海外就職のススメ

以前の日記でお伝えしましたが、海外就職にはかなり大きなリスクを伴います。しかし、僕はあえて海外就職をススメたいと考えています。それが日本のCG業界の発展に繋がると思っているからです。

それはなぜか?単純です。海外プロダクションのワークフロー、パイプラインの知識や制作技術を経験することが出きるからです。
僕が海外に出て感じたのは、日本とまったく違った作り方をしているという事です。データの保存場所はすべてサーバで管理。ローカルには一切作業ファイルが存在しなかったり、各デパートメントでしっかりとワークフローがあったり、日本で手作業で行っていた地道な作業が、ボタン一つで実行できたり、本当に日本とはまったく違った環境、作業手順で仕事をします。
(僕はこのことに驚いたんですが、アメリカから来ている同僚は、アメリカはもっとパイプラインやワークフローがしっかりしているそうで、ALやイギリスなどは、まだまだ発展途上だそうです。恐るべしアメリカです。)

そういった知識や経験は絶対に日本では獲る事ができません。それではその経験を得るために大きなリスクを背負うのか???それは個人の価値観や判断になると思います。
しかし、Melonさんの日記でも取り上げられていたように、僕たちは日本人です。日本人である以上、ほとんどの人が最終的には日本へ帰国します。

そうすると海外から戻った人は、今まで学んだ技術や知識を日本に還元する事ができます。還元された知識、技術はどんどん蓄積されて、日本のCG業界の発展にも繋がり、海外プロダクションの誘致にも繋がります。

良い例がインドやシンガポールです。多くのアーティストを海外進出させて、自国に戻ってきたアーティストが技術や知識を還元して、海外プロダクションのノウハウを蓄積させていった結果、海外プロダクションの誘致に繋がったのだと思います。
(もちろん、それだけでは実現は不可能だったかもしれません。税制優遇やその他の色々な条件があってこそ実現したことだと思います。)

インドはアニメ、映画産業だけで394億円もの市場規模があり、それは年々増え続ける傾向にあり、その多くが北米やヨーロッパからの受託である。

394億円。。。市場規模について詳しくはわかりませんが、ニュージーランドのWetaにしても、アメリカから映画の受注をすることで多くの外貨を国に持ち込んでいます。

日本とアメリカでは映画産業の規模時代が違うので、産業そのものをまねる事は出来ませんが、制作フローやパイプライン、技術は真似ることが出来ます。
目の前に大量の物量を短時間で運用でき、かつクオリティを損なわない制作フローが存在するのですから、これを真似しない手はないと思います。

しかし、残念なことに現在日本には、海外で働いていた人を受け入れるだけの器となる会社は多くは存在しません。Melonさんの日記でも上げられていたように、海外で働いている人でも日本に戻りたいっと思っている人は多く存在します。
しかし、日本に戻っても働く場所が存在しないので、得た知識、経験を還元する場所がないのです。
まずは、日本に海外の知識、技術を蓄積させていくだけの受け皿となる会社の整備が必要だと感じました。そんな今日、この頃です。

2 件のコメント:

  1. こんにちは、ブログのエントリ取り上げていただいてありがとうございます。
    経産省も海外へ目を向けている時期でもあり、タイムリーな内容ではないかと思いました。
    http://shikatanaku.blogspot.com/2010/05/vfx_20.html

    正直、私は日本に帰りたいと思うときがあります。
    特に医療関係の問題です、潤沢な貯金がなければかなり財政的にダメージを受けます。
    もうひとつは安全性です。アメリカ(カリフォルニア?)では、中学生以下の子供を一人にすることは法律違反です。中学生以下の子供はたえず、大人の監視の下にあり、遊びに行くのさえ親と同伴ということになります。自由に子供同士の家を行き来することもかなり難しいことになります。考えてみてください、小学生が自転車に乗って、友達の家に遊びに行くことができないんですよ!
    これでは、子供の自立、そして自律精神がそだたないのではないかと心配になってしまいます。
    日本風のスキンシップはご法度です。子供と一緒にお風呂に入ったり、同じベッドで寝るのは、性的虐待の疑いがかけられるます。
    運が悪いと、子供を一時保護されて、ちゃんと説明して、疑いが晴れるまで返してくれないこともあるようです。
    このような日本だと問題にすらならないとこ通らないと、だんだんいやになってきます。
    また日本では常識的に身につけるエチケットがこちらでは、かなり低いレベルでしか教育されません。
    またいろいろな人種がいるため、人種による習慣の違い、教育の違いがありますので、子供にリアリティーのある教え方をするのが困難になることもあります。

    自分のことだけならよいのですが、子供の精神的成長などがかかわってくると真剣に考えざるを得ません。

    ただ、一方で、スケールの大きな自然、個性を尊重する自由さはのびのびとした雰囲気を作りだしていますし、学校による独自のカリキュラムなどは、日本では体験できないことも多いです。
    また人種の違いも、悪くない面もあります。子供のころから、いろいろな人種と文化を知るきっかけになることもあり、他の人種だからといって臆することなく接するようになるでしょう。
    私の子供は、幼稚園児ですが、いまからその手ごたえを感じます。
    これらは日本では決して得られない経験です。
    海外へ出るのが一時期にしても、子供にとっては、良好などではできない、かけがえのない経験になると思います。
    お子さんをお持ちの方はそのあたりを考えてみてはどうかと思います。

    私自身、「日本に帰ってCGを続けるのか?」といわれると、それはわからないとしか言いようがありません。
    収入やプライベートの時間のことを考えると否定的な答えとなります。
    仮に収入を同じ程度もらえても時間は少なくなるのはいろいろな話から推測できます。
    年齢的に、就職自体ができないかもしれません。

    それであれば、思い切って違う方向へ転換し新しいことにチャレンジすることも考えてしまいます。
    それは、もしかしたら自分がCGという仕事をそこまで愛してないのかもしれないと悩むこともあります。
    このあたり、家庭の事情など人によって程度は違うとはおもいますが、みなさんどう考えているんでしょうね?

    そういう意味で特に独身の方、若い方はリスクが少ないので、早いうちに海外へ出ることは、将来の日本にとっても役に立つと思います。
    これからは海外から帰ってきた方が会社を持つ方向へ進めるべきかもしれません。

    エイジさんがおっしゃるように将来の日本を考えるなら、やはり海外へ進出することは今、積極的にやらなくては、日本は、本当に出遅れるかもしれませんね。

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  2. >Melonさん
    貴重な体験談ありがとうございます。

    シドニーでも同様に、中学生以下(?)の子供は確か親の送迎が義務付けられていたと思います。
    確かに自分だけなら何処でも我慢できますが、子供の将来や家族のことを考えると、僕も色々な事を真剣に考えざるをえません。

    もう数年は海外で働きたいのですが、そうすると日本への帰国も難しくなって来るし、海外でずっと働き続けられるかというと疑問符がついて回るし、どうする事がベストなのか真剣に考えてしまいますね。

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